第三章 12
久しぶりの更新です。
言葉も出ないコルテラに、リンは、
「どうしたの、飲みすぎたんじゃない?
部屋に戻る?」
「違うよ。呆れたんだ!
リン、お前って、ショックじゃなかったのか?
あんな所に捕まったんだぞ。しかも十代で!
なのに、そんな余裕。……よくあったな。
俺には無理だ」
「そうだろうね?
でも、私だけじゃなかったんだ。こういうのしたの」
「?
何、どういうことだ?」
「そんなに、びっくりすることかなあ?
こういうことっていうか、IIMCに来てから情報操作したの。
私の知る限り、二人ほどいるわよ」
驚きの表情を浮かべるコルテラ、その横にリン。
「ふたり?」
「そう、知ってるかなあ?
アンリードとヘイクワースっていうんだけど」
「アンリード! ヘイクワース!」
「そう。知ってる?」
「知ってるよ。同じ時期にスタッフの技術指導をしたことあるから。
でも、まさか……、そんな(すごい度胸と、腕だよな)……」
かなり動揺している。
追い打ちをかけるように、
「じゃあ、聞くけど。
IIMCに捕まって過去を失ったのは、何人いると思う?」
「えっ?
聞いたことはあるけど、そんな奴いるのか?」
コルテラにとって、あまり考えた内容ではなかった。
自分の周りにはいなかったからだ。
「いるよ。じゃあ、何人くらいだと思う?」
「そうだな。
さっきの話だと、トーレスがそうみたいだから、もう一人くらいかな?」
「ハズレ!
全部で四人。
一人はトーレスで正解。あと三人は誰でしょう?」
リンのもったいぶった言い方に、コルテラは痺れを切らした。
「いい加減にしてくれよ。
知らないよ!」
コルテラは、このままいくと本気で怒りそうな雰囲気だった。
「ごめん、ごめん。
そのうちの二人は、さっきの話の、アンリードとヘイクワース。
二人とも、誰にも負けない技術を持ってるわ」
「そうか、知ってるのか。
そんな話をするくらいだもんな。
でも、二人とも随分前に専属の組織に移ったのに、いつ頃一緒だったんだ?」
「それこそ、随分前。
コルテラがIIMCに来る前の話。
最初は一緒のチームで作業してて、それから外部に派遣されたの。
一年以上、一緒にあっちこっち回ったわ。
楽しかった。
それが終わってから、二人は今の場所に行っちゃたけどね……」
「そうだったんだ。それで?
残りの一人は誰なんだよ!」
「それは、私!」
「!
それは、ない!
本当のこと教えろよ。
そりゃスピースだから、あり?
でも、なんか違わなくないか?
いや、でも……」
どれだけの独り言。
動揺が手にとるように分かる。
「信じようが信じまいが、それはそっちの勝手。
もう、……昔には帰れないしね」
リンが、自分に言い聞かせるように話していた。
「……そうだよな。
リンはスピースなんだ。
違う、今はもう関係ない。
でも、過去を奪われるって、そんなことあっていいのか?」
「……さあね?
最初は抵抗あったよ。
でも、結局は同じなんだよ。……私には」
「でも、リンはリンだろう?
それでいいんじゃないか?
過去がどうあれ、今は今」
なんとなく、しんみりした時に、コルテラが真剣な顔で、
「リン。
クルージング、一緒に来てくれてありがとう。
……嬉しかった。
断られるって思ってたから」
そう言って、コルテラがリンの手を取った。
「ううん。だって、一緒に来る予定の人が、急用で来れなくなったんでしょう?
それに、楽しいし、来てよかった」
満面の笑みで答えたリンに、コルテラがこれまで以上に真剣な顔で、
「違うんだ。
リンと一緒に来たくて、嘘をついた。
ごめん。……でも、正直に言うと断られそうで、それで。
……ごめん。でも、すごく嬉しかった。
来てくれてありがとう」
コルテラは言い終わると、リンに笑顔を向けた。
リンも戸惑いながらも笑顔で返した。
「ありがとう。誘ってくれて、本当に嬉しかった。
言ったでしょう?
あそこ(IIMC)から出るなんて、しかも、こんな風に(監視の目のない中で)出られるなんて、初めてよ。
だから、余計に嬉しい。
……でも、コルテラの気持ちが、なにより嬉しい」
「リン、ありがとう。
それで、これからのことをちょっと聞いてほしいんだ。
急だと思わないでほしい。
ずっと考えてきて、……リンに一緒に来てほしいんだ」
大きく息を吸って、一気に、
「リン。
一緒にいてほしい。
僕について来てほしいんだ!」
一息で話した。
随分息が荒い。
若干、顔が紅潮している。
リンも、コルテラに負けず、紅潮した顔だった。
その後、二人は消えて行った。
部屋? に……。
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