私、死ぬかもしれません。
「待って!」
やはり110番で無く交番まで引きずって行くことにした私と響は露出女を包む土にキャリーバッグの様に持ち手と車輪を山蛇の助けを借りて付けらいざ行かんと立ち上がったところで風丸さんに止められた。
「何?コンタクトでも落としたの?」
不機嫌な顔になった響に一瞬風丸さんがビクッとなるがすぐに立て直し、手元の札をしっかり握って私に視線を合わせに来た。
「今砲撃して来た中に手練れの魔法使いがいる」
私には普通の火薬を用いた砲撃にしか見えなかった。音が無かったのは魔法だろうが今時そんな魔法使える人間は科学側にすらいる。少なくとも一般人だろう先輩達が使えるレベルの魔法だ、響が普通じゃ無かった以上もう一般人かもわからないが。
「嘘じゃ無い。私は陰陽師の血を継ぎ占術を得意としているんだ、わかった情報は少ないが外れることは無い」
風丸さんがそう言う。持っている札にある模様は確かにいかにも陰陽師のものという感じだがさっきの情けない様子を見るとにわかには信じがたい。
と、なればもっと確実な情報筋に確認する。衛星を通じて見ているだろう、常識を何処かに置いて来てしまった悪魔のレズに確認するために通信機を使う。
「もしもし、真理恵さん。今食らった砲撃なんですけど……」
『それなら、今彰が行ったよ。なんでもやばそうなのが一人いるみたいで、清水 響とは特に相性が悪そうだから心配だってさ』
「あの人心配するとかできたんですね。ところで響が何者か知ってるんですか?」
とりあえず風丸さんの言ったことが正しかった様なので次に聞くべきことはと響が何者かを聞いて見ることにした。
『うーん、簡単に言うと。日本国内最大、世界でも有数の魔術組織のNo.3』
「なんかもういいです。周りのキャラが濃すぎてお腹いっぱいです」
『魔術だけしか使わない組織としては世界最大かな、魔術と他の魔法を同時に使うことは珍しく無いけどその結社は魔術しか使わない。そんな結社で第三位の実力を持つ世界有数の純粋魔術師、それが清水 響。私はちょっと相手にしたくない、一方的に衛星からレーザー撃っても倒せるか怪しいぐらいの実力者よ』
「……風丸さんは?」
『調べたんだけど、都落ちした陰陽師の末裔で、今は陰陽師も名乗れない、法師の一族なんだって。弱くは無いけど強くも無い平凡な子、占いの信憑性は高いよ、戦いには役に立たないけど感知や予測には長けている筈、占いの系統だし』
響が遠く感じれば感じるほど風丸さんが近く感じる不思議な状況。化け物なのはまぁまず間違いないけど衛星からレーザー撃って倒せないっていったいどんな化け物なんだろうか、でも砲弾の着弾に気づかなかった当たり反応速度が速いとかではないみたいだし、あの木の魔術による防御が得意なのだろうか。でもレーザーとか防げるような代物なのかというとまた別な気がする、あくまで木だから燃えてしまいそうだ。
そして、それよりも気になるのは今博士が向かってきているという事実、響がいるけれど負ける前提で博士が動くなんて一体どんな化け物が迫ってきているのだろうか。少し考えるだけではぁとため息を吐きそうになる、しかし真理恵先輩がどこか近くにいる筈だし、いなくても衛星からレーザーとか撃ってくれそうだし博士が来れば十分勝てるから博士が来るのだろうから死の心配はしていないけど、面倒だ。
「咲ちゃん、結局どうするの?この前みたいに助けてくれる人いる?いるなら僕も手伝って戦うけど、後々対策されて来られると面倒だしね」
街で戦おうとする様なのとは趣味が合う気もしないしねと響は笑い、とりあえず近くの自然公園に行こうかと歩き出す。学校の近くだけじゃなく魔物の出現するポイントには必ず相応の敷地の自然公園があるので都心であっても徒歩五分ぐらいのところに自然公園があるのは何も珍しい事じゃない。私としても警察に事情聴取とかされたくない、銃刀法違反待った無しだし。
「……とりあえず私の協力者が来るから来たらその人の指示を仰ぐ形で」
博士がなにやるかわからないし私もどうすればいいのかよくわからない。でもとりあえず真理恵先輩と博士の指示を仰ぐ方がいい気がした。
「りょーかい。じゃあ行こうか」
何か板を取り出してブツブツやっている風丸さんの首根っこを掴み、響を小脇に抱えて走る。普段よりも速度は落ちるが仕方ない、そう思っていたら響がやったらしい蔦の様な物で足の周りが覆われ、足にかかる負荷が減った。多分筋肉をサポートするものなんだろう、魔法にはやはり明るくないからわからない。
「人工筋肉を再現したやつだよ、防御力は皆無だし僕がつけるとそもそも一歩踏み出せないぐらい思いけど咲ちゃんなら大丈夫だよね」
響が言う。科学を魔法で再現する使い方、今のテレビ放送もそういう形だしおかしいとは思わない。でも、小さくどっちかと言えば可愛らしい響は一歩も踏み出せないものを顔面は半分爬虫類となり、尾も生やし、丸太の様に筋肉が肥大した足で軽々使いこなす今の私は女子を捨ててしまっているのか、という疑問が頭を過る。人間はすでに捨てさせられているが女子まで捨てたらそれは魔物だ。
公園に行く途中、誰もいない交差点で横から撃たれるも響の体から生えた木々によって阻まれる。私の目でも木々の成長は朧げにしか見えないほどに早い、銃弾の比ではないのは確かだ。
「わー、やっぱり読まれてるね」
そう言いながら響の指から放たれたビームがこちらに向けた銃口を射抜きマシンガンを抱えた男の腕と肩の辺りが爆発した。そのビームは私の目が正しければ曲がっていた、当たらない筈の軌道から銃口へと吸い込まれる様に。
響は肉体はあくまで普通かそれ以下。小柄だし、普通の女子の細い腕では同じ様に強化したら男には叶わない、だからおそらく自動で発動する防御と狙いを自動で修正するレーザーを使うのだろう。
あくまでか弱い自分がある、強いけど女子力の高さが伺える。撃たれても死なない私や真理恵先輩とは大違いだ。風丸さんも占いとかいかにも女子だし劣等感が凄まじい。
公園の入り口を視界に捉える。走っていたのは多分数十秒ぐらいだったが、やっと、と思うほどに自分の女子力の無さを突きつけられた。これで下ろせる、そう思ったが一度止まることにした。ここに逃げ込むのがわかっていたのだから当然罠もしかけている筈だ、私を殺せる威力と目されているだろうものが。響がいれば大丈夫そうにも思うけど真理恵先輩の話の感じだとある程度顔が売れているだろう響がいても構わず襲ってくるのだから危険度は高い。
「……入口左側の木の枝の突き方が少しおかしい、多分人工的に生やされた枝がある」
風丸さんがそう言う、それってどっちかといえば科学側の目線じゃないのと思ったが真理恵先輩が即座に陰陽師は政にも関わっていたし色々なことから科学的にも未来を予想することがあったみたいだと捕捉が合って納得した。陰陽師は元から科学と魔法の中間に立っていたのだ、その割には頑なに魔法側であろうとしているみたいだけど、正直そこは踏み込んでいい場所じゃない気がする。
その木はサーモグラフィーでは何もない。聴音機でも葉のさざめき以上の音は鳴っていない。でも信じた方が良さそうだ。
左腕に虐殺できる君の銃部分を付ける、ついでに肩や肘のパーツにイヤホンも付け替える。マシンガンでとりあえず罠を刺激して暴発させて突破する。
「よしっじゃあ撃つから」
「え、ちょっ……」
風丸さんが止めようとするがそれ以上一体どうしろというのか。罠があるなら避けるよりも突き破って進むべきだ、避けることも想定されていたらどうしようもない。
そして撃つ。何十、いや、何百発もの銃弾は幹を抉り枝を跳ね飛ばし、そして罠を誘爆させた。多分爆弾の類だったのだろう、コードらしきものが飛ぶのが僅かに見えた。思ったよりも威力は低かったがそれでも体が吹き飛ばされるぐらいのことにはなっていただろう。まぁその程度ならなんら問題ないけど。
「じゃあ行こうか」
聴音機には木が燃える音と共に襲撃しようと包囲する敵の位置がよく映っている。サーモグラフィでも確認して確かに位置を把握する。主砲を撃ってしまおうかと思ったのだがその前に山蛇が私に語りかける。
「騒がしすぎると聴音機が役に立ちませんよ」
そう言って少し体借りますと言った山蛇は掌をさっきマシンガンを撃った方向に向ける。するとすぐさまさっき撃ったものだろう銃弾が掌に収まる。
「念のために逃げられない様にしとこうか」
尾が伸びて地面に着く。森林公園の中は舗装されていない、尾を通じて魔力を送り包囲を完了させかけている敵の足元まで道を繋げる。
「僕も手伝うよ、僕の魔力も乗せさせて」
そう言う響の背中の木から根が伸びて地面に何本も突き刺さり、私と山蛇の道に重なる。せーのと響が言うのに合わせて囲んでいた敵の足元の地面が沈み、地面から伸びた根が絡め取る。
後は撃つだけだ。左腕の砲身の上に拾った銃弾をぱらりと広げて右手の人差し指を曲げてそこに持って行く。
「ふりっく!」
コマンドを受け、人差し指は一瞬で伸び切り銃弾のうちの一つを元々それを放っていたマシンガンを超える速度で弾き出す。元々は頭を狙っていたのだが指で弾いたからか狙いは逸れて肩のあたりにを吹き飛ばした。それなりに近づいていたから腕がボトリと落ちる音も聞こえ、どっちにしろ治療は間に合わないだろうと確認して次の獲物に体を向けた。
すると、丁度後ろの方から銃弾が飛んで来たが響にあっさり防がれる。そして響の指から放たれたビームに撃たれて銃弾は飛んで来なくなった。
「じゃあ、もう一回ふりっく」
囲んでいたのは十五人、一人、また一人と減って行く中でそれなりに離れたところに人がいるのをサーモグラフィが拾った。少しふりっくで倒すには遠い、多分当たらないだろう。仕方ないかと砲身の上に置かれてある銃弾を幾つかこぼれるのも構わずむんずと掴んで砲口を向けて親指のトリガーを引いた。
さっき受けた砲撃に負けず劣らずの威力の砲撃が私の肩にビリビリとした痛みを残して間に立つ木も構わず薙ぎ倒してその人影に当たった。
一応死亡確認を、と土煙が晴れるのを待つ。おそらく死んだだろうとは思ったが万が一生きていたらおそらく風丸さんの言っていた相手で間違いない、博士が来るまで待つしかない敵だ。少しでも足止めしておきたい。
案の定、煙が晴れる前に突き破る様にして筋肉ゴリラが走って来ているのが見えた。私の目から見ても速い、私と同じかそれ以上、獣の頭みたいな兜に上半身を覆い切れていない獣の皮、右手に棍棒で背中には弓矢。今日は露出狂デーかと思ったがそんなことを考える余裕もない速度だったのでとりあえず親指のトリガーを引いた。
最初のはダメージが明らかには見えないものの当たっていた砲撃だったが今度は棍棒で受け止められた。なんとなく響と相性が悪い理由もわかったので、持っていた銃弾は適当に投げ捨てて正面から殴りかかりに行く。
多分近距離重視のタイプなのだ、それも響の攻撃をある程度防げるほどの肉体も持ったタイプ。響の自動防御の内側に入られたら普通の肉体の響にはいかんともし難い相手だろう、それに近距離で挑む私の化け物さには目頭が熱くなる。
「もう少し深く行きます」
山蛇が私の口で宣言して体がまた一段爬虫類に近づいた。尻尾も長くなって一見したらリザードマンの様になっているだろう。帰りに獣人用尻尾穴付きパンツを買うのはもう不可避だ。もしズボンだったら破れていただろう、そう思えばスカートでよかったのかもしれない。
私が近づいていくと向こうは弓矢を取り出しそれを引き、放った。でも見える、速度は普通の矢、軽く避けて筋肉ゴリラも持っていた矢の後ろの羽を掴む。名前は知らない。
そして次の矢を放とうとするその腕に狙いを定めて投げつける。当然それは避けられるが放たれた矢を私も避ける。
そして至近距離になり、筋肉ゴリラは棍棒を、私は右腕を振りかざし、私はコマンドを言う。
「たんぷ!」
当たれば砲弾を受け止める筋肉ゴリラでも無傷というわけにはいかないはずだ。近距離で見てみれば腹に砲弾を喰らった痕らしい痣があるしその際力を込めたのか口元には血が一筋、全く通じていないというわけではない。後、近くで見てわかったがブロンドの外人で兜の獣はライオンだった。
相手がどこの国のものか分からない声を上げ私の拳と棍棒とがぶつかり合い、ボギッという不快な音と共に私の骨が折れた。
おそらく鉄よりも堅く丈夫な私の骨が折れた。治るのには時間がかかる、向こうも棍棒には罅が入ったらしい。とりあえず親指のトリガーを引いて至近距離で砲撃した。左手の動きを見てか頭を狙ったのに左腕で下から跳ね上げられて効果は無かった。
「真理恵先輩、博士まだですか!?」
『もうすぐ。後一分耐えて』
一分、私の一番威力があるだろう攻撃を二つほぼダメージ無く処理される相手で私より格闘できるだろうし私よりも多分速い相手を一分。無理があると頭の中で結論が出てしまう。思い出すのはアホ猫の顔、山蛇が頑張ってくれて今の私はだいぶ強くなっている。アホ猫もここにいれば多分この筋肉ゴリラも殺れる。
左手の虐殺できる君で振り下ろされた棍棒を受ける。今度は足の骨が折れ、防ぎきれず頭に当たりそうになったが山蛇が地面を柔らかくしてくれて助かった。でも足が埋まって動かせない。
棍棒をとりあえず骨が引っ付いた右手で掴みコマンドを言う。
「ぷる!」
そのまま棍棒ごと投げ飛ばせれば、ここから動く時間が作れる。
でも筋肉ゴリラはあっさり手を離し、棍棒の代わりに矢を掴んで私の心臓に突き立てようとする。
右腕は引き切った、左腕はまだ主砲を撃てる状態じゃなく、マシンガンじゃ押し切られる、火炎放射は以ての外で防ぐ手立ては無い。
アホ猫のかけたという心臓を守る術式がこれに打ち勝てるかどうかに私の生死がかかっている。魔女になりたくないのに魔女の術式が命綱だなんて憎いことこの上ない。
「来宮さん、炎を!!」
風丸さんの叫びに私はほぼ反射で中指のトリガーを引いた。
噴き出した炎は筋肉ゴリラを止められない、そう思っていたが筋肉ゴリラは動きを止め矢だけ投げつけて後ろに下がった。投げられた矢が胸に刺さるが肋骨の間を縫うでも無く、肋骨にも刺されずポトリと落ちた。
ありがとうと風丸さんに向けて手を上げ、そして体が動かなくなって倒れた。
「え?」
さらに一拍遅れて体を駆け巡る激痛。声を出したくても出せない、泣きたくても泣けない、身動き一つ取れない見えてるはずの視界はぐにゃりと歪んだりぱぁんと弾けたりノイズがかかったり白黒になったり当てにならない、音も聞こえているはずなのに聞こえているとは認識しているのに何を聞いているのか頭の中に入ってこない。感覚を狂わせるほどの圧倒的な激痛。
まだマシなのは触覚か、背中に丁寧に日本語で文字が書かれる。
ケイローンが不死を返上したほどの苦痛をもたらすヒュドラの毒矢
私には悠久の時が流れた様に感じたが確かにそう書かれた。正直ケイローンもヒュドラもよくわからない、なんかケンタウロスと蛇だった気がするけど具体的なことは知らない。でも直感的にわかったのはこの毒の痛みに屈すると不死を返上することになる。別に私は不死というわけではないと思うがとにかく死ぬ。
『あらあらぁ、ヘーラクレースの術式なのは目に見えていたでしょうにねぇ。情けないわぁ』
口調はアホ猫、声は私というよくわからない声が頭の中に響く、幻聴か何かわからないがとりあえず死ぬよりはマシだ。痛みは一向に収まる気配がないが少しでも気が逸れるならいい。
『半神半人のギリシア神話最強とも言われる英雄。海峡を作り出したり宇宙を持ち上げたりその両腕のちゃちなおもちゃじゃあれだけ抵抗できたのが本来なら奇跡な相手。まぁ相手が未熟で助かったって感じねぇ、私レベルだったら棍棒がまず受けられる様な威力じゃないわよぉ』
気が逸れるのは有難いが嫌味ったらしくてむかつく。私の声なのが余計にむかつく、私の知らない知識を出してくるのもむかつく。
『この声は私の声、その体は私の体、今はあなたに貸しているだけ。大事にしてよね十八歳まで』
わけのわからないことを言っているが何と無くわかったかもしれない。これは私の中の魔女のイメージだ。魔女ならなんとかできるんじゃないかと思った意識が生み出した幻聴だ。私の体はこのままだと奪われるから私の声で口調はアホ猫なのだ。
『まぁ今はそういうことにしといてあげる。あ、代わりたかったらいつでも言ってくれれば代わるわよ?その痛みも襲われなきゃいけない運命も、十八歳になる前でも返してくれるなら返してもらうから。あなたもその方が楽でしょう?いっそいなくなってしまった方が』
誰が渡すものか。私は私だし、十八歳までに食べなきゃいけない甘味がある。それに、まだ魔女にならないことを諦めてなんてない。この似非魔女は勝手に敵の解説でもしててくれればいい。
『じゃあそうするわね。ヘーラクレースの象徴は弓矢、棍棒、鎧兜の様に纏ったライオンの毛皮。あの男の術式はこの象徴を破壊するかその体から離せばあれは段階的に弱体化する術式だったと思うわぁ。棍棒を手放させてなかったら心臓貫かれてたかもねぇ。まぁそのせいで今こんな感じだけども。それと、ヘーラクレースはヒュドラの毒に苦しみ自分の体に火をつけろと言い炎の中で死んでいる。あの法師の子が炎を、と言ったのはさっき言った破壊のためでもヘーラクレースを殺すためでも二重の意味で大正解。ライオンの毛皮も燃えるでしょうし、あなたが気づけないところを言ってくれるとってもいい子ねぇ、普通ライオンの毛皮見たらヘーラクレース想像すると思うんだけどぉ……気づけなかったから仕方ないわよねぇ』
なるほど、とは思うが端々に煽ってくるのがむかつく。私は魔法使いじゃない、魔法を使っているのは山蛇で私は知らなくても何もおかしくない。
『いやいや、ヘーラクレースはそんなマイナーな英雄じゃないわよぉ。ポップスと言ったらマイケルジャクソンみたいな感じで英雄と言ったらヘーラクレースってなるぐらい』
マイケルジャクソンって誰?聞いたことがある様な気がしなくもない……やっぱり知らない気がする。
『うわ、ジェネレーションギャップがこんなと……』
魔女の声がすーっと消えて痛みも同時に消える。それと同時に張り詰めていた精神の糸がプツリと切れて意識が消えた。




