表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超能力という名の呪い  作者: ノーム
十章 神魔大戦・後編
167/301

159話(神サイド) 神魔決戦③


 ──式神展開『消炎都市』にて。

 カナメの『花火』が、この地に投下された。

 それを迎え撃つはエラメス。

 

 ──『花火』はエラメスの『流水群』と衝突するが、それでも『花火』の勢いは止まらない。


「燃やし尽くしてやるよ!エラメス」


「調子に乗るなよ、ガキが」


 エラメスは、今度は『カオスリヴィエール』を発動。

 先程『流水群』と衝突し威力が幾分か落ちたためか、『花火』は瞬時に霧散した。

 カナメは舌打ちと共に、再度無数の『爆破』を作り──『花火』にする。


「まずは、そこから引き摺り下ろしてやろう」


 エラメスは跳躍、そして足元より『流水群』を作成し、サーフィンの様に乗ってカナメの元に突っ込む。


「何でもアリだな!」


 カナメはまだ合成していない無数の『爆破』をエラメスに撃ち込む。

 エラメスはそれらを全て──


「『凪』


 あっという間もなく払い除けた。


「ッ!?」


 エラメスは遂にカナメの目と鼻の先まで到着。

 どうやら『流水群』は空中で浮かび続ける事も可能らしい。

 エラメスの鋭い目がカナメを射抜く。


「やっべ」


 カナメは分が悪いと見るやすぐさま足元の『爆破』のエネルギーを解き、落下。

 エラメスもそれに続き、足元の『流水群』を解きカナメに手を向ける。


「『カオスリヴィエール』」


「『爆破』ァ!」


 カナメとエラメスの能力が激突──だがやはり、一対一では能力の格が違う。

 カナメの『超能力』はエラメスの『カミノミワザ』によって掻き消され、威力を殺しきれなかった『カオスリヴィエール』がカナメを襲う!


「ッ──!」


 カナメは瞬時に全範囲に『衝撃』を展開──だが弾ききれず、カナメはまともに受け、地に激突。

 幸いにも背に発動していた『衝撃』は問題なく、落下によるダメージは最小限に抑えられた。

 エラメスは再度『流水群』を発動し難無く着地。

 仰向けで咳き込むカナメを見下ろす形となった。


「こんなものか、七録カナメ」


「んなわけねぇだろ──『爆破』ァ!」


「ッ!?」


 珍しくエラメスが焦りながら後方へジャンプ。

 そう、カナメの『爆破』は己をも巻き込む異能、そのため油断していた。

 カナメは自身も巻き込む形で『爆破』したのだ。

 エラメスの左腕が焼かれた。


「……なるほど、これがこの『世界』のルールか」


「ああ、この『世界』でなら、俺は俺の『能力』で死なねぇ!行くぜエラメス!」


 カナメは起き上がるとすぐに、常に己を『爆破』させながらエラメスへ駆け出す!

 『花火』が駄目なら『爆破』をこの『世界』に沈下させても良かったが、いかんせんそれでは威力不足。

 なら、この『世界』の理を最大限生かして戦う事にカナメは決めたのだ。


 カナメは拳に『衝撃』ではなく、『爆破』を付与してエラメスに振りかぶる。


「このッ──」


 エラメスは『カオスリヴィエール』を放つが、カナメ自身に発動されている大量の『爆破』が打ち消し合う。

 そして──カナメの全力パンチがエラメスの腹に突き刺さる!


「ガハッ!?」


「まだまだァ!」


 カナメは疼くまるエラメスの頭に回し蹴り。

 エラメスがぶっ飛び、到着地点を予測し──そこに。


「『花火』!」


「クソッ……!──ウオオオオオオオオオ!」


 エラメスは『花火』を瞬時に『流水群』を発動して必死に回避。

 だが、それが裏目に出た。

 

「……ッ!」


 普段のエラメスなら絶対に犯さない失態。

 しかしカナメの猛攻がエラメスの行動の選択肢を狭めていき、あまり味わった事のない『焦り』がこの結果に導かせた。


 この『世界』に、『花火』が沈下する。


 それ即ち──この『世界』の異能が発動する!


「──地獄を魅せてやる」


 瞬間──眩い光がカナメとエラメスの目を焼いた。

 

 *


 無数の『眼』に睨まれる『世界』の中、アリウスクラウンは震える足を殴って鎮めた。

 そしてしばらく無言になったかと思えば……うふふふふと不気味に笑いだす。


「……こわっ」


 これにはさすがの創也もドン引きし、思わずそう呟く。

 それに対してアリウスクラウンは「失礼ね」と言い、準備体操を始める。

 あまりの急な緊張感の無さに創也は訝しさを覚えつつも冷静にアリウスクラウンに『魔眼』を発動──する前に、アリウスクラウンは動き出していた。


「『光輝』」


「ッ!?」


 瞬間、眩い光が創也の目を潰す。

 それはこの『世界』の『魔眼』も同じ様で、先程までぎょろぎょろと視線を彷徨わせていたにも関わらず、アリウスクラウンのいる位置とは見当違いの方向を凝視している。

 アリウスクラウンは笑いながら創也の顔面をぶん殴る。


「ッ──」


「昨日カナメに負けた後、色々本気で鍛えて良かったわ──ちょうど相手の目を潰すワザを考えたのは奇跡ね」


 『光輝』は『炎舞』の炎を操るという特性を生かした、炎によるエネルギーで眩い光を作り出すという技術。

 これはカナメの『爆破』による『衝撃』を体験したアリウスクラウンが編み出した、もう一つの異能。


 そして──アリウスクラウンは両手を合わせる。

 

「──式神展開『血花乱舞』」


 瞬く間に『魔眼界合』を塗り替えし、『世界』が『血花乱舞』と化す。

 先程と同じ様に、血色の世界で、所々より花が咲いており、そこからは気色こ悪い目ん玉がこちらを除いている。

 目が復活した創也は苦笑いでこの『世界』を見渡した。


「きみさぁー昨日も発動してたよね?それでカナメに負けたって事は大分『能力』を消費しているわけで……なんで今日も2回展開出来るの?」


「私の式神はどれだけ所持『能力』が多いかによって強さが分かりやすく変わるからね。如何にして『能力』残量を増やし、どれだけ『能力』消費量を最小限にするかをずっと鍛えてきたの」


 アリウスクラウンは創也に微笑み──駆け出した。

 創也は冷静に構えをとる、背後より15本の『お花』が『炎舞』を発動した。


「『止眼』」


 創也は『邪眼』の異能を発動し取り敢えず『お花』は止め──アリウスクラウンと一騎討ちの状況へ。


「その眼、いつまで使ってられるの?」


「対象が格下ならいつまでも、ね。だけど『邪眼』のリソースが奪われるのは嫌なわけで──」


 創也は駆け出し、まずは『お花』を刈り取ろうとする。

 アリウスクラウンは、もうそれは見逃さない。


「ッ」


 アリウスクラウンは創也に一瞬で追い付くと──横腹を掌底打ち。

 創也は咳き込みながら地を転がり、虚空より『勇者剣』を取り出す。


「私に接近戦で勝てるかしら?」


「一応『勇者剣』には『身体能力上昇・特大』が付与されてるからね。多分いけるよ」


 創也とアリウスクラウンは数秒見つめ合い──どちらからともなく激突。

 創也の剣を最小限の動きで躱し、アリウスクラウンは懐に潜り込む。

 創也はそれを察していたのか、振り切った剣の柄でアリウスクラウンの頭を狙う──が、それも見越していたアリウスクラウンが創也の顎を穿つ。


「がっ」


 軽い脳震盪で、創也の視界が回る。

 アリウスクラウンはその隙に創也の足を払い地に寝転がらせる。


「狙うのは──眼かな?」


「ッ!?」


 アリウスクラウンが伸ばした腕は、創也に掴まれ、今度はアリウスクラウンが背から地に叩きつけられた。


「いった──ッ!やるわね」


「そっちこそね……!」


 だがアリウスクラウンのダメージは悉く回復していく。

 これがアリウスクラウンの式神展開『血花乱舞』の異能、『能力』が続く限りの半無限回復。


 創也はよろめきながら立ち上がり──アリウスクラウンの片頬が笑みの形に吊り上がる。


「でも──私の方が上手よ」


 瞬間──創也の背を、炎が焼いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ