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11.院長を交えた「ミーティング」(アサーション・自己開示)

 これまでは、どちらかと言えば療養室の内外での話を中心にしてきたが、今回は再び屋内のテーブルの上でのお話に戻る。


 以前、私が産業医面談をうけたときの課題として「自己開示(アサーション)」を取り入れてもらえないか? というものを院長に報告した。


 その結果、リワークのメンバーの中で「卒業が近い」メンバーを中心に、スタッフ、院長も含めたうえでフリーディスカッションを行うことになった。


 特に話題を決めているわけではないが、それぞれの体調や心境・職場での経験・復職や就活に向けた状況・リワークでの取り組みなどが多く、私が後半に出勤訓練を始めるようになってからは、新型コロナ禍の状況下における通勤電車などの混雑状態なども話題に上がった。


 このミーティングの意義というものは、その中身ではなく「プロセス・手法」の習得がメインになる。


 自分の考えを相手に伝える方法、相手の意見を聞く手法、両者のあいだに意見の相違があったときにどう対処するか、お互いをどう認め合うのかなどなど…。


 これ、過去に会社で受けた研修の中ではよくあることなのだ(意見は大歓迎、どんな意見であっても他者をそれを排除しないマナーやスキルの習得など、職場運営や職場リーダー育成などの研修では必須のカリキュラムと言ってもよい)。ところが、これができていない社員、上司がいかに多いことか。


 普段の業務の中で、自分の思惑と異なる意見があると、それを徹底的に問い詰めて修正させるというようなことが往々にしてあるだろう。


 職場の中で個人の意思表示や仕事のやり方として主に「攻撃的」「受身的」「中立的」という3つの傾向がある中で、この訓練では「どうしたら自分の気持ちを中立的に持っていけるか」そしてそれを発言し、相手とディベートするかという練習である。


 往々にして、職場結合性うつ病にかかってしまう人の経緯は、自分でできないこと(オーバーフローも含む)を抱え込んでしまい、そこに責めこまれても言い返すことができず、最終的に自分を責める(自己否定)方に陥ってしまうというのがメインコースだということが見えてきていた。


 あるテーマの中で会話をしている中で、他の人の発言を受けて、自分ならどう思うか、自分が持っていきたい方向はどこなのかを説明するというのはなかなか難しい。


 これが大体午後の90分ほどの時間で行われていたが、私はここであえて議事録をその場で書かないことにした(会話に参加しているというイメージを持たせるためだ)。それを翌日に議事録+自分の意見を少しだけプラスするという内容で成果物として提出。


 こういった練習を重ねていくことで、今こうして復職している中でもそういった意見のぶつかり合いというものをこなせるようになったという、非常に大きな意味を持った訓練になるのだろう。


 この訓練が全員ではなく、選抜のメンバーで行われるということは、病院側でもより社会での実践に近いトレーニングに移行しているという「卒業間近」の暗黙のサインでもあるのだとメンバーの中でよく話し合ったものだった。


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