面倒事
烏天狗と別れ学校に行く。
遅刻で怒られたがそんなことは俺の意識にはもうなくなっていた。
烏天狗からの伝言を受け取り考える。
あの会話に出てきた大禍津日神と言う単語。
確か、黄泉比良坂から帰ったイザナギの禊ぎによって生まれた穢れの神だったか。
災厄をもたらす神、その神が復活の傾向にあるとの事、面倒なことになった。
妖姫の件で忙しいのさらに面倒事が増えるのはよろしくない。
そして、神社で出会った妖怪が視える青年達。
そうこう考えている内に授業が終わる。
物思いに耽りながら家に帰った。
....
「大禍津日神とは何とも懐かしい」
家に帰った俺は、姫房(妖姫)に烏天狗伝言の事を伝える。
「姫房は大禍津日神の事を知っているのか」
姫房はとても古くからいた妖怪だから大禍津日神を知っているのかもしれない。
「会った事はないが知っておる、奴は妖怪や神、人の間でも話は聴いておった」
姫房の話を纏めると、人の悪意、人の悪しき心を力の糧とし、妖と手を組み人間を支配、又は殲滅しようとしたが陰陽師達に封印されたらしい。
封印した陰陽師達の中には安倍晴明もいたようだ。
だが、戦国時代に封印がとけ復活し、最後は人間と妖によって討たれたようだ。
「一度討たれたようだが消滅はしていなかったようじゃの」
その後も姫房と色々話し合っていた。
....
何時も通り、妖姫の宝玉から溢れる妖力に群がってくる妖怪達を蹴散らす。
「なあ、姫房は妖術とか使えないのか」
「今の妾は妖力が無いに等しい、使える妖術はほんの僅かしか無いのじゃ」
今の姫房は妖の中ではとても弱い、だから、俺や鈴が守ってやらないといけないことを再確認した。
「そろそろ帰るか」
俺は早く寝るために家に帰ろうとする。
「旦那様、まだ境内に妖怪が残っているようです」
鈴が妖怪を見つけたようだ。
俺も妖力を探ってみるが何故か見当たらない。
「鈴、妖力を感じないぞ」
妖力を消す技は高位の妖ぐらいしか使えない技だ。
まさか、高位の妖が現れたのか。
「妖力を消しても私の鼻は誤魔化せない」
鈴は境内の一角にある木を睨みつける。
「暴露てしまいましたか」
そう言って木の影から姿を現したのは烏天狗だった。
「烏天狗⁉」
何故烏天狗がここに。
「いやぁ、見つかってしまいましたね」
「何故お前がここに」
「監視ですよ、妖姫を野放しにして良いのかを判断するための」
成る程、妖姫が危険かどうかを判断して今後の方針を決めようと言うことか。
「見たところ妖力もそんなに無いし、力も妖の中ではとても弱い、今後どうなっていくのかは別として、今は危険では無いと判断しました」
そう言うと、烏天狗は姫房に目を向ける。
「妖姫、大禍津日神を討つのには彼方の力が必要です、我々と協力してくれませんか」
妖力が殆ど無い妖姫に協力を求める事に謎を感じるが今は置いておこう。
「妾は妾の気分で動く、まあ、一応は協力しようではないか」
妖姫の協力を取り付けた烏天狗は俺の方を向く。
「貴方にも大切な話があります」
烏天狗の目は真剣そのもの、また面倒事が増えると思うと俺の口からは自然と溜め息がでた。
更新٩꒰๑ ´∇`๑꒱۶
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