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転生の旅  作者: mattsu
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おまけ


 私はドラゴンのランズーヴェレート、今は人間達にランと呼ばれているわ。

でも、今の肉体は主の一人フィレイの肉体を使用しているの。

だから、実際にはランと呼ばれているのはドラゴンの肉体を使っている我が主の1人よ。


 ドラゴンである私は、気が付いたらそこに居たの。

山々を見渡す一際高い山の頂上。

それ以前の記憶は無いし、それを気にする事は無かったわ。

ただそこに存在し、最強の魔物ドラゴンとして、威を示すこと。

それが存在意義だったの。

威を示すとは、具体的には人間を殺す事だったわ。

でも、場所が場所だけに、人間には会わなかった。

時折、別のドラゴンを見かけたけど、話すことも無く接触しようともしなかった。


 それから大体500年くらいかな。

何者かに呼ばれ、不意に気が付くと、ダンジョンの中に居た。

だけど、それも気にする様な事ではなかったわ。

何故かそれが当然の事のように思えたし、どこに居ようと存在意義は同じだった。

そこに、あの3人が現れた。

主達よ。


 主達以前にも、見つけた人間を殺していたわ。

ただただ、何かに命じられるように、人間を殺していた。

主達が現れた時、同じように殺そうとした。

だけど、予想に反して殺すどころか殺されかけた。

私は驚愕の内に降伏し、盟約を交わしていたわ。


 盟約・・・実の所、あの時点までは盟約の事など思い付きもしなかったの。

知識としてはあったのだけど、あの時点まで一度たりとも意識に上がった事は無かった。

あの時、身体に大ダメージを負った瞬間に、盟約が意識に入ってきたの。

気が付けば、主たちと盟約を交わしていたの。

それが何故かは判らない。


 あの時はそれを当然のように受け入れていたけど、今思うと不思議でならない。

この不思議に思う気持ちも、人間として生きるようになってから覚えた。

自分と言う存在の不自然さを、人間達が不思議に思っている気持ちを、ようやく理解できた。


 ドラゴンの身体に入った主の話を聞くと、私には判らないドラゴンの身体の秘密があるらしいわ。

主にも詳しい事は判らないみたいだけど、なんだか複雑な気持ち。

この複雑な気持ちも、最近覚え始めた気持ちなんだけどね。


 盟約を交わしてから8年ほどの歳月が経った。

今の私はそれ以前の生を遥かに上回る驚きと興奮に包まれているわ。


 このフィレイと言う名の人間の女性の身体に入ってから約4年弱。

人間と言う存在の意味が理解できたと思っているの。

人間は1人では人間ではなく、全く不完全な存在。

1つの集団、村、町、国、そういったもので集まった人間全てを持って「人間」と呼ぶものだと理解したわ。


 ドラゴンは1匹で完全なドラゴン。

他のドラゴンは、同じ魔物と言うだけの存在。

仲間とも呼べない。

性行為どころか会話もしない。


 それに対して人間社会の複雑な事!

私にとっては、あらゆる事が驚きに満ちているわ。


 そして今、2〜3年ほど前から感じ始めていたモノの正体に気付き始めたの。

人間の女性に入った頃は、身体は人間でも心はドラゴンだった。

それが心も人間化し始めたらしいわ。

徐々に、人間の持つ独自の感情を持つようになってるみたい。


 そして、それ以上に感じた事の無いものを感じるようになったの。

それは性欲と肉体の快感。

それが何であるのかを知るまでは、その得体の知れない感覚に悩まされていたわ。

不快ではなかったけど、何か落ち着かない感じだわ。

なんとも奇妙なものよね。


 でも残念な事に、知っても解決はしないの。

それを解決する為には、人間の男と交わるのが良いと知識にはあるわ。

でもどんな男でも良い訳ではないみたいなの。

それに、やたらと男と交わるのは良くないという知識もあった。

動物の様には行かないみたい。

特に、今のフィレイという人間の地位を考えると、下手な男と交わる事は出来ないの。

それはそれで面白いのだけどね。

男と交わって子を産んでみたいと思っているわ。


 ドラゴンには出来ない事。

同じ種の新たな個体の母となる。

とても興味深いわ。



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