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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十章 神魔大戦・後編
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167話(神サイド) 神魔決戦①①


 ──アスファスは神の力を全開し、一瞬で腹を治した。


「チッ、かなりリスクが高い行為だぞ……!貴様は絶対に殺す」


 無言で攻め続ける宏人に、アスファスは唾を飛ばしながら叫ぶ。

 アスファスは認めたくはないが、ゾーンに入っている様な宏人の気迫を恐ろしいと感じていた。


「『マーレ・サイズミック』ッ!」


「ッ──!」


 足場よりいくつもの水柱が出現し、宏人を襲う。

 だが宏人はしゃがみ込み──足元に手を置く。


「『変化』」


 すると、宏人の周りだけ水柱の出現が止んだ。

 

「畳み掛けろ!」


 アスファスが散らばっている水柱を操作し全てを宏人に叩きつける!

 だが迫り来る水柱は、宏人に手で触られるだけで霧散してしまう。

 アスファスはこめかみがぴくぴくとつり上がり──ため息を吐いた。


 アルドノイズの様な単体に対する一撃必殺と違って、アスファスの業は全体に強力な一撃を浴びせるというもの。

 いかんせん決定打に欠ける。


 しかし──つい先程、それを覆すモノが手に入った。


「これは吐夢狂弥に使おうとしていたモノだが……仕方がない。向井宏人、貴様を強者と認めてやる」


「……なんだ?」


 突然、アスファスの纏う気配が変わり、宏人は緊張する。

 アスファスの量手が上がっていき──その構えは。


「式神展開── 『幻想幻魔』ッ!」


「ッ──!マジかよ……!」


 美しい海から、濃い霧が漂う暗い森林へと情景が一変する。

 ソウマトウの式神──『幻想幻魔』。

 アスファスはソウマトウを『器』にしてからすぐにソウマトウの業全てを取り込んでいた。


「私はソウマトウという完璧な『器』を潰されて腹を立ててやるが……許してやる。貴様を殺して、私はアルドノイズを『器』とする事にしよう」


「何勝った気でいるんだよ。来いよ。さっさと殺してやる」


「黙れよ──人間如きがッ!」


 アスファスが叫ぶと同時、周りに大量の人形が設置された。

 神の式神展開特有の無限に湧き出る式神だ。

 だがソウマトウのはアルドノイズやアスファスと系統が違うらしく動く様子はない。

 だがどこか不気味なその人形に宏人が気を取られていると──アスファスが肉薄。

 宏人は『変化』で対応しようとしたが──体が、動かない……!


「ザマァだな」


 動けぬ宏人に、黒い閃光が迫る──それは『闇』。

 全てを一撃で葬る究極の悪夢。


『──油断するな』


「「!?」」


 宏人は動かないのにも関わらず何故か『焔』が発動し、『闇』を相殺した。


「あ、アルドノイズか……サンキューな」


「そこまで堕ちたかアルドノイズ。向井宏人が死ねば貴様は無傷で復活するだろうに」


 アスファスが蔑んだ目で宏人を見下す。

 宏人は気にせず体を動かしてみる、特に違和感はない。

 

『人形だ』


 すると、また体の中からアルドノイズの声が。

 

『あの人形を見る度お前は一秒動きが止まる。目を瞑れ』


「……は?さすがに目ぇ瞑ってアスファスとやり合う自信はないぞ」


 ──いつの間にか黒い世界にアルドノイズと二人。

 アルドノイズと話す時は、いつだってこの場所だ。

 アルドノイズはこの何もない空間で自由を縛られているというのに、宏人はアルドノイズから怒りも殺意も感じなかった。

 そんな不思議な感覚を覚えている宏人に、アルドノイズはニヤリと笑う。


『──オレが、お前の目になってやる』


 ──戻る時も気がつかぬ間に。

 宏人の目の前には、先程と同じ様に蔑む目をするアスファスが。

 

「……ふざけているのか?」


 宏人は、目を瞑りアスファスに突っ込んだ。

 アスファスは訝しげに宏人を見つめるが──消えた。


「ッ。どこ──ッ!?」


 瞬間、アスファスは背後に気配を察知し身を翻しバックステップ。

 アスファスが一瞬前に居た所には、宏人の手が。

 アスファスの額から冷や汗が垂れる。


「何故目を閉じたまま動ける!?」


 アスファスは必死に宏人の猛攻を避け思考し──ハッと気付く。


「またアルドノイズかぁッ!」


「正ッ解!」


 宏人の手がアスファスの頬を掠め──アスファスの頬が爆発、鮮血が飛ぶ。


「ッ」


 傷は浅い、アスファスは余裕で回復しながらも戦慄する。

 宏人の他対象の『変化』は変幻自在。

 たった一度触れられたら最後、対象を木っ端微塵に吹き飛ばす最強の業。

 だが──一撃必殺は、宏人だけではない。


「『闇』」


「ッ!」


『避けろッ!』


 アスファスの周りから黒いレーザービームが炸裂。

 アルドノイズが珍しく叫んだのもあるが、宏人も直感で分かった。

 

 ──これに当たると死ぬ!


「フハハハハ!」


 『マーレ・サイズミック』の時と同じ様に、完全に場を支配したアスファスが高笑いする。

 宏人もその際と同じ様に必死で避けながらアルドノイズと心の内で対話する。


「……これ、俺の『変化』と相殺出来たりしないか?」


『やめとけ。試してみる価値はあるがリスクが高過ぎる。何より超能力とカミノミワザだ。次元が違う。死ぬぞ』


「マジかぁ……!」


 宏人を『闇』が襲う。

 そして一通り笑い終えたアスファスも戦闘に参加してくる。

 

「いつまで持つか見ものだな」


「他人の力でイキんな!」


 宏人は『焔』をばら撒き『闇』を退ける。

 やはり一撃必殺の代償か威力は然程ないらしい。

 

「さっそく貴様も他人の力を使っているじゃないか!」


 アスファスは地に直接『闇』を放ち、大地を砕く!


「ッ──嘘だろ……!」


「さぁ、どう避ける!?向井宏人ォ!」


 足場が無く両者が落下する中、再度アスファスが『闇』を放つ!

 四方八方より襲い掛かる『闇』は『焔』のみで対処しきれない──ッ!

 

『七録カナメの様に飛びながら撒き散らせ』


「なんかさっきから言いなりでムカつく!ムカつくけど、ありがとうな!」


 宏人はアルドノイズに言われた通り足元に『バースホーシャ』をぶっ放ち飛行し、『焔』で『闇』を対処し切る!


「ッ……!しぶといんだよ!」


「テメーもなぁ!」


『お前ら似てるな』


「「ざっけんな!」」


 やがて『世界』が修復されたのか足場が出来、着地する。

 そこにはやはり変わらず人形が。

 宏人は今アルドノイズと視界を共有する事で何とか戦えているが、本来ならどんな敵も動けぬまま一撃必殺を食う最強の式神。

 拳を握り、目の前のアスファスを見据える──

 『闇』には『焔』で対処されると知ったアスファスが次に打ってくる手。


『来るぞ』


「ああ──やってやるよ」


「来い──『四大天使』、『四ノ悪夢』ッ!」


「来い──『四大悪魔』!」


 アスファスの背後から四体の天使と四体の鋭いキバを生やしたワニの様なバクが。


 宏人の背後からは──


 相変わらず目を瞑ったまま、振り返らず宏人は言った。


「久しぶりだな──カオス」


「マサカキサマガオレノアルジトナルトハナ……イツカコロス」


「ああ、お前を殺した以来だ」


 風が吹くはずがない式神の『世界』の中で、宏人とアスファスの髪が揺れる。

 圧倒的数的不利な現状だが、宏人は構わず突き進む。

 

『……さすがに分かっていると思うが、長引かせるなよ』


「ああもちろんだアルドノイズ。アスファスが完全に『闇』を操る前に、ぶっ飛ばす!」


 なにせアスファスが『闇』を掌握した瞬間、『闇』と『凪』が同時に襲いかかってくるのだ。

 そんな悪夢、見たくない。


「じゃあ、ソウマトウのバクにでも食ってもらいましょうかね。んな悪夢」


「何を訳の分からない事を言っている?恐怖で頭が回らないか?」


 両者陣営同時に、大将首を狙って肉薄した。

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