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双生児は同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた2人の子供である。いわゆる双子のことであり、多胎児の中では一番多い。多胎児の一種である。受胎時の受精卵の数により、一卵性双生児と二卵性双生児に大別される。
出産の時には数分程度の時間差で産まれることが多いが、中には数時間から数十日の間隔で生まれる場合もある(双子が一度の分娩で生まれるとは限らない)ので、誕生日・誕生年が異なってしまう兄弟姉妹もいる。また日本では、かつて後から生まれた方を兄または姉、先に生まれた方を弟または妹として扱う慣習があったが、戸籍法上は生まれた順に記載する事となっている。
(Wikipedia参照)
さすがWikipedia先生である。僕が説明するまでもなく双生児について説明するなんて。
突然だけど僕は双子だ。俗に言う二卵性双生児というやつの。
先に生まれた姉は金髪で蒼眼背も高く手足はすらっと伸びている。対して僕は身長は平均より低いし藍髪で蒼と紅の隻眼(患ってるわけではない、決して)だ。初見で双子と見抜く人はまずいない。隣に並んでいると恋人ですか?なんて聞かれたりする。姉弟なのにね。
他にも僕の知っている双子は瓜二つで相思相愛な双子もいれば、心配性な妹に宇宙からやってきたんじゃないかと思う程天然な兄。
こんな感じで僕らの学園生活は桜の花びらが通学路を桃色に染める季節から始まった。
僕も双子であいつも双子
月見里ライチ。それが僕の名前。つきみざとと書いてやまなしと読む。ライチというキラキラネーム、そして隻眼という容姿も重なり、巷で患ってるのではと囁かれているが断じてそれはない。大体、名字も名前も容姿も親が与えるもので僕はどうとでも出来ないのになんで指差されて笑われなきゃいけないのか分からない。
「またお前はスカートなんか履いて気持ち悪りいーな」
教室での僕の位置は窓際で後ろから二番目。そして誰もが羨む窓際の一番後ろを手にした男が僕に暴言を吐きやがった。
「うるさいな、僕が何を着ようが君には関係ないだろ。飴善」
「俺はお前が影でこっそり泣いてるんじゃないかって心配してやってるんだろーが。有難く思え」
「へぇー! それは残念だったね。生憎、泣いてないしそんな心配はお金積まれたっていらないよ」
「ほんっと、てめぇはかわいくねーな」
「単細胞にかわいいって言われたってちっとも嬉しくないし、あと女子制服着てるのは涼しいからだし、僕は女の子が好きだからな!」
「お前が男が好きだろーが女が好きだろーがどうでもいいわ」
はらたつ……! 僕より4センチ低いこの男は飴善あんず。漢字で書くと杏子。赤髪で口も悪い為チンピラなんじゃないかと密かに僕は思っている。
単細胞の方こそ女みたいな名前じゃんばーかばーか。
こいつとは、中学から一緒で腐れ縁みたいなものだ。
そもそも、僕が女子制服を着ているのは、単純に動きやすいし涼しい。そして何より母親の趣味が大きい。身体の弱かった僕は父と外で遊ぶことが出来ず必然的に母親の趣味であった、服飾や刺繍、編物、料理にはしるようになっていた。
「お前、俺の名前が女みたいだと思っただろ」
ぎくっ……ばれてる。こーいうところで感が鋭いから単細胞なんだよ。
「別に考えてないよ」
「俺は気に入ってるんだからな、自分の名前」
「はいはい、優しいお兄様だこと」
「なんで、そこで妹のことが出てくるんだよ」
実は単細胞も双子で妹がいる。この妹も中々手強い、それは後々説明しようと思う。そんな妹をこいつは目に入れても痛くないらしい。
大方、あんずという名前もその妹にかわいいと言われたことがあるのだろう。
「ところでさ、今日一限数学だけど宿題やってきた?」
「げっ……忘れてた。月見里見せろよ」
「嫌だね、やってこなかった飴善が悪いんだろ」
「なー頼むよまた五十嵐先生に怒られちまう」
飴善は両手を合わせ懇願してくるが無情にもそれは授業を開始する鐘により阻まれた。
「どんまい、飴善」
「死ね中二病」
「黙れ」