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「相合い傘」
私は、晴れ女。
彼は、晴れ男。
梅雨だというのに、傘の出番が無いのがうらめしい。
同じ傘に入りたいのに。
今日は朝から雨。
待望の雨だ、相合い傘だ。
お待たせ。
そう言ってやってきた彼に言う。
傘に入れてもらっていい?
照れたように頷いて、彼は傘を開いた。
やったね。並んで歩き出す。
でも、こんなはずじゃなかった。
私だけずぶ濡れなんて。
ごめんね。
申し訳なさそうに彼が言う。
ううん、仕方ない。
でも切ない、やるせない。
私は、背が低い。
彼は、背が高い。
彼が持つ傘は、私のはるか頭上にある。
なんてことだろう。
聞いてないよ。
30センチも身長差があったら、
同じ傘には入れないなんて。
了
エブリスタのお題「傘」に合わせて書いたものです。
30センチ差で相合い傘は、本当に意味がありません。
おとなしくそれぞれの傘をさしましょう。
上からじゃあ傘しか見えないと言われますけれど。