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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十章 神魔大戦・後編
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165話(神サイド) 神魔決戦⑨


『マーレ・サイズミック』が荒れ狂う『龍宮城』にて、エラメスはカミノミワザを連発する。

 なにせ敵は神をも超える人──『神人』!


「『カオスリヴィエール』ッ!」


 エラメスの手より巨大な水の渦巻きが炸裂する。

 それを迎え撃つのはカナメ。

 カナメはゆっくりと片手を突き出し──


「『極爆破』ァッ!」


 カナメが生み出した爆発は『カオスリヴィエール』を破壊するだけに止まらず付近にいた水妖も消滅させる。

 エラメスは焦り更に何発もカミノミワザを撃ち込む。

 エラメスが焦っている理由、それは『極爆破』の威力だけではない。


「──なぜっ!なぜ貴様に攻撃が当たらんッ!?」


 そう、カナメはたまに反撃と言う様に『極爆破』を繰り出し破壊を生み出すが──なんと『極爆破』を撃っていなくともカナメにエラメスの攻撃は当たらない。

 現に今カナメは『マーレ・サイズミック』の中心でほくそ笑んでいる。

 本来なら触れただけでその部位が粉々になるという威力のこの式神の奥義を、しかも威力が集中するその中心でカナメは何もせずにただ立っている。

 

「自分で考える事だなぁ!クソじじい」


 カナメは足元に『極爆破』を放ち一瞬でエラメスの元へ!


「なぜその威力の爆発を足元に撃っても足がある!?」


「知らねーよ。俺が知りたいくらいだ」


 カナメの蹴りがエラメスの首元に直撃。

 エラメスはか細い声を出して白目を剥くが──それは気合いか根性か。

 それは一瞬ですぐに黒目に戻し、殺意を剥き出しにする。


「ここで貴様を外に出すとアスファス様の身が危ないのでなぁ!逃さんよ」


 エラメスは腕に『カオスリヴィエール』を纏い殴るという自爆技をカナメに叩き込む!

 神の自動回復前提の、撃ち終わった後は腕が木っ端微塵になるという自爆技。

 しかしその威力は絶大。

 だがカナメに当たる直前、見えない壁の様なものに阻まれ触れることが出来ない!

 エラメスの顔が真っ青になると同時に、『カオスリヴィエール』は自身の腕を飲み込んだ。

 カナメの口角が上がる。


「これが、ほんっとうパンチだ。歯ァ食いしばれよ?」


「ッ──!?水妖ォォォォォォォォッ!」


 カナメの拳が炸裂!

 拳には『極爆破』を乗せていたのか、エラメスと同じように腕には自信の異能を纏っている。

 エラメスはこの『世界』では無限に湧き出る水妖を全力で生み出し己とカナメの拳との間に顕現、威力を落とすためだ。


「ガアアアアァァァァァァァッ!?」


 しかしカナメの拳は一切威力を落とさず水妖を貫きエラメスの顔面をぶっ飛ばした。

 エラメスは浅海の上を石切の様に跳ね続ける、威力が馬鹿げている分勢いは衰えそうにない。

 エラメスは死ぬ覚悟で殴られた方とは反対方向に己に向かって『カオスリヴィエール』。

 エラメスの体は半壊するが、神の回復を上回る力で以ってやっと修復した。


「ウオオオオォォォォォ!」


 エラメスは己に喝を入れるため叫ぶ。

 

「『凪』ッ!」


 いくつもの水の刃が生成されるが、エラメスはそれだけでは終わらず作り続ける。

 何十、何百、何千──それ以上の水の刃がカナメを切り刻む!


「だーから、無理だって」


 カナメが言う様に水の刃はカナメに当たる直前に、見えない壁に当たる様に弾けて砕けた。

 当の本人は何もしていない、見せつける様に大きなあくびをする。

 それを見てエラメスは苛つきよりも焦りが勝つ。


 そして確信する──七録カナメは既に、神人として完成しているッ!


「来い──水妖ッ!」


 エラメスの足元から突如大量の水妖が湧き出る!

 それはカナメの腕を食い違ったサカナになる時の倍以上。

 それが意味する事は。

 カナメは嬉しそうに叫ぶ。


「さぁリベンジといこうぜ──おサカナさんよぉ!」


「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」」」


 エラメスの本気の本気、サカナが三体出現!

 サカナたちは相も変わらず気色の悪い声を大声で発し、カナメに向かって直進!

 サカナの速度はやはり人間の目では追えない超高速。

 しかし、神人と成った今、カナメは普通に目で追う事が出来たが──避けない事にした。


「ギャッ!?」


「これ程とはッ……!」


 三体のサカナはカナメに直撃したというのにも関わらず、カナメは悠然とエラメスの前で宙に立っていた。

 いや、正確にはカナメには直撃していない、やはり見えない壁の様なものに阻まれ、サカナはそれに激突したのだ。

 三体のサカナは自身の速度と体重によって自滅していった。

 そんな様子を、カナメはつまらなそうに見下す。


「ふん、さすが神人と言ったところか?」


「やめてくれよ。俺まだ新人だぜ。ただ──お前が弱いだけ」


「ふざけるなよ──クソガキがアアアアァァァァァァァ!」


 エラメスはらしくなく勝機も作戦もないのにも関わらず突っ込んだ!

 カナメは楽しそうに笑う。

 

「起きろ!貴様はニセモノだろう。わざわざ真似事などするな──白龍ッ!」


「グギャアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!」


 鼓膜を突き破る音量の鳴き声を発し白龍が虚空より顕現する。

 白龍の口から閃光が迸る。

 龍の本気、口から出ずる破壊の呼吸。


「『マーレ・サイズミック』、『カオスリヴィエール』」


 真下より海が渦めき全てを喰らい尽くす柱と成る。

 右方にはエラメスと『カオスリヴィエール』、左方には白龍、そして真上には少量ながらも絶対にカナメを殺すと睨みつけてくる水妖が。

 これは先程カナメが負けそうになった時と同じ戦法。

 多い手札を惜しみなく使用したエラメスレベルではないと不可能な相手を八方塞がりにする神業。


 しかし──カナメはやはり、笑う。


「さっきは逃げて悪かったなぁ!全員相手してやるよ」


 白龍ほプラスと『カオスリヴィエール』がカナメに両側から激突、だがどうしてもカナメに攻撃を与える事が出来ない。

 エラメスが歯噛みする中、カナメの口が開く。


「──簡易展開『消炎都市』」


「ッ!?」


 刹那、『世界』が塗り替えられ全てが燃ゆる炎の都市と成る。

 数発『奥義』を使ったとはいえ塗り替えられる速度が尋常でない。

 エラメスは驚き冷めない中、カナメの自らも巻き込む『極爆破』が炸裂。

 水妖は呆気なく消滅するが、白龍は主人のエラメスを蹴飛ばし無理やり範囲外へ、そして白龍も消滅していった。

 

「ッ──!」


 声にならない大声を出しエラメスは神剣『白龍』でカナメに斬りかかる。

 カナメも楽しそうにわざわざ避け、エラメスの腹に拳を叩き込む。


「ウッ!」


 吐きそうになるがグッと堪え殴り合いに持ち込む。

 もちろんカナメは近距離でも『極爆破』を撃てるがしない。

 エラメスはそれを分かっている、だが他に方法がない。


 ──この化け物には、対処方がないッ!


 エラメスはカナメの頭に回し蹴り!

 だがやはり当たらず体制が不安定な中カナメの頭突き。

 カナメ自身の頭ではない透明な壁がエラメスの頭を殴りつけてくる。

 視界に火花が散る、しかし気は失わない。

 

 ──気を失った瞬間、自分ともかくアスファス様が──ッ!


「──アンタは、もう十分頑張ったよ」


「な、んだ……と……?」


 気付けば、エラメスは地に臥していた。

 エラメスの超人的な能力、超人的な体術で以ってしても、やはり神人には敵わなかった。

 意識が遠のく、耳鳴りが酷くなる中で、カナメが少し笑っているのが見えた。


「さよならだ──父さん」


 カナメはそう言うと、天高く昇っていく。

 そこはこの『世界』の頂点──そこに行く意味とは。


「最後に綺麗な炎を魅せてやる」


 エラメスは最後に想う。


 ──ああ、名前に似合う、なんと綺麗な──


「──『線香花火』」

 

 瞬間、『世界』は焼き尽くされた。

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