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第三十三話 第二回大本営作戦会議の続き

「ただいま戻りました」

四谷さんが礼儀正しい会釈をしてから席に戻ってくる。

先程は声もかけずに口を押さえて慌てて出ていっちゃったのにね・・・。

なんか、すっきりした顔をして、目元に涙の跡がある。きっと、誰もいない所で涙が出るくらい、おなかを抱えて笑ってきたんだろうね。うらやましい・・・。


「四谷。お前とは雌雄を決めないといけないようだな」

睨み付ける大家さんだけど、ちょっと首筋が赤い。

照れてるところを見ると、自分でもさっきの発言は恥ずかしかったみたい。


「えー?

大家さんが女性で四谷さんが男性だよねー?」


あっさりと「おば」さんが雌雄を決っしちゃったけど

それは慣用句なんだよ。

「犬も歩けば棒に当たる」って言っても、それを「いつどこでどこの犬がどうやって」なんて根拠を聞かれても誰も答えられないよ。

そもそも、雌雄ってオスの方が強者のつもりだけど、生物学的にはメスが上位だよ。


でも、女性が女性言葉使って恥ずかしがるって・・・?


「女性言葉が恥ずかしいんじゃない。

自分らしくない言い回しが恥ずかしかっただけだ」

「言葉遣いは自分で選びますが、言葉遣いによって性格が形成されもしますしね」


「要するに、乙子ちゃんはお茶目がスベっちゃったのが恥ずかしかったんだよね・・・。」


「お茶目って・・・。

そもそも大ウケしたやつが一人いただろう」

と横目で四谷さんを示す。

ウケたかったのか、ウケたくなかったのか、よく分からない乙女心ですね・・・。


「笑って良いんなら、私も笑ったのに・・・」

「おば」さんがヘラっとしながら、私の裾を引っ張る。

「おば」さんはこう見えても意外と苦労人だから、一生懸命に人の顔色を伺うんだろうな。しかも、大家さんには餌付けされちゃってるから絶対服従だ。

お神酒って言うのは、いつも気を張り詰めている神様に穏やかに笑って頂くためのものかも知れない。

「おば」さんもそしたら、無防備に笑えるのかも知れない。


「うずめ、オバとの酒宴はあながち間違いではないが、それでもお前は絶対禁酒だからな」

えー!大家さん鋭い!!

神女就任をきっかけに飲酒許可を勝ち取るつもりだったのに!!!!


「リラックスする者もいれば、反対に追い詰められる者もいる。お前の酒乱は自分の命の危険がある。周囲も迷惑だ。諦めろ!」


うーー、身に覚えが山ほどあるから反論出来ません。


「『おば』さん、私の事なら気にしなくて、気楽に笑って良いからね」

私は「おば」さんにニッコリしながら親指を立てる。

「はい、いつもお腹のなかで笑わせて頂いていますから、大丈夫です 」


いやいや、「腹の裡」と「腹の底から」の混同だろうけど、あまりに意味が真逆過ぎるよ。


「え?間違えてないですよ?」

「おば」さんはちょっと思案した後、真顔で返事する・・・。


これこれ、それはあまりにも私が不憫過ぎるよ。


「うずめ、諦めろ、相手は人外だ」


四谷さんがオズオズと手を挙げる。

「あの・・・。そろそろ、作戦会議を始めても宜しいですか・・・」


えー、私は、今すごく、戦闘意欲が無いんですが・・・。

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