表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超能力という名の呪い  作者: ノーム
五章 封印前夜・後編
107/301

100話(神サイド) 封印前夜⑧

記念すべき100話目!しかし五章完結は次話!区切りよく終わらせてくれない……ッ!


 ──『世界』が、侵食されていく──


「ここにきて式神かよ……ッ!」


「いや、ここはもう既に狂弥によって構築された簡易『世界』だ。いくら『魔神』で簡易といえど狂弥の『世界』を壊すのは簡単じゃない」


 そう言いつつも凪はアルファブルームを睨む。

 アルファブルームなら、そんな事が可能かもしれないからだ。

 『魔神』の異名を持つ神の通り──こういう戦いでは、神の中でもトップクラスの実力を持っているからだ。

 

「ちっ!まあいい。こう中途半端な方が面白いもんだ!」


 アルファブルームは高らかに笑って辺りを見渡す。

 

 吐夢狂弥の紫色で『時間』を感じさせない不思議な『世界』の上に──地獄が広がっていた。

 

 式神展開『獄廻界』。


 全てを地獄に叩き落とし、その上で無残に殺す──アルファブルームの最大最高の技!


「それを言い訳にはさせねぇからな!」


 そう言い宏人は凪の『流水群』に乗ってアルファブルームの元へ突っ走った。

 アルファブルームは己で創り出した高台から下を見下ろしている。

 

「こい!俺は今楽しくてしょうがない!」


 アルファブルームは宏人を歓迎する様に笑い、静かに両手を突き出した。

 そして再度火球を出現させる。


 ──全てを無に帰す灰塵の炎。


 アルファブルームが『猛炎と聖水の邂逅』を混ぜて混ぜて混ぜて創った、オリジナル技。

 その火球が、逃げ場のない流水群の上にいる宏人に降り注がれる。


「ちっ……!『時空断絶』!」


 ──宏人の両眼から『6』が消える。


 宏人は離脱を選択。

 だがこれは「逃げ」ではなく……。


「『神の拳』!」


 宏人はアルファブルームの背後に移動。

 そして神を宿した左拳で、アルファブルームの顔面を──


「ふん、芸がない。忘れたか?俺が今『式神』を展開していることを」


 ──アルファブルームに届く前に、黒い何かに左腕を食いちぎられた。


「ッ!?何だ……!」


 いつの間にか深く食いちぎられている左腕を呆然と見つめながら、宏人は呟いた。

 アルファブルームと高台にいる宏人は、気付かなかったのだ。

 宏人が下を見ると……そこは。


 ──地獄であった。


 黒い何かがこの『世界』を埋め尽くさんばかりに蠢いており、凪とニューマンが必死に対処していた。

 

「こついらも俺の『眷属』だ。お前も対処しに行った方がいいのではないか?」


 アルファブルームはそう静かに語りかけてきた。


 だが……宏人はもう、迷わないと決めた。


「凪!お前はそっちを何とかしろ!俺は──アルファブルームをぶっ倒す!」


「ふん!いいだろう!さっき俺も一対一で戦ったから分かる!勝てる!」


 そう凪と話をつけ、宏人は視線をアルファブルームに固定した。

 宏人は服を引きちぎって左腕に巻いた。

 時を戻して治す事は出来る。

 ──だが、そんな事で時間を使っても勝てるほど相手は弱くない。

 

「俺のあの『眷属』は俺が能力で創り出した『眷属』だ。あいつらも含めて俺は「一体」なのだが」


「んな事知ったこっちゃねぇよ。俺は今すぐお前を吹っ飛ばして、凌駕のとこ戻って凌駕もぶっ飛ばす!そして寝る!この最高なプランを邪魔する奴もぶっ飛ばす!」


「やってみろ人間。俺は、人間(お前ら)がどこまで神々に立ち向かえるか見てみたい」


 そして、両者はどちらともなく動いた。


 ──瞬間。


 剣と剣がぶつかり合う音が辺りに震撼した。


「なぜお前が『白竜』を持っている!?」


 アルファブルームが突然そう叫んだ。

 そう、宏人の今使っている剣は、アスファスの髪の毛を食べた時に共に獲得出来た剣なのである。

 

 ──神剣『白竜』。


 アスファスのみが持つのを許される、最強の剣。

 それが、運命の悪戯かアルファブルームの『黒龍』とぶつかり合う。

 だが、アルファブルームは宏人からバックステップを踏み後退し、叫ぶ。


「ふん!本当の使い方を見せてやろう!『解除』!出現せよ……黒龍!」


 すると神剣『黒龍』はパキパキと音をたて破壊され──狂風が吹き荒れる。


 そしてその中から──現れる。


「ギシャアアアアアアアアアアア!」


 黒龍が、アルファブルームの背後に降臨した。

 その姿は神々しく──禍々しい。


 これが──神の持つ力の全て。


 強力な技と、莫大な能力量と、最強の剣と龍。


 人間が、勝てるわけない力の保有者たちの総称。


 宏人は自分の剣を見る。

 このアスファスの剣も龍となる事は出来るのだろうが、これは紛い物だ。

 あくまで模倣。

 これにそんな力はない。

 だけど……そんな事で悲観する事もない。


「吐夢狂弥……お前が何で俺にこの力をくれたかは今も分からないが」


 宏人はそう呟きながらアルファブルームと黒龍に立ち向かう。


「感謝している」


 ──宏人の両眼から、『5』と『4』が消滅する──!


「『時空逆行』!」


 ありったけの力を込めて、黒龍にぶつけた。

 

 時間を、巻き戻す力を!


「うおおおおおおおおおおおお!」


「ガアアアアアアア!」


 ──あの龍は、人間がどうこうできる存在じゃないのは誰でも理解出来る。

 宏人がやるべき事はたった一つ。


 なんとしても、あの龍に何もさせず剣に戻す。


 それだけだ。


「『猛炎と聖水の邂逅』!」


 だがアルファブルームは容赦はしてくれない。

 全てを焼き尽くす紅蓮の業火が宏人を襲う。

 だが、こういう時、凪が助けてくれる事も知っている。


「その通りだ。『流水群』『流水群』『流水群』!」


 やはり、凪はいつの間にか宏人とアルファブルームの間に割って入って『流水群』を連発した。

 そして、凪も黒龍に手を伸ばすし──拳を握る。


「『空間圧縮』!」


「ガアアアアアアアァァァァァァァアアア!」


 宏人の概念の攻撃に加え凪の四方八方より潰す最強の重力に似た何かが黒龍を襲う。

 黒龍は苦しそうにもがくが、宏人と凪の攻撃から逃れる術はない。



 そして遂に悲鳴が止み──剣へと戻った。



「これで終わりじゃないのは分かってるな宏人!」


「ああ、そうだよなアルファブルーム!」


「お前らは本当に面白い!」


 凪は下に戻り『眷属』を抹殺しに行った。


 しばらく、宏人とアルファブルームは無言でお互いを見ていた。

 宏人はその時ふと思った。

 宏人のこの狂弥から譲ってもらった紛い物の力でやっと互角に戦えるのなら、本物の力を持つ狂弥からしてアルファブルームは敵ではないないのかもしれない。

 それだけ強い存在が、この世界にはゴロゴロといるという事。

 

 『神人』。


 『カミノミワザ』を授けられた4人の最強の人間。


 一人 ライザー・エルバック


 二人 ダクネス・シェス


 三人 七録菜緒


 四人 ???


 宏人は知らないが、この四人が本物の『神人』だ。

 吐夢狂弥も『神人』の一人だが……記載されていない。

 

 宏人は、そんな存在たちを見てみたくてたまらなくなった。

 どんな生き方をしているのか、見てみたいのだ。



 そして戦って──勝ちたいのだ。


 

「だからお前を食らってやる!」


 宏人の能力である『変化』の使用条件。

 それは──


 ──変化したい存在を食べること。


「うおおおおおおおおおお!」


「オオオオオオオオオオオ!」


 ──宏人の両眼から『3』が消える。


 アルファブルームの爆炎が全てを焼き込む。


 両者の黒龍と白龍がぶつかり合う。

 

 ──お互いの全力をぶつけ合う──!


「向井宏人!お前は俺に勝てない!」


「アルファブルーム!あんたは俺に食われる!」


 鍔迫り合いなんて暇はない。

 お互いがお互いを一秒でも早く殺すため、一撃一撃に最大の殺意を込める。


 宏人の左腕が切断される。


 アルファブルームの腹が切り刻まれる。


 宏人の脇腹がえぐられる。


 アルファブルームの右手が吹っ飛ぶ!


「ああああああああああ!」


「オオオオオオオオオオ!」


 宏人がアルファブルームを殺し尽くす!


 アルファブルームが宏人を殺し尽くす!


「『神の拳』──!」


「『猛炎と聖水の邂逅』──!」



 ──宏人の両眼から、『2』が消滅した──!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ