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第六話  「私」、伝家の宝刀を思い出す。

そういえば、会社で書類の整理をしているときに私の提出した履歴書を見つけたのだが、特技欄の「歌うこと」は修正ペンで跡形もなく消え去っていた・・・。

自己アピール欄にちょっと背伸びして書いた「朗らかで人懐っこい性格です」というのは、面接の時にその場で、社長が太字の油性マジックを取り出してグリグリと塗りつぶしていた。

あまりにもご無体な仕打ちだったのでそのあと3ヶ月ほどは一言もしゃべらずにずっと睨み付けてやった。

しかし・・・。

なんで採用されたんだろう・・・。


ともかくは、しかしだ(なんやねん)。

実は特技欄にはもうひとつ書いたのだ。

ズバリ!

「カウンセリングスキルがあります」と!!


これよこれ!

今までの走馬灯は現状の打開には無能であったが、これはスペシュウム光線とさえ言える。

しかも社長の塗り潰しがないというお墨付きである。


なんか、赤線で囲ってクエスチョンマークが付いていたが、これは外来語に弱い社長が意味を理解出来なかったという事であろう。


私は学校ではホームルームよりも保健室にいてる方が多かった。

そして何回かカウンセリングをしていただいた。

先生はおはなしが苦手みたいで、時々相槌を打たれるばかりであった。

私はいつもよりずっとお口が動いて、いろんな事を伝えることができたと思う。すごいぞ、私!


私はそれでいろんな事が思い付けて気持ちが楽になったのだが、先生は微笑んではいられたがよく考え込んだりされていた。

まだまだ先生は駆け出しだから能力が乏しいせいであろう。

でも頑張っておられるのは評価してあげたい。


私より無口な先生が勤まっているのなら、カウンセラーという仕事は私の天職じゃないかと閃いた。

しかも百見は一体験に如かず。一体験どころか何十体験もしている私はそれだけで本職と言えるほどのエネルギーを裡に蓄積しているであろう。


私はその温存した才能をこの「おば」さんミッションで惜し気もなく開陳しようと思う。

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