四年後の手紙
なんだか恋愛がしたくなってきた、今日この頃。
春、ですね。
まるで私の心のように、鈍色の空はどこまでも続く。
……一週間近く、彼からのメールは来ない。
「……どうして、メールくれないの?」
自分の部屋に閉じ籠る私は、膝を抱えて踞る。
大好きな彼のことを思う度に、自然と涙が頬を伝う。
「ねえ、どうして……」
私はこの状況に耐えきれなくなっていた。
大好きだから。
……大好きだから、不安で、怖いの。
私はその日、思いきってメールを送った。
『どうしてメールをくれないの?』
その日の夕方、辺りが闇に包まれる時間に、彼からのメールは返ってきた。
『今仕事終わったとこなんだけど……』
――それを境に、彼からの連絡は一切来ることはなかった。
◆◆◆◆◆
それから四年経ち、彼のことは忘れかけていた。
それも良い思い出だと、自分自身に言い聞かせて。
その日は真っ直ぐ家に帰った。
家の中に入ると、靴を脱ぎ捨てて廊下を歩く。
居間に腰を落ち着ける私は、やる気なく「ただいま」と、声を出す。
「あんたに手紙が来てたわよ」
と、台所に立つ母親が、私に言う。
……なんだ、また変な手紙かな、とその手紙を見れば、宛名の所がデタラメだ。
名前はあってるんだけどな。こんなデタラメな住所で、手紙が送れるものなのか……と、私は考えながら手紙の裏を見る。
――その手紙は、四年前に連絡がとれなくなった彼からだった。
胸がズキンと痛くなり、開けるのを躊躇う。
あんなにも大好きだった彼からの手紙。
今さら何を、とも思った。
……でも、私の中にくすぶる『彼への気持ち』がその手紙の封を開かせる。
その手紙の内容を見た私は、我慢しきれず涙を流した。
実話として温めていたネタ。
あれ、
ネタとして温めていた実話?
ん?