第十六話 アマテラス
「うずっち、真名を知らぬ人に明かすのは感心しませんね。
力のある者は真名を知ることで相手を自由に操れます。
陰陽師とか、魔王とか、『神様』とか・・・」
あ、だから四ツ谷さんは私を渾名で呼んでいたんだね。
「でも今は最初に自己紹介をして、親しくなったら愛称呼びするんだよ」
「それはヨーロッパの話でしょ?
インターネットでも本名はNGでしょう?個人情報の乗っ取りやストーキング被害のきっかけになってるでしょ?」
「なるほど。女神!お前の名前は何だ?」と大家さん。
「この話の流れで名前を聞きますか?
真名は言いたくありませんから、『オバ』と呼んでください」
うん、私も大家さんだったら真名くらい扱える気がする。でも。
「え?『「おば」さん』で合ってたの?」
『け』が付くのかな?『か』が付くのかな?ドキドキ・・・。
「何かと失礼なことを考えていませんか?
私は向こうの世界のさまざまな地域やさまざまな部族から、それぞれの違った名前で呼ばれています。時代によっても違います。
ただ、初めて私に会いに来た者が私を指差して言った名前が『オバーサンジャネー』でした」
はい?おばあさんじゃ、ねえ?
「意味を問うたところ、私の威光に当てられて5分ほどは冷や汗を流すばかりでしたが、その後話し出したことは『オバー』は『空を覆い尽くす』、『サンジャ』は『輝く光』、『ネー』は『大なる者』でした。そして、その者が私の最初の神女でした」
あ、たぶんその人、言い伝えの神様に出会ったけど、あまりの若作りにビックリしたんだろーねー。でも、さすがの危機管理で意味合いをでっち上げたんだよね。
そんなひとが初代なら、私が神女ってのもありかも?
「初代はどういう功績を残されたのですか?」
「功績?
?いや、別段暇だったし、二人でおしゃべりしてたくらいかなあ?他の子は私が見えないからしょうがないし」
シエラザードかい?
「私って、おなかがすくと雷を落としちゃうんだけど、そんな私のためにその子は一生懸命、村で食べ物をかき集めてくれていたわ」
私のためって・・・。たぶん、村のためだよね。
雷なんて、危ないし怖いし面倒だし、何とか阻止しようと皆さん必死じゃなかったんかな?神女って、まさかのイケニエ・・・?
とんだ悪代官様だ。
「そういえば村長は神女を通していろいろなものをねだってきて随分栄えて、そのうち村々を併せていって大きな国を作っていったわ」
うーーん、どうしてもこれは『越後屋、お前も悪よのお』『魚心あれば水心と申します』の世界だよー。




