石像
動かない。
止まって、何もない。
石などの無機物などではない。
色があり、音があり、そして色がある。
しかし、その姿は。
世の中の穿った言い方とは違うはずだ。
インドのような偉大さでもなく、エジプトのような優しさでもなく、アラビア半島のような大きさでもない、一人の人なのだ。
自由なのだ。
この地で生き、駆ける。
花、陽、月が毎日を彩る。
だが、その瞬間には一つの間が生まれる。
それが続くかどうかなのだ。
純粋に生まれるものばかりのはずだった。
そうだった。
科学が自然を汚し、人までもを汚してしまったのだ。
咎なんて安い考えで生き、無に目を向けない。
人ひとりが重いのならば、ゾウはさらに尊いはずだ。
名前なんて、最初からないのだ。