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ラブリーラブリー  作者: 風時々風
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エピローグ

暗闇を抜けるとそこは見た事のない天井だった。

「生きているのか?」

 自分の声が妙に高い。まるで小さな子供の声のようだ。寝起きだから耳がおかしいのか? いや。あれか。声の方がおかしいのかも知れない。

「目が覚めたんですね」

 女性の驚きつつも嬉しそうな声が聞こえたと思うと天井が消え上から俺を見下ろす看護師の格好をした女性の姿が視界の中に入って来た。

「錫は、手術は成功したのですか?」

「はい。お嬢様は元気にしています」

「そうですか。よかった」

 俺は安堵の息を吐きながら猫服先輩はどうしたのだろう? と思った。

「あの、猫服先輩はどうしているか分かりますか?」

 おっと。この人に聞いても分かるはずないよな。

「はい。お兄様が目を覚ましたらお聞きになるだろうからと兼定さんから話しは聞かされています。大丈夫だそうです。ちゃんと毎日を普通に過ごしているとの事です」

 さすが兼定。そっか。よかった。これで万事解決か。後は俺が退院して普通に生活できるようになれば。

「あの。起きてもいいですか?」

 痛い所などはどこもない。刺されたのだよな? 肉体を交換したのか? そういや、どうやって生き返らせているのだ? 肉体の交換って。詳しく聞いた事なかったよな? 

「それは、あの、ええっと、まだ、まだ駄目です。まだ、寝てて下さい」

 なんだ? 急に慌てた様子になって歯切れも悪くなったぞ。

「何か問題があるのですか?」

 看護師の姿が俺の視界から消えた。顔を看護師さんが歩いて行ったと思しき方向に向けるが姿は見えない。あれ? どこに行った? 俺は上下左右に顔を動かしてからそれでも見つからないと思うと体を起こそうとした。はい? おいおいおいおい。これ? なんだ? 手足が変だぞ。

「看護師さん? これは? 俺の手足が拘束されているみたいなのだが」

 もう何度目だよっ。いや。そんな事よりも、どうして拘束されている? ん? 手錠じゃないみたいだ。布か? あ。でも抜けそうかも。ふっ。縛り方が甘かったようだな。だてに何度も拘束されている訳じゃないのさ。ぐいぐいのぐいっと。よし。片手が抜けた。もう片方も、っと。よし。足もこっちも。よしよしよし。とりあえず、ベッドから出てと。

「あれ? ちょっと。何これ? え? 何? なんで? どうして?」

 俺は自分の手を見て驚愕とかそんな言葉じゃ表せないほどのショックを受けた。

「お兄様。まだ起きては。これはいけない。落ち着いて。大丈夫です」

 声がした方に反射的に顔を向けると白衣を来た医師らしい男とその横にさっきまでいた看護師の女性が立っているのが見えた。

「これは、あの、どういう?」

 ショックの所為で言いたい事がうまく言葉にできない。俺の体はどうなっているのだ? 本当はこう言いたかった。

「お兄様。細胞の移植手術自体はうまくいったのですが、お兄様の肉体の交換の方は細胞を取り出した関係で幼児期の肉体から慣らして行った方がいいという事になったのです。ですので、お兄様は今肉体的には六歳児のそれになっているのです」

 何それ? どこのアニメ? というか、どんな手術をしているの? 肉体だけ若返りしているって事? 

「俺は、これからどうすれば? こんな風になって生きて行けるのか?」

 不安だ。不安しかない。なんだこれ。どうしてこうなった。って、それはさっき聞いたか。

「大丈夫です。お嬢様がすべての面倒をみてくれます。お兄様は安心して成長して行けばいいのです」

 はい? そういう問題なのか? いやいやいや。違うよね? そういう問題じゃないよね? そうだよね? え? そういう問題? 嘘だろ~。こんなの~。

「お兄様。落ち着いて下さい」

「落ち着けって言ったって。この体だぞ? 六歳児だぞ?」

「しょうがない。君。鎮静剤を」

「はい」

「はい。お兄様。ちょっとチクとちまちゅよー」

 ちまちゅよーってなんだよ。

「ふわ。いて」

「はい。じゃあ寝まちょうねー」

 またその言葉遣いか。うお。逆らえない。六歳児はあまりに非力過ぎる。

「駄目。やめて」

「ごめんなちゃいねー」

 俺はまた手足を拘束されてしまった。

「先生、今度は抜け出せないよにきちんと縛っておきました」

「こんな事なんで。縛らなくっても」

 うう。なんだかぼうっとして来た。鎮静剤が効いて来ているのか?

「突然の変化に伴う精神的ショックによる異常行動を抑制する為です。慣れればこのような事はしなくなりますから」

「寝まちょうねー」

 だからその言葉使いはやめ。

「ぐー、すぴすぴすー」


おしまい

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