14話(神サイド) 其々
池井という少女について行く。
部屋を出たら、そこは長い廊下だった。
後ろ姿や歩き方で真面目系な人間だと分かる。
それにしてもどこの部屋にも窓が無いってどうなんだよ。
「ここって地下なの。だからよ」
「ああーだよな」
だから窓がないのか…。
…コイツ俺の心読んだ?
まあいいか。
なんでも、コイツは俺の敵にはなり得ないだろう。
「こっち」
他の部屋に入る。
って…。
「地下って便利だな。というかこの街のお偉い方さんたちは何やってんだか…」
闘技場かよ。
「これを作ったのは…!」
俺がぶつくさと喋っていると
「動かないで」
銃を突きつけられていた。
首に。
「なんだ…?」
こいつ……まさか本当に心が読めるんじゃないだろうな?
仮にそうだとするのなら、裏切るのバレバレだ。
「ええ。私の[読心]の前ではそんなんバレバレでバラバラよ」
「バレバレでバラバラって……まあ、何が目的だ?」
「私も協力するわ」
…まさかの協力。
「何言ってんだか」
「私も…この組織を裏切るつもりなの。協力しなさい」
「何を目的にしている?」
これが重要だが…。
「この組織にいたら死ぬ。だけど死にたくない。ただそれだけ」
「詳しく聞かせろ」
[YES]とかふざけた名前の組織は何を目的にしているのか…。
凌駕は一体何を考えているのか…。
俺はそれを知りたい。
「12月31日、つまり明日の[神格会議]に私を連れて行って頂戴」
*
「すごい…!」
「これは…!?」
私は驚愕していた。
珍しくクンネルも。
「これほどの食べ物どうやって?」
「ここは地下だ。だから全部地下栽培。味は美味いと保証する」
と凌駕。
「いっただっきまーす!」
とにかく私はお腹空いていた。
「そうか…。では私も」
今私の目の前には果物が沢山あった。
「ここは食べ物には困っていない。まあ戦力には絶賛困っているが…。三食寝床と楽しいお友達達は保証する。是非[YES]で戦ってくれないか?」
「是非!」
「なあほんとに[NoS]は壊滅して神は死んだのか?
「ああ。神族なんて人間でも殺せるさ。一部を除いて」
「一部とは?」
「ノーズ。言っても分かんねえだろうが」
そう言って凌駕は笑うと。
「で、どうだ?」
クンネルはしばらく考えると。
「もう帰る場所もないしな。よろしく頼む」
「ああ。よろしく」
凌駕は微笑むと。
「智也の様子を見てくる」
この部屋を去って行った。
「凌駕って何者???ていうか智也大丈夫かな?」
「どっちも分からんが…。不気味な事この上ないな」
まあいいか。
考えるのはもうやめよう。
…因みに私は馬鹿キャラじゃないから。
ないったらない。
*
「コイツは[転移]。であいつは[強運]で俺が『再生命』」
「そうなのか!って…!」
やたらと声がでかい羽村に質問される俺を[YES]のみんなが囲って聞いている。
勿論、羽村以外にも色々聞かれる。
疲れる…。
なんで俺だけかというと、ナンは喋れないから論外。
で、宏人はなんか女の子に連れて行かれた。
智也は倒れている。
凌駕は飛鳥とクンネル連れて行った。
んでエーデンはなんかいつの間にか起きていた凪って人と話している。
最後の俺は暇している。
当然だが…。
なんかナンがかわいそうだし、疲れる。
みんなでかくて長いソファに座っているが、俺は立っている。
せめて座らせろよ…。
そして今、みんなの能力について順番に話していたらなぜかニューマンの[強運]で驚かれる。
ただ運が良くなるって能力なのに。
「ほんとか…!本当なのかっ!」
「えっ…!」
一人だけ本を読んでいた快って人が本を投げ捨てて聞いてきた。
「そうっすけど…」
すると。
「ひゃはっ…!」
決して良い顔とは言えない顔に笑みを貼り付けた。
なんか背筋が冷える。
と思っていたら…。
「[魔手]」
いつの間にかもうスピードで床から伸びてくる拳があった。