第一章 21歳 きっかけ 1
ここから新しい世界へと続きます。
ハッカーに対する捜査官の対応には厳しいものがあります。
「人は、誰かのためなら、自分が思っているよりも、力を出せる」
第一章 21歳 きっかけ
1
なんてこと、ほざいてたのがいたな。
そんな、たあいないことをボーっと考えてるうちに、目的地に着いたらしい。
飛行機が空港に着陸する。
と、機内アナウンスがあった。
それも、飛び切りいい声。
すっげー美人のキャビンアテンダントが、機内アナウンス用のインターフォンで話している。
それから、目が離せないでいた。
これを、釘づけ、というのだろう。きっと。
また、この機内で、いくらかの時間を過ごし、いくらの声を聴いただろう?
それがもう終わってしまうなんて、それを、さっきの機内アナウンスは、言っていた。
「当機は、目的地に予定通り着陸いたします。皆様……」
アナウンスは、まだまだ続いていたが、その言葉以外聞こえなかった。
正直、聴きたくなかった。
「イヤだ。イヤだ。俺はこのまま降りないぞ」
つい、口にしてしまった。
「何、言ってんの? ちゃんとシートベルトしないと、怒られるよ」
「いいんだ。怒られたい!」
そう言って、シートベルトを、大っぴらに外し、
「俺は、降りない」
と、抵抗する。
すると、そこにさっきアナウンスしていたキャビンアテンダントが、
「どうされました? ベルトをしていただけますか?」
丁寧な物言いに、
「はいっ!」
と、素直に応じていた。
「……怒られたかったんじゃないの? ベルトなんてして」
「したんじゃない。して下さったんだ!
これを断れるか?
そんなむげなこと出来るわけないじゃないか」
「なんか、……言ってること、違う気がする」
「いいんだ!」
とかなんとか言いながらも、無事着陸。
さあ降りるぞ、という時。
かなり駄々をこねたが、同行者により、無理矢理降ろされた。
その後、しばらく落ち込んでいたが、同行者の、
「へえ~かわいい子、多いんだ」
の一言で、
「え? どこ?」
すぐに気が変わったらしい。
今が早朝だというのに……。
同行者は、どうにも、こんな調子でここ一年ほどを過ごしている。
この一団?
いや、チームだが、優秀なプログラマー達だ。
……多分。
このチーム、プログラマー三人と、ボディガード五人の総勢八人のチーム。
ある組織が所有するプログラマーが、要請のあった施設、組織、国などに派遣される。
一癖もふた癖もあるプログラマー達。
この三人を、監視、保護するために警備要員が多くいる。
この三人。
色々な国などの重要な部分を任されているので、色々な所から、身の安全を脅かされている。
第一、そんな秘密を持って逃亡でもされようものなら、とんでもない事態になる。
なぜかって?
それは想像してみて、たとえば貯金箱だったり日記の鍵を持っているのと同じ、
もし、ばらされたら困る秘密をその鍵で、簡単に人の目にさらされるなんてこと、
嫌でしょ。
それと同じ。
国にもばらされたくない秘密は、いっぱいある。
組織も同じ、やっと開発したものを、盗まれるわけにはいかない。
だから、そんな秘密をこの三人のうちの誰か、
もしくわ、三人共が、誰かに拉致されたり、逃亡したり裏切ったりすると、
情報が漏れる可能性がある。
そうなるとこの三人が所属する、組織自体の信用にも関わる。
そんなこんなで、プログラマーよりボディガードが多い、という訳。
この一団、否、チームは、一年前から要請のあった場所に出向し、
そこでの協力を課せられていた。
もう、この国で十五か所目になる。
こちらに来ていた方々、これからも頑張っていきたいと思っています。
よろしくお願いします。




