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音楽室にて
音楽室は放課後軽音部の練習教室として開放されている。だが、軽音部の活動は週に四日。そして今日はその休みの日なのだ。
しかし、教室には一人の女子生徒がエレキギターを肩から下げ、黙々と練習に勤しんでいた。
部屋に響くのはアンプを通して出力される電子的な弦が弾かれる音。少したどたどしい気もするが、テンポは保てているしミスタッチも少ない。
だが、彼女は突然演奏を中断すると、忌々しげに机に強く握った拳を叩きつけようとして思い留まり、歯噛みする。
彼女はやり場のない怒りをぶつけることが出来ず、相棒でもある白いエレキギターをギタースタンドに立てかけ、力なく椅子に腰を落とす。誰もいない教室は静かなもので、音楽室は防音設備があるため尚更孤独感を感じる。
「もう帰ろうかな……」
そんな呟きが教室の静寂に消えてゆく。
窓から見える空は朱色に染まっていた。