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「くま子とくまねえ」
童話です。
くまちゃん、くまちゃん。
くまねえは、くま子のことをそう呼ぶ。
なあに、くまねえ。
くま子はそう返事をして、にっこり笑った。
そろそろ秋だ。山が、おいしそうな色におおわれる。
柿、栗、それにキノコ。
黄色い銀杏と赤い紅葉。葉っぱを踏みしめ、山道をすすむ。
見て、栗だよ。
いがを踏んで、中身を取り出す。
くまねえはそれを、くま子に渡す。
はい、どうぞ。
あ、柿だ。
くま子はするする木を登った。
柿をぽきりと、ねじ切り投げる。
ナイスキャッチ!
くまねえが、柿をやさしく両手で包む。
さくさくさく、と、葉っぱが鳴る。
ピピーッ、止まれ。
木の根元に、キノコを発見。
収穫用意!
二人は仲良く、手を伸ばした。
くま子は小さなキノコを手に。
くまねえは少し大きなキノコを。
大量、たいりょう。
今日はごちそう。
キノコ鍋にしようか。それとも栗ごはん。
デザートは柿で決まりだね。
両手にいっぱい、抱えて一緒に
さあ。帰ってご飯にしよう。
さくさく、にこにこ。
秋はなんて楽しいんだろう。
秋はなんて美味しいんだろう。
くまちゃん。
くまねえ。
手を繋いで、さあ帰ろう。
了