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第四話  水入り

「ギャーギャー騒いだら人様の迷惑やろー!

ボロアパートの柱が曲がったら、穴堀りから始めて、土台の基礎から直させるからなー!!」

薄い壁ながら、さながらお隣さんにいるみたいなライブ感で4部屋向こうからの怒鳴り声がする。


「おば」さんよりも「ゆう」さんよりも怖いのはやっぱり「大家さん」。

力なき正義は無力なりのひとで、ずいぶんなお婆ちゃんのはずだけど、熊みたいな体格で「ヤ」のつく方も避けて通るほどだ。

俺様な縦横無尽さは愛嬌と言うには周囲の被害が甚大過ぎるのだけれど、お家賃を4ヶ月も待ってもらっている私は何をいわんやである。

さらに本気でピンチな時にいただく差し入れで私は餓死を免れている。彼女は私のキャッチャーインザ三途である。


このアパートは若い頃に今は亡き旦那さんと一緒に建てたそうだけど、資金の足りなかった分は自分達も穴堀りから何でも参加したらしい。

ボロとはいえ、今でもしっかり現住建造物の性能を維持しているのは、大家さんの膂力と体力と執念と情念の賜物かもしれない。

そういえば、扉の向こうの「おば」さんが私の部屋に入ってこれないのも、結界か何かなのかもしれない。

すると、プロレスラーと渾名していた大家さんは、さらに陰陽師であり超能力者でありエクソシストかもしれない。


そう思うと、虎の威を借る私としては、「おば」さん怖るるに足らずである。


というか、大家さんの歓心を得るためにも速やかな事態の収拾が急務である。



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