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超能力という名の呪い  作者: ノーム
一章 [NoS]編
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プロローグ(神サイド) 始動

 それは、幼い時の微かに残っている記憶。


「なんで…貴方様が…?」

 辺り一面火の海の中、人々が騒いでいる。

 その火の海の中の丁度ど真ん中で、そのやり取りは行われていた。

「お前がその子を渡さないからじゃないか」

 その「貴方様」と呼ばれる者が冷酷な笑みを顔に張り付けてそう言った。

 状況としては尻餅をつき、目から涙を出し続け、必死に「貴方様」から手の中の赤ん坊を守っている。

「貴方様」はその男を見下し、手には膨大なエネルギーの塊りが宿っている。

 その男の尻の隣りには男の妻の亡骸がある。

「貴方様」は黒髪黒目という日本人特有の姿形をしている。

 ただその姿形をしているだけというのは誰もが一目瞭然で分かる。

 何故ならオーラがまず人間では無い。

 人の形をした何か。

 その様に思えてしまうのはその者が。

「神の言う事は絶対だぞ?人間」

 [神]と呼ばれる存在であるからなのである。

「従わないから死ぬんだ。無駄に抵抗するから苦しむんだ。守る力が無い事を自覚してしまうから泣くんだ。だから…妻も子も亡くしてしまうんだ」

「よくも綾乃をおぉぉぉ!」

 男は亡き妻の名前を叫ぶと同時に赤ん坊を手から放り出し、[神]に向かって拳を握り走り出した途端。

「操水」

 [神]の手から勢いよく水が飛び出し、男の頭に穴を作った。

 その光景から周りで逃げ回っている人々の悲鳴がさらに激しくなる。

「鬱陶しいな…おい3番、お前の出番だ。[能力向上(大)]、地面に寝転がって悲鳴を上げている赤ん坊以外の人間をどうにかしろ」

「はい、[隠蔽]」

3番と呼ばれた男が手を前に出し、[隠蔽]と唱えた瞬間、辺りの人間が急に消えた。

「ご苦労。ではその赤ん坊はお前がアジトへ持って行け。1番に渡せばそいつを育ててくれるだろう」

「はい…。この子には才能が?」

 [神]が3番が喋った事に驚く。

 基本無口で何も興味を持たない3番が急に赤ん坊の才能がどうなのか質問をしてきたからなのである。

「ああ。コイツ、向井宏人の能力…もそうだし、良い特殊能力も持っているからな」

「それは?」

「また今度な」

「…はい」


 自分の目から涙を溢れ出し、大声で泣いている赤ん坊の時の頃のかろうじて残っている記憶。

 実際、一句一句覚えている訳ではなく、かなり抜けている部分があるが…。

 神は俺の両親を殺した。

 神が敵だって事は分かっている。

 分かっているが…。

 何故だか全く憎くない。



 神格会議。

 それは5番を除く[NoS]が唯一神に接触出来る会議なのである。

 今日は6番が[式神展開]の[入口]の警備当番なので欠席している。

 今、俺達は縦に長いテーブルにそれぞれ左から番号順に並んで座っている。

 その誕生日席に神が座っている。

 相変わらず11の席は欠席者の席となっている。

 まあ存在してない番号だから当然なのだが。

「では明日12月29日のそれぞれの戦場を発表する」

 その言葉を発したのは緊張しながらカンペをガン見し、立ちながら話している[5番]ことニューマン・エーデンだ。

 何故彼が指揮っているのかと言うと、彼の持つ[最生命]はただでさえ重宝する[再生]の寄り上位版で、一度死んだ命を蘇生させる事もできる。

 なので5番は戦わず、神の秘書みたいなものなのでこういうときは大体5番が指揮るのである。

 緊張しているのは隣りに神が居るからだろう。

「2番、4番、7番、8番の四人は[神仰教]と交戦してもらう」

 2番は澄ました顔をしているが、4番、7番、8番は顔を顰めている。

 [神仰教]ははっきり言ってクソ強い。

 正確に言うと、[神仰教]の勢力だが。

 俺だって[神仰教]と戦うのは嫌だが、誰も反論はしない。

 普通の会議なら兎も角、今は神が居る。

「次に残りの1番、3番、6番、9番、10番は悪魔狩りだ」

 悪魔。

 それは神と対立している種族である。

 強さはシラズ(知識が無い)→アルズ(知識がある)→No.4→No.3→No.2→No.1。

 そして、[始祖]。

 [始祖]に関しては[神]と同格の強さを持つと言われる。

 シラズとアルズに関しては無限に居ると言っても過言では無いぐらい沢山いる。

 数はダントツにアルズが多い。

 No.3はもう既に俺達の手に掛かっている。

「例のニューヨークで大量に発生してるってやつなのか?」

 10番が5番に質問する。

「ああ、その通り3、6、9、10番はニューヨークに行って、悪魔アルズを出来る限り倒せ」

 …俺は?

「俺は何をするんだ?」

 5番は口角を少し上げて。

「1番、お前は」

「カオスに復讐してこい」

 5番の言葉を神が遮る。

 だからか5番がちょっと顔が赤くなる。

 …かっこつけようとしたのか?

 だがカオスとは?

「カオスとはNo.2の事だ」

 俺の心を読んだかの様に神が行った。

「お前に復讐のチャンスを与えてやると言った」

 俺は…一度No.2に負けている。

 それも、酷い負け方で…。

 俺の仲間も…。

「はい!ありがとうございます!」

 俺は絶対にNo.2をぶっ飛ばす!

 一年前の悲劇をまた繰り返さない為にも。

「では、これにて神格会議を終了とする。今回はそれぞれ強敵と戦う事になるので、明々後日にも神格会議を開こうと思う。異論はないな?」

 神の意見は絶対である。

 なので[NoS]の全員が肯定しようとすると。

「あの…私は?」

 11番が神に質問した。

「お前はその日私の所へ来い」

 神は不適に笑った。

 因みに今の神の顔は記憶のものとは違う。

「器」を使わなければ現世に留まる事は出来ないので、そこら辺の普通の人間を「器」として乗っ取ってる状態だ。

 俺も将来は…。

「今度こそ神格会議を終了する。」

 すると神はまるで天国の様な雲の上の会議室から消えた。

 実際の雲の上ではないが。

「じゃあな」

 その次に2番が消えた。

 ここは管理していない神の[式神展開]の[神帝界]だ。

 管理していない[式神展開]だから簡単に行き来する事が出来る。

2番が消える瞬間、2番が笑った様な気がした。

まあいいか。

「俺も今から行くわ」

 俺は席を立ち、10番に言った。

「死ぬなよ」

 10番にそう言われた。

「死ぬかよ」

 俺は笑ってそう答えた。

 そして俺は10番の[転移]の力でニューヨークへ移動した。

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