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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十二章 生存戦争編
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181話(神サイド) 生存戦争①

 『生存戦争』ルール6箇条


1.ゲーム期間は一ヶ月後の2月1日から3月1日。


2.ゲームへの参加人数は50人。


3.このゲームは現存する超級能力者上位25名と、既に他界している超級能力者上位25名を蘇生、強制参加とする。


4.ゲーム終了後、生存者が10人以上の場合、全体人数が10人になる様神人が調整する。


5.設定されている区画外に故意に出た場合、その者は神人との戦闘命令が下される。


6.10人ゲームアウトさせた者は、その10人目の『能力』を獲得出来る(この効果はゲーム後も継続される)。


「──ハッ、何回見ても理不尽極まりないゲームだな。しかも自分の『能力』の有能さを理解してる奴としてない奴じゃ、大分用意に差が出る」


 カナメは『神人の間』にて、どっかりと机に脚を組みながら乗せる。

 そんな偉そうなカナメにダクネスの血管がミシミシと音を立てるが、アルベストはそこにはあまり気にせず反論する。


「でも自分の『能力』をしっかり評価出来てない時点でその人の可能性はないよね?ならみんな平等に理不尽だ」


「そうかもな。じゃあこのゲーム自体は何なんだよ。カミサマのアンタなら知ってんだろ」


「いやねぇ、確かに僕は現存する八柱の神のトップで正真正銘の神候補だけど、実権を握っているのは神ノーズの三人だよ。そのうちの一人に至っては二人と仲違いしたらしいけど……まあこれは関係ないか」


「おい、カナメ。確か向井宏人はお前んところの主戦力だよな」


 横からライザーが口を挟む。

 カナメは怪訝そうにこくりと頷くと、ライザーはおもしろそうに笑みを深めた。


「さっそく死ぬぞ」


 *


「──勝負だ、ザックゲイン」


 俺は静かにザックゲインを見つめながらそう言った。

 しかし当のザックゲインは「マジかー……」と呟き黙り込む。

 最初に斬り掛かってきたのはザックゲインの方からだ。

 なのに何故か戦いたくなさそうな顔をしている。

 

 まあ、どういう意図があるのかは知らんが──

 

「うーん、ひとまず保留って形で──へっ?」


「『バースホーシャ』」


 初っ端から出力最大の『バースホーシャ』!

 完全にザックゲインの隙をついたが、相手は上位七人。

 俺は油断なんかしない。


「式神展開──『変化自在』」


 両手を併せ、呟く。

 するとこの『世界』とは異なる『世界』が形成され、俺とザックゲインを呑み込む。

 そして辺りに広がるのは、俺が『変化』可能なガラクタが浮遊する不思議で真っ白な『世界』──『変化自在』。

 今もまだ、ザックゲインは炎と煙に包まれており、現状の確認が出来ない。


「『バースホーシャ』に、『適応』」


 だが次の瞬間、特殊な剣を横一線し、炎と煙を裂くザックゲインの姿が。

 その顔には余裕の表情が張り付いており、『カミノミワザ』である『バースホーシャ』の炎をものともせずにこちらに歩んでくる。

 

 だがその時には既に──!


「喰らえ──『黒龍』ッ!」


「ギシャァァァァァァァァア!」


「うぉっ、えげつない」


 ザックゲインは顔を引き攣らせながらも、冷静に剣を縦に一振り。

 とてつもない高度を誇る黒龍を一瞬で真っ二つにし、ザックゲインは俺の元に──!

 だが。


「残念、ここは俺の『世界』だ」


 俺は瞬時に『黒龍』に『変化』し、俺の目と鼻の先まで接近していたザックゲインをその巨体で吹っ飛ばす。


「あはは。めちゃくちゃだ──式神展開『無味無臭』」


 ザックゲインが両手を併せると同時に元の『世界』に戻る──と同時に、俺も手を併せて駆け出す。


「『極廻界』」


 黒龍の姿のまま、アルドノイズの『世界』を完成させる。

 極犬が溢れ出る中、ザックゲインは迷いもせず両手を──


「──『ホリズンブレイク』」


 俺は淡々と唱え、ザックゲインの右手の人差し指を切断した。


「ッ!?」


 ザックゲインの顔が苦痛に歪む。

 本来なら『ホリズンブレイク』は全体攻撃とでも言うような、広範囲に強力な風を発生させ、操るニーラグラの『カミノミワザ』だが、それを一点集中で指を狙い、見事に成功。

 ザックゲインは痛みと驚きで思わず手を離す。

 

 ──きた。


「グッ!ぁ……」


 俺は黒龍の力を存分に振り絞り超スピードでザックゲインを通り抜けた。

 今度はザックゲインの左腕が飛ぶ。

 俺は『変化』を解除し、元の姿である『悪魔』へ。

 しかしザックゲインは腕を気にせず俺に肉薄。

 

「極犬」


 俺は『悪魔』に戻っている最中だったため瞬時に対応し切れないと踏み、影より大量の極犬を生み出し盾にする。

 ザックゲインの強力な一振りが極犬を切り刻み、ついには俺の頬を深く抉った。

 だが、いくら頬を斬られても致命傷にはならないわけで。


「──『変化』」


 ザックゲインの胸にトンッと。

 アスファス戦で手にした、『変化者』の力を込める。

 他対象の『変化』は、問答無用の一撃必殺。

 ザックゲインの顔が驚愕に染まる。

 淡々と、ザックゲインに『適応』、『無味無臭』をする暇がない勢いで畳み掛け、ついには生殺与奪の権を握った。

 今それを破壊しているが、ほぼ初対面のためかなんの感情も湧かない。

 俺はただただ、『変化』でザックゲインを粉々に──


「がッ!?」


 突如手が弾かれ、俺は後ろに吹き飛ばされる。

 何が起こった──!?

 視界が点滅する……これは……。


「……いたた。いやぁ、正直マジで危なかったよ」


 俺は立っていられず、膝から崩れ落ちる。

 体が言うことを聞かない。

 疲弊や痛みとはまた違う、麻痺しているかの様な状態。

 麻痺……まさか、こいつはまだ『能力』を……!


「これは電撃。正確に言うならアルベストの『サンドライトニング』だ。蘇生直後、なんかアルベストに『契約』してもらったんだよね」


「ハハ……『適応』に『無味無臭』に『サンドライトニング』とやらに加えてさらにアルベストの『式神』か?随分と欲張りだな」


「きみにだけは言われたくないよ、向井宏人。『変化』、『変化自在』、『バースホーシャ』、『極廻界』、『ホリズンブレイク』、あとニーラグラの『式神』と──その『眼』、だっけ?欲張りなのはどっちかな」


 俺はふらふらとよろめきながらなんとか立ち上がる。

 突如膨大な電撃を浴びたためか、頭痛が激しく、体が熱い。

 生身、しかもゼロ距離でアルベストの『カミノミワザ』を食らったんだ、立ててるだけでも奇跡だ。

 まあ、『契約』での『能力』の譲渡は本来の力の三分の一らしいし、ザックゲインもかなり重症ということも相まっているのだろうが。

 俺は『変化』で体を再構成し、全回復。

 対してザックゲインは回復手段を持ち合わせておらず、未だ右手の人差し指は欠損し、左腕はない。


「たはは。さすがに武が悪すぎるね。退散ー!」


 ザックゲインは大声で笑いながら背を向け走り出す。

 だが俺はそんなことを許さず追うが──急に振り返り、唱えたザックゲインを見て息を呑む。


「暴れて、『サンドライトニング』」


 天から、地から雷が降り注ぎ、空気でさえもビリビリと震える。

 これでは呼吸もままならない。


「……クソッ」


 電撃の嵐が止むまで待つ事十分。

 その頃には、既にザックゲインはどこかへと消えていた。

 俺は小さく舌打ちし──自然と笑みが溢れる。


 勝てる。


 上位七人相手でも、俺の力は通用する──!


「さて、プロローグにしては長かったな」


 俺はそう呟き、一歩踏み出す。

 やるべきことは、もう決まっている。


「上位七人は、俺が殺す」


 生存戦争が、始まった。

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