表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生の旅  作者: mattsu
4/38

第03話 説得


 そして、夕食の席。


「お父様、私、軍属魔術学校に入ります。」


 と健介は食事の会話の中で切り出した。


 シーリアの父ヴァージル伯ヘインツと母ミレーヌは、しばし沈黙した。


「突然どうしたんだいシーリア。

 魔術学校などお前が入るような場所では無いよ。」


 とヘインツは少し引きつった顔で微笑んで言う。


「いえ、私には素質も才能もあります。

 それと、私のお友達の子も一緒に入れて欲しいの。

 その子も才能がある子なの。」


 と健介。

いきなり飛ばしすぎなのは承知の上である。

子供が老練な交渉術を使ったらおかしいだろう。


「おいおい、まさか、その子の為にお前も入るって事か?」


 とヘインツ。


「違います。

 お父様、言葉が足りませんでしたわ。

 私には資質も才能もありますから、自分の意志で軍属魔術学校に入ります。

 ついでに、私のお友達も素質があるので連れて行きたいのです。」


 と健介。

ここは子供らしく、シーリアらしく常にストレートに。


「おまえはヴァージル伯爵家の跡取りだ。

 そんなところに行く必要は無い。」


 とヘインツも真剣な表情だ。


「お父様は使用人に言っていたではないですか。

 才能が有るなら無駄にするなと。

 あれは嘘だったのですか?」


 と健介。

シーリア自身は殆ど忘れていた記憶だが、健介は見つけた。


「いや、あれはだな・・・」


「言い訳しないで下さい。お父様。」


 ヘインツが言い訳しそうになるのを遮って言う。

ここでのらりくらりと言い訳されては面倒だ。


「お父様もお母様も、私の事を信用して下さらないのですか?」


 健介は一生懸命涙目にして言う。

涙は女の、そして、子供の武器である。


 ミレーヌはいきなり責めの対象にされてオロオロしていた。


「あ、あなたどうしましょう。」


「落ち着け、ミレーヌ。」


 さすがにヴァージル伯は立ち直ったようだ。

領主をしているだけはある。


「シーリア、本気なのだね?」


「はい、本気です。」


 と健介は問いにすぐさま答える。

ヘインツはため息をついて、首を振った。


「判ったよ、私の負けだ。

 軍属魔術学校にいっといで。」


「私のお友達もですよ?」


 と健介は上目遣いで訊く。


「ああ、判った。

 好きにしなさい。」


「お父様、大好き。」


 健介は席を立ってヘインツの頬にキスした。

男の顔にキスするのは抵抗があったが、この際は仕方ない。

そして、口直しに


「お母様も!」


 と言いつつ、ミレーヌにもキスする。


「あなた、良いのですか?」


 ミレーヌは心配そうに言う。


「まあ、やれるだけやらせてみよう。

 この子の才能を伸ばすのにも良いのは判っていたしな。」



 画して、軍属魔術学校に入学する事になった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ