23話(神サイド) 流れ
「ええ」
「[カット]」
「えっ……?」
これは何か?
そう、私ことライ・クルシュが今、アルドノイズと戦っている時に今のところ発した言葉である。
疑問。
不安。
絶望。
驚き。
そんなこんながごちゃ混ぜされた結果、吐き出された言葉達と、能力名。
実際、私はそこまで強くない。
[痛通]、[スルー]など色々服用して、3番に殺された時も、本当は泣きそうだった。
当たり前だ。
いくらなんでも怖すぎる。
[吸収]は結構強いが、結構止まり。
凌駕の域には到底及ばない。
だから、もちろん、この戦いでも私はサポートに徹する係だ。
戦いに参加できる訳ない。
今、私の目の前では訳の分からない会話が繰り広げられている。
まず、初めて[式神展開]を見たし、来た。
というかごうせいてんかいって何?
なんで、なにが、どうやって合成されているの?
まずそんなのあんの?
という疑問が溢れている。
そして、アルドノイズが言っていた[式神顕現]。
展開、顕現、合成?
このような要素があることから、おそらく式神というのはなんでもできる存在なのだろう。
それは、式神持ちにしか分からないのだろうが。
式神は、才能のある者だけに付いている。
比喩でもなんでもなく、そのままの意味で。
生まれた時に、式神が付いているか付いていないかで決まるからだ。
私には、式神がいなかった。
だが、[吸収]は強い能力だ。
そんな私が[神]であるアスファスに拾われた。
「貴様の力を、私を守り、悪魔を殺すために使ってくれ」
その時の私は、天狗になっていた。
自分は神に認められるくらいに強い、と。
実際はそんな訳ではなく、ただの人員不足の救急隊員。
悔しかった。
だから、勝手に1人で悪魔の幹部と戦い、負けた。
そして、凌駕に助けられた。
そして、[YES]に入った。
「お前の力を、貸してくれないか?」
凌駕は、そう言って誘った。
その言葉を聞いて、組織内では無表情無感動な彼の、本性を垣間見た感じがした。
実際、彼はそこまで強くなかった。
力は強いが、メンタル面は。
やはりというか、人間なのだ。
河合凌駕も、私と同じ。
そんな彼が、今、神と同格とも言える悪魔の始祖と戦っている。
圧倒している。
と、思っていたのだが。
*
「来い!四の悪魔よ!」
「そう来るか……!」
若干、焦っているように見えた。
だから、私は今、自分に出来ることを模索した。
そして、あった。
今、私に出来ることが。
「[アドソープション]!」
「呪いは、与える側と受け取る側それぞれ、解釈が違う。
理解が違う。差異がある。
与える側は、決してそのような事を忘れてはならない。」
コット・スフォッファム
完全なお休み回ですね。ところで……主人公君はどこ?




