22話(神サイド) vs[始祖]アルドノイズ②
「式神構築 死者患難」
「河合凌駕……いや、[自由者]。必ず殺す」
凌駕が手をついていた地面が、いきなり盛り上がり、凌駕とライとアルドノイズを囲む。
辺りも巻き込むように大きく地面が口を開け、3人を飲み込む。
そのまま空中まで口を伸ばすと、球体となった。
そして、消えた。
*
辺り一面は真っ白。
白。
無。
透明。
どれもが当てはまり、何も当てはまらない。
そんな世界で。
「何となくだが……自由者の式神展開について分かってきたぞ」
「そうか。でも残念、この領域に入った時点で……お前の負けだ。アルドノイズ」
そう言うと同時に、凌駕とライは駆け出す。
ライは同時に[カット]を連発する。
それに対し、アルドノイズは落ち着いて手を合わせる。
[カット]の斬撃がアルドノイズを襲う前に。
「式神顕現 [地獄]」
アルドノイズがそう呟いた瞬間、この世界での影の実現が許された。
アルドノイズの影から、凌駕の影から、ライの影から、その影から影が飛び出してくる。
影の影が実現し、影を生み出し、実現させる。
式神顕現 [地獄]の真髄はそこにある。
地獄の能力は、術者が選択した者の中から、一体ずつ影を生み出す。
もちろん、影から影を生み出すことも可能。
影の強さはその影の主人と比例される。
大体二分の一といったところか。
そのため、影の影は更に弱くなるのだが……。
数は、あるだけ、いるだけで強い。
「はっ!死ね!」
アルドノイズに迫っていた[カット]の刃は、影が身代わりとなり、一瞬で霧散した。
アルドノイズは何か違和感を感じたが……、疑問には思わなかった。
地獄の能力が発動し、一瞬で凌駕とライの首元へ影の鋭い手が迫る。
死んだ。
アルドノイズがそう確信した同時に、影が霧散した。
「……何?」
「えっ……?」
ライとアルドノイズが驚く。
凌駕は、笑っている。
「お前、ここがお前の死刑場って事忘れてないか?お前対策は、万全だぞ?」
式神構築 [死者患難]
この世界では、死者の存在、人間以外の治癒を許さない、人間だけの楽園。
この世界に、人以外はいらない。
「……初めて、俺は追い詰められている、な」
「追い詰められているんじゃなくて、もう詰んでるんだよ。アルドノイズ」
真っ白な世界で、真っ黒で赤色に、紅色に染まった戦いが繰り広げられている。
そして、真っ青な顔をしつつも、面白そうにしているアルドノイズ。
そして、アルドノイズに銀色の[カット]を投げるライ。
そして……、勝ちを確信した凌駕。
「何か勘違いをしているようだが……、お前は俺に勝てない」
「ほう!じゃあその策も潰してやるよ」
互いに牽制し合いながら、ラウンド2が始まった。
なんと書きました……!再度ハマってしまいました。なんか何も考えずに書ける作品なので、今後も続けていこうかと思っています。ノベルバでは20話でまさかの打ち切り宣言しましたが……。まあ、頑張ります。完全な自己満足ですけど。




