第三章 14
IIMCの状況を確認させた。
すると、リンの言ったように、システムは全く用をなしていなかった。
とにかく、この状況をこのままにしておくことはできない。
かといって、リンの言う通りにするのには、抵抗がある。
マラホイアは、とりあえずの処置として、リンにシステムを返してもらうように交渉した。
それも、リンの条件をのむ。それを受け入れて。
どうしても、IIMCを取り戻さなければならない。
この状況を外部が知れば、(もう、知れている可能性が高いが)IIMCの信用にも関わる。
「リン、この後どうするつもりでいた?
このままシステムを支配したまま、どこかに行こうとしたのか?
それとも、外から解除するつもりでいたのか」
リンは、微笑んで、
「私がここを出ていれば、一時間もすれば元に戻るようにしておいた。
門から出てここの監視カメラに映らなくなれば、何も問題なかったのよ」
いかにも、簡単に話している。
「それで、こうなったらどうするつもりだ?」
「簡単よ。私が返すように指示すればいいの。
たぶん、それで問題はなくなるはずよ。
でも、その前に、こっちの条件聞いてくれるんでしょうね?」
しぶしぶ、いやいや、とんでもなく後ろ向きで……、
マラホイアは、リンの条件を呑まざるを得なかった。
結局、時間の問題で、リンはマラホイアに条件を呑ませた。
マラホイアも不本意以外、何ものでもなかったが、リンに頼らざるを得なかった。
スタッフの中にリンを攻略できる者が存在しなかったからだ。
リンは、条件全て呑ませたうえで、追加した。
安全は確保させたうえで、ビル・シャレットの花屋で働く条件を。
また、待遇改善については、
リンに限らず、更生出来ているハッカーについても適応させるように求めた。
この場合の条件は、マラホイア側に任せた。
そして何より、IIMCスタッフの技術向上に貢献する旨を要旨に加え、
リンだけでなく、それ相応の技術を持ち更生したと判断され、
社会復帰したハッカーについて、研修を兼ねて、スタッフへの技術指導に携わるようにした。
これが、現在威力を発揮している。
リンはIIMCに専属でいるし、そこに色々な場所で揉まれたハッカーが指導するのだから、
スタッフと研修に来たハッカーの技術が、思った以上に向上している。
なにより、専属先からも好評を得ている。
今後一般向けにも講習会を開いてくれないか、という問い合わせがあるくらいだ。
そんな条件と引き換えに、リンの待遇は大幅に改善された。
自由に花屋とIIMCを行き来できているし、安全も確保されている。
リンは、満足していた。
当然ながら、最初はギクシャクしていたスタッフとの仲も、いい方向へと変わってきている。
香波とも、あれから何度か話が出来るようになった。
その香波は、次の春には恋人が待つ日本に帰るらしい。
そして、リンは時々会うハッカー仲間を楽しみしていた。
特にアンリードとヘイクワースとは、本当に色々と話すネタが尽きなかった。
研修の間中、何かと一緒にいる時間が多く、
周りの人は、二人のうちどっちが、リンを堕とすのだろうと話すくらいだった。
当の本人達は、全くそんな気はない。
少なくとも、リンにはそんな気がなかった。
幼馴染のような、そんな関係が楽しくて仕方なかったからだ。
ここにきて、なかなか投稿できません。
お時間をいただいていますが、よろしくお願いします。




