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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十一章 上位七人編
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172話(神サイド) 規則


「──神ノーズが開催するデスゲーム『生存戦争』。そのルールは以下の通りだ」


 凪が皆の前でホワイトボードにルールを書いていく。

 この場には凪の他に、宏人、創也、カナメ、瑠璃、華、智也、飛鳥、クンネル、ナン、傀儡、那種──そして、アリウスクラウンと、アスファス。

 凪はアリウスクラウンとアスファスを交互に見比べたあと、ため息を吐いた。

 やけに従順なアリウスクラウンに比べて、アスファスは反抗的だ。

 まあ敵対しなく、一応でも仲間の立場にあるのならそれで十分なのだが。


 『生存戦争』のルール


・ゲーム期間は一ヶ月後の2月1日から3月1日。


・ゲームへの参加人数は50人。


・このゲームは現存する超級能力者上位25名と、既に他界している超級能力者上位25名を蘇生、強制参加とする。


・ゲーム終了後、生存者が10人以上の場合、全体人数が10人になる様神人が調整する。


・設定されている区画外に故意に出た場合、その者は神人との戦闘命令が下される。


・10人ゲームアウトさせた者は、その10人目の『能力』を獲得出来る(この効果はゲーム後も継続される)。


・上記の者を殺した場合、その者、または最も上記の者を殺すに至った貢献者は直ちにゲームクリア、離脱を許可される。


「……と、こんなところだ」


 凪がそう言い皆を見渡すと、ナンが挙手をした。


「ルールにちょいちょい神人というワードが含まれているが、このゲームは神人も参加するのか?見たところ制限は課される様だが」


「おーナンチャンめっちゃ日本語喋れる様になってんじゃん」


 宏人は素直に感動した。

 一年半前まで皆と意思疎通が難しかったナンが、なんとペラペラと日本語を喋っているとは……。


「俺の場合ロクに戦闘に参加せずに裏で勉強していたからだ。喋らなければ皆と目を合わせられないからな」

 

「神人はどうやら俺らを高みの見物で見ているだけらしい。だがルールに抵触した『15人以上』と『範囲外』を違反した者には戦闘が許されるとの事だ」


「じゃあダクネスやライザーがお前らと戦おうとしたら俺が代わりに戦ってやるよ。菜緒はまあ、どうにでもなるだろ」


 カナメが凪の肩に手を回しニッと笑う。

 しかし凪は不安げに口を開く。


「それじゃ最悪お前はダクネスとライザーと戦うことになるたろ。神ノーズの構成と同じだ、確実に潰されるからやめろ」


「はいはい。んで、今回集まったのは『生存戦争』のためじゃなく、その後の話だろ?」


「……よく分かったな」


 凪は苦笑いでポリポリと頰を掻く。

 それはこの場の皆が大なり小なり驚くほど、凪にしては新鮮な表情で。


「ああ、本題はこれだ。『生存戦争』が終わった直後のカナメがライザーと戦っている間──俺たちでダクネスを叩く」

 

 *


「神ノーズが『生存戦争』を始める意味は?」


 アルベストが面白そうに神ノーズから渡された資料を見ながらそう尋ねると、隣のメイドが口を開いた。


「強力な能力者の選別かと」


「選別して何の意味がある?」


「世界の安定に繋がるかと」


「なぜ強者の排除が世界の安定に繋がる?」


「近年、強力な異能者がアルドノイズ様、アスファス様に勝利したためでしょう。その様な者が溢れるとやはり世界は安定しないのではないでしょうか。人間が神を超えてはならないという絶対の法則を無視しているのもあるかと」


「では趣向を変えようか──なぜ、アルドノイズとアスファスは人間に倒された?」


「それは……」


 先程まで淡々と答えていたメイナスが悩む様に口を閉ざす。

 アルベストに瞳がメイナスを射抜く。

 常に無表情のメイナスの顔が引き攣り、冷や汗が垂れるが……遂に口を開いた。


「御二方が、十分な戦闘能力を保有していなかったためかと……」


「そうだ。あいつらは神を名乗るに相応しくない力しか持っていなかった。だがポテンシャルは違う。これからはどんどんあいつらも強くなるだろう。だから」


 アルベストの顔が歪む。

 いや、これは笑みだ。

 

 ──向井宏人と、アスファスと同じ様に僕も……。


 アルベストは気味の悪い笑みで、ポツリと呟いた。


「僕も、そろそろ動こうかな」


 *


「せっかく当初の目的のアスファス退治終わったのにさー、また同じかそれ以上にめんどい事が一ヶ月後に始まるって最悪じゃねー?」


 会議終了後、『Gottmord』本部のロビーの真ん中が空いた四角形のソファに、四人の男女が寝っ転がっていた。

 一人はカナメ、カナメはため息を吐きながらそうだべった。

 そんなカナメに、瑠璃が声を上げる。


「いやあなた神人だから何もしないでしょ……。見てるだけなんでしょ?いいわね暇で」


「そういう瑠璃こそよっわいから参加しないでしょー。僕も元神人のはずなのに絶対参加することになるしー」


 バカにする創也の顔面に瑠璃の踵蹴りが炸裂する。

 ちょうど瑠璃の足元に程近いところに寝ていたのが運の尽き、鈍い音の後に創也が無言で悶える。


 そう、『生存戦争』に参加するのは実質15人。そして生き残れるのも15人。

 ここのメンバーの神であるアスファスを除く13人が選抜されたとしても、過去の人物とやらを全て倒せば問題ない。

 過去の人物の蘇生……その中に、河合凌駕や七音字幸太郎、アトミックたちは含まれるのだろうか。

 未だ宏人の『変化者』で凌駕を蘇生していないのは、既に闇裏菱花から『生存戦争』のルールとその特性を聞いていたからなのだが、『変化』には懸念すべき事がある。

 宏人の左目は、アスファスとの戦いからずっと違和感が消えない。


 宏人ははぁとため息を吐き、悶える創也に尋ねる。


「で?お前は結局何なんだよ。元神人って言ってたけど」


「ッ……ああ、それね」


 創也は涙目で仰向けになった。

 鼻からは血が大量に噴き出ている、何故か瑠璃は創也に容赦がない。

 創也はあははと笑いながら鼻血を服で拭う。


「神人っていうのは存在が不確定でね、ループすると大体誰かしら変わってるんだよ。今回で言うならカナメがレア枠だね」


「どーせお前や凪、凌駕って奴が俺が神人になる様仕組んでたんだろ?」


「いや、カナメは副産物だよ。今回のメインは宏人の『変化』だ。それはともかく、僕は今回の世界線で神人じゃなかった。だからこの世界線には神人じゃない僕がいるわけで。それがこの太刀花創也。アスファスの元で『勇者』の護衛として働いてた奴だね」


「『勇者』……そうか。だから俺が太刀花創也って言った時祐雅があんな過剰に反応してたのか」


「えっ、宏人そこからかよ。祐雅と創也はかなり有名だったぜ」


「まあともかく、そんなわけだから波長が合うというか全く一緒の創也に吐夢狂弥である僕が事前に『時空支配』で人格と『能力』の譲渡をしといて、こないだ植え付けられた人格が覚醒して今の僕があるって感じかな」


「じゃああなたは1人に人格植えつけて3人に『能力』を分けた上でダクネスと戦ったの?……さすがに無謀過ぎない?」


「瑠璃の言う通り、それによって神人の僕はダクネスちゃんに殺されたさ。だからもう神人じゃなく、凪と宏人みたいに12回『時空支配』が使えるだけだよ。アリウスクラウンとの戦いでもう2回使っちゃったけどね」


 創也は言い終わると、今度は宏人の目を見る。

 それは、答え合わせはしてやったから次はお前の番だ、とでも言っているかの様で。

 確かに、これであらかたの疑問は片付いた。


 なら最後にやるべき事は、あいつの件しかない。


「じゃあ3人とも、一応警戒しといてくれ──『四大悪魔』顕現──セバス・ブレスレット」


 まだ、こいつの件があやふやのままだったからな──!

 

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