表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

私の蛇は可愛らしい。

「咲ちゃん!助けて!!」


「やだ」


今日は早く帰路について適当に拉致られてアホ猫の対策についての話を聞く予定だ。やっと今日の授業が終わって清々しているというのに何故魔術科に関わらなければいけないのか、というかなんで魔術科の他の人じゃなくて私を頼るのか、そうか魔操士の力が見たいからか。


「土屋先輩のお菓子もあるのに?ほらちょっと、ちょっとだけ山蛇と合体してくれればいいから!!」


「……ッ、いくら土屋先輩のお菓子であっても今日は用事があるし、割に合わないから清水さん一人で頑張って」


そう、今日は用事もあるわけだし我慢しなければいけない。山蛇と合体するのはアホ猫と違って抵抗は無いがそれなりに疲れるし魔力も消費するし、それに魔術科とこれ以上仲良くなってしまっていいものかという懸念がある。もうすでに手遅れだとかそんなことは考えない。


「実は今回、先輩が咲ちゃんのために特別に抹茶を練り込んだロールケーキを持って来ていて……」


悩ましい、すごい悩ましい。先日食べられたのは焼き菓子だったり常温保存が可能で持ち歩きやすいタイプのお菓子ばかり、特に生クリームが好きというわけではないが先輩の繊細な泡立て具合なんかが光る生地や生クリームの類が際立つお菓子は無かった。ましてや私のためにあの土屋先輩が和のテイストを加えてくれたというのだ、まずいわけがない、すごい美味しいかものすごい美味しいかの二択、これはもう私の運命と比べても同価値なのではないだろうか。


「で、何があったの?」


だから仕方がない。そう思ったけれど間違いだったかもしれない、普通に面倒なことだった。響の所属する園芸部の、魔法に科学が組み合わされて下手すれば商品として通用するレベルの畑が、何かの薬品をぶちまけられたか生命力を何らかの魔法で吸われたかして死にかけているという。


基本仲が悪いけど園芸部は魔法側も科学側も穏やかで明るい人が多いからか協力体制にある、そしてそれが意味するところはこの一件に一度協力すると言ってからやっぱ無理とか言うと両方に角が立つということだ。魔法側はまぁいいとしても科学側は気に入らないだろう。おまけに言えば、園芸部には普通科の人、もちろんクラスメイトの人もいる。となればクラスでもさらに敬遠されかねない。


「来て、山蛇」


呼ぶと出てきた蛇はそこまで体長は大きくない、見た目は細長いけどくるりと丸めてしまえば手の中に納まるような太さだ。うん、可愛らしい、光沢ある鱗は金色にも見えるしつぶらな瞳はとても綺麗でいくら見ていても飽きない。一つ嫌なところはあのアホ猫も爬虫類や両生類が好みであることだ。


「どうしました?咲さん」


山蛇が小さな顔を持ち上げて首をこてんと曲げる、可愛い、すごく可愛い、だと言うのに私と山蛇を見てひっと息をのむ声がするのはどうしたことだろう。どうしてそんなに怖がるのかは私には理解できない、こんなに可愛らしくてしかも山蛇は素晴らしく紳士だ。実はアホ猫よりも年長者だと言うのに腰も低いし丁寧、その性格のせいであまり年齢の割に強い力を持っていないらしいがまぁささやかな問題点だ。


「あの畑を元気にしたいんだけどいい?」


「勿論です、これでも小さな社ながら土地神として豊作を司っていた経緯があります、十分に可能でしょう」


じゃあやりますかと合体する。アホ猫みたいに私の体の主導権が取られることは無い、ただ見た目はそこそこ変わる。具体的に言うと顔面の左半分が鱗に覆われて目が蛇のようになり瞬膜とかができる。これが非常に嫌われるので私は基本的に左側だけ前髪は長め、さらにその状態の時は左手を顔に当てているのだけれどそれが素晴らしく厨二病みたいに見えるらしい。


良し、今日は顔を覆わないで置こう。多分怖がられるのだろうし立場が悪くなりそうだけど、面白そうだからこれでいい。


キャーと遂に悲鳴が上がったが山蛇もあまり気にしている様子は無い、むしろ言葉には出さないけれど若いと一喜一憂できていいですねという感じだ。怖がられているのに素晴らしく大人、アホ猫とは大人の格が違う、あれも二百年以上生きてるはずだけどやっぱり性格だろうか。私も人のこと言えないような気がしてきたけど。


「……あぁ、こうやって怖がられるんなら清水さんに頼まれても来るんじゃなかったなぁ」


落ち込みましたよという声を出してみる。実際自業自得でもあるとはいえ先輩のロールケーキの素晴らしい余韻が台無しになったのは確かなので縁起でも無く自然にこんな声が出る。山蛇が頭の中であまりいじめてあげない事ですよと優しく諭してくれるので追い打ちをかけるようなことはしない、余計に信憑性を増したような気もするけど。


とりあえずとっとと終わらせてしまおうと畑の土に手を付けてずぶりと指を沈める、いい土なのは山蛇の反応からわかるんだけど同時に何か違和感があるらしい、多分それが原因なのだろう。


「できる?」


「そうですね、土を活性化するよりも原因を取り除く方がいいでしょう」


山蛇から送られてくるイメージの通りに体の中で魔力を練る、山蛇は土地神という存在で下手に魔術や何かの様な形を持たずに魔力を行使していたという、そのおかげか山蛇のイメージは魔法知識のほとんどない私でも比較的簡単に再現したりすることができる、山蛇の教え方がいいからってこともすごく大きいだろうけど。


練った魔力を土の中にある原因、の近くにある雑草に。ぼこぼこぼこと畑の至る所で雑草が異常成長して目立ち出す、もう一回違和感があるかどうか山蛇に見てもらうと大丈夫ですと反応が来る。これでいいだろうと手近な異常成長した雑草を引っこ抜くと根っこに絡まった太すぎるミミズみたいなものも一緒に抜ける。


「えーと、これが原因みたいで、多分全部捕まえたと思うから後は頑張って」


結局山蛇が豊穣神なことあんまり関係なかったなと思いつつ合体を終わらせて戻ってもらわずに鞄に入ってもらう。今日は監視が付いている様子は無いけれど拉致されるよりも先に山蛇を出しておく必要がある、山蛇はアホ猫と違ってどちらかといえば私の味方だ。


直っていた転移魔方陣で駅まで行っていつものように電車に乗る。しかし学校の畑に魔物がいるなんて自然にあり得ることなんだろうか、詳しくないから知らないけどあの園芸部へんな魔法でも使ったんじゃないだろうか。法律に違反してしまう様なそこそこ危ないやつを。


昨日降りた駅の一つ手前、いつも降りる駅の二つ手前で降りる。適当に拉致ってくれるというので私も適当な行動を取る。まずは土屋先輩の実家に向かう。


洋菓子専門の土屋先輩ではあるがその実家は和菓子屋、個人的な意見が多分に含まれるがここ、土屋庵の看板商品の酒饅頭は私が週一で買いに来るリーズナブルさと美味しさを持つ。が、お土産にするには多少見た目が地味、水饅頭が値段的にも見た目的にも季節的にも今のお土産ならベターだ。基本的に季節ものを選んでこそというところ和菓子にはもある。


「こんにちは」


「おやさっちゃん、今日は何を買いに来たんだい?」


やっぱりいつもの酒饅頭かい?と笑って出迎えてくれるのは土屋先輩のお婆ちゃん、初恵さんだ。和菓子一筋で義理の息子に後を継いでもらってからも時折腕を振るっている現役のお婆ちゃん、でも流石に最近は体力がきついんだとも言っている。少し悲しいが年も年だし仕方ないのだろう。


ちなみに土屋先輩の家族は祖父、祖母、父親が和菓子屋で母親と叔父が洋菓子店を営んでいて、弟は和菓子の修行中だと言う。どっちも美味しいので私はどちらの常連客でもあり、新作の試食に呼ばれることもある。じつは弟君には土屋先輩の彼女と認定されているらしく、中学が一緒だったという響によれば兄弟の絆と恋愛とで揺れ動いているらしい。まぁ、私は恋愛感情を持てないことが発覚してしまったが。


「今日はお土産用と自分用に水饅頭を四つ」


「おや、水饅頭だけでいいのかい?」


な訳が無い。初恵さんもわかっていて聞いてきている、すでにその手は酒饅頭に伸びているのだ。少し焦らすと一応動きを止めるけどその表情は体調でも悪いのかなと言う心配と動揺に満ち溢れている。


「……もちろん、酒饅頭もいただきます、五個」


「もうっ!やだねーこの子は!年寄りの心臓止める気かい!?」


初恵さんは茶化して笑っているけど心配していた表情はかなり本気だった、後一分焦らしていたら本当に心臓止まってたかもしれない。次からは変なお茶目さは出さない様にしよう、あまりに気の毒だ。それに土屋先輩のお父さんはまだ初恵さんの域には届いていない、どうしても細工には差が見られる、それでも十分美味しいし美しいのだけれど、どうしても、どうしても初恵さんのそれを知ってしまった私には見劣りして見えるのだ。


「初恵さんにもっと長生きしてもらわないと、まだ和明さんは今一歩追いつけてませんからね」


「山蛇様に言われたら長生きしないわけにはいかないねぇ、正樹が結婚して店継ぐまでは生きさせてもらうことにしますよ」


正樹が結婚、のところでちらりと初恵さんは私を見る。正樹とは土屋先輩の弟君のことだ、素晴らしく有料物件だが現在の私は余命宣告を受けているも同然で、さらに言えば愛も無い、初恵さんが待ち望んでいるだろうひ孫も物理的(病気では無い)な理由で産めないとなればそれは三重に可哀想だ。


尚、蛇が和菓子を食べるのかという点については山蛇は蛇というか今は蛇の姿をしている神、なので人型にもなれるし外見と本質で一致しない点も多いらしい。この点はアホ猫も同じで食事にカカオ九十八%のチョコを混ぜて見たりしたけど苦しみすらしなかった。


さて、いつも通りの道を通った方がいいだろう、線路沿いに隣の駅まで歩いていくやり方で。そう考えていたら普通に店を出たところに真理恵先輩がいた。


「こんにちは、真理恵先輩」


さも当然のようにそう言うと山蛇も鞄から頭を出して真理恵先輩に挨拶する。山蛇に真理恵先輩は咲ちゃんから聞いてるよ、よろしくねと実際に通っているのだろう大学名と学部を告げて、喫茶店でバイトしていて出会ったんだと嘘を告げる。私が甘いものを求めて喫茶店めぐりをしていることが何故ばれたんだろうか。


「じゃあ行こうか咲ちゃん」


適当に歩きながら話した後で真理恵先輩がそう言って明らかに小さなバッグから水晶玉が現れる。これも何かの魔法なのだろうかと考える前に私の体は山蛇もろとも水晶の中に吸い込まれ、真理恵先輩のバッグの中に入れられて運ばれる。真っ暗は嫌だなと思っていると水晶の中に小さな光の珠が現れて照明の代わりになる。


可愛い山蛇もいることだし光の珠は明るすぎず雰囲気はなかなか悪くない。少し揺れる水晶の中で食べる酒饅頭も素晴らしく美味しい、酒饅頭五個もぺろりと食べられてしまう、でも食べ過ぎるのももったいない。甘いものはもっと味わって食べるものだ。


山蛇にはおまけで付けてくれた落雁を渡す。山蛇が大人しくしているのは多分大体の事情を察しているからだと思うので理解が早くてありがとうという意味で渡す。山蛇も次は前もって伝えてくださいねと言いながらかなりリアルテイストな人間形態、というか合体している状態の私を模した姿になる。一々作るより慣れた体の方が動かしやすいのだという。体積は変わらないので結局手の平に乗るサイズなのだけれど。


大体山蛇が小さい体で落雁を食べ終わった頃、また例の建物に着き、とても似合わない小さな化粧ポーチの様なものを持った博士が出迎えてくれた。


「さて、じゃあここに座って、お話をしよう」


「あ、これ水饅頭どうぞ」


小さな丸テーブルに腰掛けて水饅頭を出す。出すのは二つだ、私の分二つはもっと静かで落ち着けるタイミングで食べる。曲がり間違ってもアホ猫から逃れる策を考える場で食べはしない、水饅頭に失礼だ。


「まず、君の状態は昨日話した通りで合ってるね?魔女によって魔女の新しい肉体にされようとしている、そのために魔女は君の体を魔女のものに近づけようとしている」


「多分」


私は昨日まで乗っ取られる理屈なんて考えてすらいなかった人間だ。てっきりどんな人間であってもアホ猫は体を乗っとれるのだと思ってた。


「だから、僕達は君の体を魔女とは完全に別物にするための行動をとる。主に魔力の性質を主に遠ざけていく。魔法を使うのは間違いないだろうから形状的な要素を変えても魔力が近ければ成功してしまう可能性がある。形状なら後からでも整形だったりで変えられるしね」


それを傷と認識して体が元の様に再生しなければだけどと真理恵先輩が捕捉する。それでも方法はあるのか別段心配そうな素振りは見えない。


「実は、そういう要素とか関係無く人間なら誰でも乗っ取れるって可能性は考えなくていいんですか?」


一応確認しておきたい、あのアホ猫ならやりかねないと本当に思えてしまう。そもそも駄目元の様な気もするけどそれでも少しは安心して見たいのだ。


「まず無いね。可能性は捨てきれないから脳だけ分けて、培養した肉体に移す準備は進めておくけど……」


なんだかとってもホラーな言葉が聞こえた気がしたが真理恵先輩がすかさず金平糖をくれたのでスルーした。昨日のものに比べて味がもやっとしているような気がするものの甘いもののリラックス効果は本当に偉大だ。


「誰でも乗っ取れるならばわざわざ君の話にある様に協力してくれそうな妊婦を探してその子供に魔力を注いだのに英才教育もせずに放置している理由が説明付かない。少なくとも魔女の魔力に適応し、魔女と合体できる魔操士であることが必要なのは間違いない。そうするための行為のおまけが頑丈すぎる体と莫大な魔力だと僕達は考えている」


とりあえず、博士の言っている様にできれば生き残れる可能性は高いということなのだろう。それだけわかれば充分だ。


「さて、話を戻して君をどう魔女から遠ざけるか、魔力の性質をどう遠ざけるかについての話に移ろうと思う」


そう言って博士は金平糖を指差し、真理恵先輩は別の金平糖の袋を取り出して私の掌に乗っている金平糖の横にその金平糖を置く、どうやら今置いたのは昨日食べたものと同じ金平糖らしい。


「外から魔力の性質を変えるのはもうすでに難しい年齢になっているしあまり急激にすると魔力が揺らいでそこに付け入ってまた魔女に上書きされる危険がある。そして君の体ももつかわからない。なので人間に親和性が高い魔力を多く保有するものを加工して食べてもらうことにしたんだ、この方法ならゆっくりと魔力が書き換えられていくし体への負担もほぼ無い」


なんだかとっても簡単そうな方法で、本当にそれでどうにかなるのかという不安すら感じる。それに人間に親和性の高い魔力というのも気になる、かなりゲテモノチックな魔物の類だったりしても何もおかしくは無い。


ちなみにその金平糖にも混ぜてみたんだけど味はどうかなと聞かれたのでもやっとした味がして美味しさ二割減ですと伝えるとそこは我慢してくれるとありがたいかなと言われた、なら言わなければいいのに。


「それで、その人間に親和性の高い魔力を多く保有するものってなんですか?」


「んー……オブラートにはとても包めないと思うんだけど……」


真理恵先輩がとても複雑な表情をする。知っておくべきだと思うけど教えるのもどうかと思うと言ったような感じの複雑な表情だ。


「人間だよ。その金平糖に混ぜたのは君が昨日持っていた人骨を圧縮、特殊な処理をして君の魔力に馴染むようにした粉末。今後はもっと濃い魔力のある内臓系を中心に摂取してもらうことになると思う」


なんと言うべきか迷う。人間ってことにも驚いたけど盗まれたことに気づかなかった自分の鈍感さとか後、真理恵先輩が気遣ってくれているのに博士は一切気遣わないなとかいろいろ思った結果何を言えばいいのかわからないので黙ることにした。


「……さて、この続きは僕から話すとこじゃないかな。僕は基本魔法使いだからね」


なんと無責任な、と思ったが口の中の金平糖が消えるまでは喋らないでおこう。人の話は黙って聞くもので金平糖は黙って舐めるものだ。


「……また厄介なところで。そんなわけで、生の人肉を食えとかそういうことでは無いんだけど。人間の調達は基本的に咲ちゃんにやってもらうからそのために武装をね、用意してあるの」


なんだか真理恵先輩は真理恵先輩でとても物騒なことを言ったがまぁ冷静に考えればおかしく無いのか。二人は別に私を放って置いてもいいわけだ、生きるために他の人間を殺さなきゃいけないのは人間食べろって言われた時点でわかってたし、私も初めて人を殺すわけじゃ無い。あれ、大分感覚麻痺してる気がする。普通の女子ならそんな……私にはそんな残酷なことできませんとか言ってテンプレ的に生きるために殺さなきゃいけないんだと諭されたり、少し狂った感じで家畜を殺すのと何も変わらないとか言われる場面な気がする。


でも人間入り金平糖でも甘いものを舐めればすぐにどうでも良くなる。口の中が砂糖でねっとりして来てお茶が飲みたくなるけれど。


「あ、お茶いる?骨を処理したのを炒ってお茶っ葉に混ぜたんだけど。私も飲んだ限りではそこそこ美味しいよ」


既製品みたいに袋詰めされたティーパックにお湯を注ぐ、色合いと香り的にほうじ茶らしい、骨から出汁をとったら豚骨スープみたいながっつり系の味になってしまいそうだけど大丈夫なのだろうか。


とりあえず一口飲むと、思ったよりも普通だった、若干香ばしさや苦味が強いが動物系の味はしない。言われなければ普通にほうじ茶として飲むだろう。甘い物と合うかと言われても美味しいお茶かと言われてもと正直微妙だけど口の中をリセットするには十二分だ。


「まぁ、悪くは無いですね」


「良かった、で、話の続きなんだけどね。本当は武装があるって話の前に言うべきだったし彰が言うべきことなんだけど、濃い魔力を持つ人間を食べた方が良くて、それで魔王に敵対している様な魔法使いの組織を表も裏も合わせて情報を流して咲ちゃんが襲われるように誘導したから多分明日にでも襲われると思う」


これは流石に絶句した。めんどくさいから喋るのをやめようとかじゃなくて、考えてもどうしようもないからとかじゃなくて頭が処理できない、信じられないと言うのが一番だ。


「あ、でも大丈夫よ?魔法使うと魔女に寄って行くかもしれないから魔法はなるべく使わないで欲しいけど私作の物なら下手な魔術師ぐらいだったら三秒で肉塊にできる性能があるから。『肉体さえ強ければ簡単に大量虐殺』がキャッチコピーの商品だったんだけど要求する肉体の強度が強すぎて没になった商品で……」


結局よく事態が呑み込めぬままに、というか呑み込みたくないままに真理恵先輩の話は終わり、手が一つ入るかどうかというサイズの袋が一つ渡されて返されることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ