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超能力という名の呪い  作者: ノーム
十章 神魔大戦・後編
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163話(神サイド) 神魔決戦⑦


 全てが無に帰される光輝の世界。

 それはカナメ以外の一切合切を全て消し去り、例え生きながらえたとしてもその後の酸素中の有害物質で死に至る。


 そんな世界で、そんな攻撃で、そんな状況で──エラメスは立ち上がった。


 それも、無傷で。


「……『神化』、か。めんどいなぁ」


 カナメは頭の後ろをガリガリ掻いてため息を吐いた。

 そう、神には『神化』という回復手段がある。

 実際それは回復のためにあるわけではないのだが……それでも、もちろんエラメスや神たちは使えるものは使うわけで。

 エラメスは無言で虚空に手を突っ込み──神剣『白龍』を取り出し、そのまま解放。

 またもや眩い光が炸裂し、やがて。


「グギャアアアアアアアアアア!」


「……ッ!いつ見ても迫力あるなぁオイ」


 白龍の雄叫びはカナメの『花火』と『消炎都市』によって生み出された有害物質を全て吹飛ばした。

 遠慮なく鼓膜を叩いてくる音に顔を顰めながら、ここからが本番だと気を引き締める。


「……私は少々貴様を舐めていた様だ。七録カナメ」


「今は違うのか?」


「ああ、貴様は紛れもない強者であり……敵。──ここで必ず仕留める。本気でいくぞ?」


「来いや。ジジイに若者の元気っぷりを見せつけてやるよ」


 カナメが挑発する様に手をクイクイすると、まずは白龍が巨大な顎を開けて迫ってきた。


「──『爆破』ッ」


「グゥオオオオオオオオオオオオ!」


 白龍の口の中で『爆破』が炸裂、口の中をズタズタに焼き刻む。

 そんな白龍の背後よりエラメスが。


「貴様の能力と龍は相性が悪いな」


 エラメスはノータイムで『流水群』を放つ。

 それをカナメが『爆破』で何とか対処している間に──


「『カオスリヴィエール』!」


「やべっ……!」


 『カオスリヴィエール』は容赦なくカナメを呑み込む。

 凄まじい水の圧を凝縮したカミノミワザ、人間が巻き込まれたら無事では済まない。


「チィッ!いってぇな!」


 カナメは直前に己に『爆破』をかけ『カオスリヴィエール』と相殺していた。

 この『世界』ではカナメは己の能力に左右されないのを生かした、本来なら、自爆技。

 だがやはり能力の格の差が出たか、カナメの顔の一部や腕の皮が剥げていた。

 しかし尋常ではない水の水圧に対してそれ程で済んだのは行幸。

 とにかく、まずカナメは白龍に狙いを定めた。

 

「ギシャアアアアアアアアアアア!」


 白龍は凄まじい形相でカナメを睨み、鋭いツメで切り刻まんとする。

 

「おーこわいこわい」


 カナメは己自身を『爆破』で吹っ飛ばしそれを回避。

 白龍は苛立ちを隠さず鳴き声を上げながら、飛翔しカナメを追いかける。

 

「ッ!」


 そして、白龍は後悔した。

 目の前には、爆風で吹っ飛ばされたカナメが──


「消し飛べ、『花火』!」


「グギャアアアアアアアアアア!!??」


 白龍の頭上で大爆発、『花火』は白龍の両翼をも焼き墜落させた。

 地に大音量の衝撃が走る。

 だがそれだけでは白龍は死なない、焼けた眼でカナメを睨みつけるが──いない。

 本能か、白龍は背後を見た。

 

「もういっちょ!」


「──ッ!」


 空中にいた時よりも大火力の『花火』が白龍を焼き尽くした。

 『消炎都市』は最初の一撃が最も強いが、この『世界』が油分で形成されている事には変わりない。

 白龍は小さい悲鳴を上げながら徐々に小さくなっていき、やがて神剣『白龍』に戻った。

 カナメはため息を吐き──エラメスを見る。


「大人しく待てないのかよ」


「私は一歩も動かったはずだが。大人しく暇潰しをしていたに過ぎない」


 エラメスが白龍と共に戦わなかった理由。

 それは。


「暇潰し、式神の準備ね」


「正解だ。貴様を私の命を消費するのに相応しい敵だと認定してやろう──式神展開『龍宮城』」


 『世界』が塗り変わり、カナメたちはいつ間にか美しい海の上にいた。

 アスファスの式神、『龍宮城』。

 そしてアスファスと契約し、エラメスは己の命を消費する事によって構築可能な『世界』。

 底は浅く、くるぶしから下が浸かる程度。

 だがその海は、簡単に人を喰らう。


「奥義──『マーレ・サイズミック』ッ!」


「ッ!」


 突然、足元の海から柱状の渦巻きが幾本も荒れ狂う。

 カナメはうまく『衝撃』を用いて宙を舞い避ける。


「ッ。うっそぉ……マジで?」


 そんなカナメの頭上に、今度は『流水群』が降り注ぐ。

 加えて左横から『流水群』で飛行するエラメスの『カオスリヴィエール』が襲い掛かる。

 じゃあ右はと振り返るが、そこには大量の水妖がカナメに向かってきていた。

 上、両横、下からの一斉攻撃。

 その中からカナメが選択したのは──!


「勝負だ水子ちゃん」


「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」


 カナメは足元の『衝撃』の威力を最大にして一気に水妖に突っ込んだ。

 大量の水妖は気色の悪い声を発しながら何かを伝え合い──やがて一体の巨大なサカナと成った。


「ハッ!おもしれぇ!」


 カナメはこっそりとために溜めていた『花火』をノータイムでサカナに炸裂!

 だが水と火という相性のためか、サカナは『花火』に悲鳴をあげながらもものともせずカナメに突撃。

 刹那──カナメの左腕が飛んだ。


「は──?マジかよ……」


 左肘より先が無くなっている事に気付いた頃には、サカナはカナメの背後にいた。

 カナメは涙目になりながら『衝撃』で左腕を潰し、無理やり止血した。

 当たり前だが更に激痛が伴う。

 

「なんかクッソ強くなってるのほんと勘弁なんだが……。あと名前の表記にててムカつく」

 

 カナメはサカナに出力最大の『花火』を発動。

 するとサカナは呆気なく爆発し、霧散した。


「ありゃ、耐えるかと思ってたんだけど」


「アレは最初の一撃に特化した攻撃型だ。それ以降は的のデカいただの水妖に過ぎない」


 エラメスはゆっくりとカナメの目下へ歩いてきた。


「ナメてたりする?」


「ああ、貴様はもう敵ではない」


 刹那、エラメスは手を払いカナメを横に飛ばした。


「ッ!」


 カナメは目を見開いてエラメスを見た。


 速すぎるだろッ……!


 おそらく昨日のアリウスクラウンよりも。

 何より初めて左手を無くしたのだ、平衡感覚が掴めず立つのにすら四苦八苦する。

 息も絶え絶えの中、カナメは構えた。

 

「その年齢でその精神力は褒めてやろう」


「るっせ。黙って戦え」


「そうだな。その通りだ」


 エラメスはカナメから視線を外して逆方向に少し歩いた。

 相変わらずのナメプにカナメは苛立ちながらも、待つ。

 エラメスは先程倒された白龍の元へ行き、神剣『白龍』を拾い──構える。


「貴様から来い、挑戦者」


「──ッ!」


 カナメは答えず一気に間合いを詰めた。

 多大な『衝撃』と少量の『爆破』を合わせた神業はとてつもないスピードを生みエラメスの目を見開かせる。

 カナメの拳がエラメスを捉えた。

 しかしエラメスはそれに対応、片手でカナメの拳を捕らえた。

 だが──カナメの片口が上がる。


「『爆破』ァ!」


「ッ!?」


 カナメの拳が爆発、もちろんその拳を掴んでいたエラメスの手も爆発した。

 エラメスはダメージよりも驚きの方が強いのか、一瞬フリーズする。

 カナメは、そんな隙を逃さない!


「──『花火』ッ!」


 己も巻き込む至近距離で──火の花が咲いた。

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