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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十章 神魔大戦・後編
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168話(神サイド) 神魔決戦①②


 ──『四大天使』

 アスファスが従える四大の天使であり、守護者。

 一体は剣を、一体は槍を、一体は闇を、一体は盾を。

 四種の神器でもって、歯向かう敵を殺し尽くす、背に美しい羽を伸ばす異能生命体。


 ──『四ノ悪夢』

 ソウマトウが従える四体の魔獣。

 それらは全てバクに似ており、ドス黒い体からは腐臭が漂い、まるでゾンビ。


 そして──『四大悪魔』


「まさか、この中にお前も入ってるとはな──セバス」


「うん、色々あってね。一応僕もアルドノイズの手下なんだ」


「……?……!?!?」


 宏人は先日と全く態度も口調も一人称も違うセバスに困惑し目を白黒させる。

 そんな宏人をほっといてセバスは口を開く。


「今街の方も大変なんだ。だから手早く済ませそう」


 セバスの気配が変わる、いや、セバスだけではない。

 これは一体……?


「おぉ……面白い『世界』だ。人形を見ると止まる。ソウマトウのかな?──カール」


 セバスの背後の架空より、のっそりとゆっくり、禍々しい黒い何かが現れた。


「……ァ?」


「僕の眼になって」


 そう言いセバスは目を瞑る、宏人とアルドノイズと同じやり方だ。

 宏人を置き去りにセバスは計八体の神のしもべを見据え、構える。


「僕はなるべく早く悪夢と天使を倒すから宏人くんはアスファスをお願い」


「へっ?宏人……くん?」


「いけるね」


 セバスはそう言い終わると共に駆け出し、こちらに突進してくる悪夢と天使を迎え撃つ。

 そんなセバスを──アスファスは見逃さない。


「ふん、私を無視とは随分侮辱してくれるな。死して償え」


 アスファスはセバスに『闇』を放つ。

 宏人はやべっ、と駆けつけるが間に合わない──ッ!


「セバス!それに当たると死ぬッ!」


「おっけー。ありがとう宏人くん──カール」


 セバスは『闇』に対して対策せずそのまま特攻、セバスに当たる直前、突然動けないはずのカールが虚空より出現し、セバスを『闇』から庇った。

 全てを飲み込む破壊のレーザービーム。

 だがしかし、それに直撃したカールに効果は無かった。


「なんだと?」


「カールっていつでもどこでも呼び出せるからね。あと、カールは不死身だよ」


 驚くアスファスを無視し、セバスはそのまま悪夢と天使の元へ駆けていった。


「……」


 セバスが悪夢と天使と戦っている最中、宏人は無言でアスファスと対峙する。

 宏人の背後には創也の『世界』の『眼』で創られた異能生命体、No.1──ヤシャナラク。

 No.2──カオス。

 ヤシャナラクは元より動かないが、カオスも目を瞑りアルドノイズと意識を共有する。


「グォォォォ……!」


 ヤシャナラクが『眼』を見開きアスファスに『破眼』を放つ。

 アスファスはそれを余裕で回避、そのまま宏人に肉薄する。

 そんなアスファスに、今度はカオスのナタが襲い掛かる。

 だがそれも悉く回避されてしまう、やはり神と神のしもべには超えられない程の力の差がある。


 だが──隙さえあればどうにでもなる。


「『バースホーシャ』ッ!」


「ッ!」


 常に宏人の手に触れられる事を警戒していたアスファスに不意打ちの『バースホーシャ』。

 アスファスは直前に己を水で囲んだが、『バースホーシャ』の威力には耐えられない。

 アスファスの左半分の顔面が焼け焦げる、再生はしていない、限界なのだろうか。

 宏人はカオスと共に後方へ下がり様子を見る。


「ナイスだカオス」


「ダマレ。キサマノタメニシタワケデハナイコトヲワスレルナ」


「はいはい。集中しろよ」


 アスファスはフラフラと立ち上がり、宏人たちを睨む。


「まずはキサマらを殺す」


 アスファスは瞬時にヤシャナラクの元へ。

 ヤシャナラクは再度『破眼』を撃つがアスファスは一才避けず直で食らい、だが止まらず肉薄する!


「なにッ!?」


 突然のアスファスの切り込みに宏人はたじろぐが、カオスとヤシャナラクの元へ──!


「──『闇』」


「ギャッ……!」


 短い悲鳴と共に、ヤシャナラクが霧散した。

 

「ッ!」


 嘆く暇など無く、アスファスが放った『闇』が縦横無尽に解き放たれる!

 

「『バースホーシャ』ッ!」


 宏人は自分とカオスを囲む様に、『バースホーシャ』を円形で発動する。

 そして『闇』が止んだ後、アスファスは続けて──『凪』!


「うそだろッ!?」


 アスファスが『変化』を警戒している様に、宏人も『闇』に神経を研ぎ澄ませている。

 おそらく『凪』の後に『闇』が来ても対処出来ただろう。

 

「──クソッ……!」


「しぶといな。あの悪魔は死んだ様だが」


 カオスは宏人を庇い消失した。

 宏人が死ぬとアルドノイズも死ぬと勘違いしたのだろうか、それともそれがアルドノイズの意思か。

 分からないが、セバスが庇っても尚、『凪』の威力は凄まじい程増されていたため、宏人の体も浅くないほど切り刻まれた。

 全身切傷だらけの宏人に、全身火傷のアスファス。

 お互い満身創痍だが、倒れた瞬間とどめを刺されるという恐怖が両者を奮い立たせる。


「……死にそうじゃん、お前」


「……貴様もな。出血多量で私が何もせずとも死にそうではないか」


 両者とも肩で息をする中、宏人とアスファスは互いを見据え合う。

 先に動いたのは──アスファス。


「コット・スフォッファムッ!」


「ッ!」


『なんだと!?』


 宏人の中でアルドノイズが声を荒げる。

 コット・スフォッファムはアルドノイズの自我を持った分身体。

 アルドノイズが限られた場面でしかアルファブルームに成れない理由の一つ。

 そんなコットが今にも死にそうな状態で虚空より出て来──アスファスに吸い込まれた。


『ッ!まずいぞ向井宏人。アスファスはコットの『能力』を取り込み、コットとオレの繋がりからオレの『能力』も獲得する」


「マジかよッ……!」


「──ごめん。遅れた」


 気付くとセバスが隣に。

 八体の悪夢と天使がいた場所には何もない、単独で神のしもべを八体倒した事になる。

 それもこの数分で。


「すまんセバス。まだまだ力借りる事になりそうなんだが……」


「もちろんいいよ。僕は宏人くんのしもべだからね」


「……」


 おそらく『眼』を抜いた自分より強いセバスにそう言われてもと思ったが、アスファスが口を開く。


「アルドノイズ。少々貴様の力を借りるぞ」


 刹那、アスファスの気配が色濃く変わる。

 だが顔の火傷は治らないまま、どうやらコットにそこまでの力は無かったらしい。

 だがそれでも、アスファスは大きく変わった。

 己の権能に、ソウマトウの権能、コットの異能、アルドノイズの権能。

 そこまで思考し、思う事がある。


 ──取り込みたい。


 アルドノイズを封印し、権能を手に入れた様に。

 アスファスを取り込めば、全て手に入る!


「行くぜセバスッ!」


「うん。僕はサポートに回るから、宏人くんは『変化』で倒して」


 宏人が駆け出すと、左方よりセバス、右方よりカールが付いてくる。

 

 アスファスは唱える。


 三柱のカミノミワザを使用し、神の一部に与えられた『能力』でもって形作る、完璧な『世界』を。


「出力最大──『変換』ッ!」


「「ッ!?」」


 そして──『世界』が出来上がる。


「これが!これこそがッ!神の御業である」


 『幻想幻魔』と、『龍宮城』、『獄廻界』が入り乱れた『世界』──それを、『変換』で創造した。


「来いよッ!愚者ども!」


 全能感を帯び高揚したアスファスの声が、宏人の耳に響いた。

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