10話(神サイド) 超能力者達
世界最強の能力者と言われる四人の超能力者達がいる。
世界最強の称号を貰う為に必要な事は至ってシンプル。
それは能力名に[者]が付く事である。
その者達を[超能力者]と言う。
*
「さっきさすんごいむかつく事があった!」
「戦って発散したいって事?やだよ余波で街が吹き飛ぶ」
その[超能力者]の二人が仲良く話していた。
「大体何にムカついてるんだよ?生理か?」
「生理なんて俺もお前も一生体験しないだろ。じゃなくてさぁ…。ついさっき一人の一般庶民を助けた訳よ。そしたらさ…」
一時間前
「はあ…最強キャラも疲れるわ…。なーにが神に選ばれし者じゃい。俺は別に選ばれてねーよ」
俺こと七音字幸太郎は任命式が終わり、帰り道を一人で街を歩きながら愚痴っていた。
俺が[身体者]になれたのは名前のお陰かもしれないが運が良かっただけである。
この名前で能力が[幸運]などだったら多分最強だろうといくら考えた事か。
因みに[身体者]とは雑魚能力の[身体能力アップ]の最上位版である。
「うわあああああああああああ!」
そんな時男の悲鳴の声がした。
なんだろうか…?
声の辺りはここら辺か?
と思ったら璃子が[創造者]で足から触手を作り、男性を絡めとっていた。
因みに璃子は片足で立ちながら触手を操っている。
バランス感覚がすごい。
…何故だ?
男は幸福の絶頂みたいな顔をしているが…。
さっき悲鳴を上げていたので。
「[身体者]!」
自分の足を最大限に速くして璃子の目の前に行き、自分の手を最大限に強くして璃子の男を巻いている触手をちぎった。
「なにいいいいいいいいいいい!お前は幸太だなああああああ!ふっざけんなそんなに俺が憎いかあああああいあ!」
耳が壊れるぐらいの大声で怒鳴られた。
「な?酷くない!?」
「…すまんが状況が全然理解出来ない」
「それは俺が言いたいんだけど…」
「あーそれはともかく璃子ちゃん元気だったー?」
「ああ男を絡めとって遊ぶぐらい元気そうだよ」
嫌味である。
「金に困ってんのかな?」
「困ると思ってる訳?」
そんな二人に第三者の声が聞こえた。
「あー璃子遅いぞ」
「わざと遅れたのだから当然じゃない」
わざと遅れんなよ…。
二人の心が見事に一致した。
「因みにあれはロバンが前々からずっと頼んできてたからしょうがなくやってやっただけよ。…まあ私も楽しかったけど」
「そうか。なんかロバンって名前を聞いただけでさっきの話しの状況がよく分かったよ…」
ていうかお前も楽しかったのかよ…。
再び心が一致した。
ていうか…ロバン?
「…ロバンって誰だ?」
「神仰教の副会長ロバン・カーソル。強いど変態だな」
「あんたさっき以外で会った事ないの?任命式だったじゃん今日」
「ああついさっき終わったところだぞ」
「あいつはさぼったって事ね」
幸太郎の中でどんどんロバンの好感度が下がっていく。
「しっかし今日は何だろうな」
「どーせエロオスが[NoS]を壊滅しろーとか言うんでしょ」
「誰がエロオスだ小娘」
「「「ひひぁ!」」」
急に璃子の背後にエロオス…じゃなくエラメス・エーデンが立っていた。
この世界で一二を争うぐらい強い奴だ。
「璃子が言う通り今回も[NoS]を見つけ出し壊滅…と言うつもりだったのだが事情が変わってな。どうぞ」
「失礼するよ。強者達」
「「なっ!」」
急に要と璃子が立ち上がった。
「か…み?」
「菜緒…?」
ん…?
璃子は目の前の人物に恐れているような反応を見せるが、要は震えていた。
「お前…。菜緒を器にしたのか…?」
震えながらも要は目の前の人物に聞く。
「いかにも。私は録七要の姉、録七菜緒を器にしている神だ。大丈夫だ[爆発者]。この姿でいすぎてもう器としての機能が怪しくなってきたのでお前の姉の死体は今くれてやろう」
すると録七菜緒の体から光の塊が飛び出し、辺り一面が光った。
そして、録七菜緒は倒れた。
…神とはなんなのだろうか?
*
「ここ何処よー!?」
「吸収の能力によって造られた異空間の中だろうな」
明るく、何も無い部屋で少女が叫び、もう一人の少女が少女を宥めていた。