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白雪様と二人暮らし  作者:
第二章 のんびりとした日常

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8/8

8話 初めての外デート

 週末の午後。今日の天気は上々で、春の気配が少しずつ感じられるようになった頃。私は白雪様の手を引いて、家を出た。


「綾、今日はどこに行くの?」


 白雪様は妹のコートを羽織って、銀色の髪を軽くポニーテールにまとめて、目をキラキラさせていた。


「まずはカフェに行こうと思って。甘いもの食べて、ゆっくりおしゃべりして……それから公園散歩しようかなって」


「カフェ!?って茶屋みたいなものだったよね。 甘いもの!? やったー!」


 白雪様は飛び跳ねるように喜んで、私の腕にぎゅっと抱きついてきた。外は少し肌寒いけど、白雪様の体温が伝わってきて、癒され効果抜群のぬくぬくだった。


 家から歩いて10分くらいの、街角にある小さなカフェ。ガラス張りの窓から中が見えて、木のテーブルと観葉植物が並んでいる。私的には好きな雰囲気の場所。


 店内に入ると、コーヒーの香りと焼き菓子の甘い匂いがふわっと広がった。


「わぁ……いい匂い!」


 白雪様は鼻をくんくんさせて、目を丸くしている。店員さんが席に案内してくれて、窓際の二人席に座った。


 白雪様は興味津々で、メニューを覗き込んでいた。


「綾、これ全部食べられるの!? すごい量!」


「全部は無理・無理・無理。そんなに食べれないし。もし食べれたとしても私が作る晩御飯食べれないから一つにしよ。その代わり好きなもの選んでいいよ」


 私は笑いながら、メニューを一緒に眺めた。


 白雪様はパフェの写真を見て指を指して教えてくれた。


「これ! これが食べたい! 氷とクリームとフルーツがいっぱい!」


「じゃあ、私も同じのにしようか」


 注文して待っている間、白雪様は窓の外を眺めて、


「外の世界、こんなにきれいなんだね……綾と一緒に歩く道、全部が特別に見える」


「私も……白雪様と一緒だから、いつもよりきれいに見えるよ」


 白雪様は頰を赤くして、私の手をテーブル下でそっと握ってきた。店員さんが運んできたパフェは、想像以上に豪華だった。


 グラスに盛られたバニラアイス、ホイップクリーム、フルーツ、チョコソース、クッキー……。


 白雪様はスプーンを手に取って、目を輝かせた。


「綾、まずは一緒に食べよう!」


「うん」


 私はスプーンを手に取り、白雪様と一緒にパフェをすくう。白雪様は一口食べて、


「んっ……冷たくて甘くて、幸せ!」


「美味しいね」


 白雪様は嬉しそうに、私のスプーンを「あーん」してくる。


「綾、あーん!」


 私は少し恥ずかしくて顔を赤くしながら、口を開けた。


 白雪様は「えへへ」と笑って、自分のスプーンを差し出してくる。


「綾の作ったご飯も好きだけど、外の甘いものも、綾と一緒に食べるともっと美味しい!」


「私も……白雪様と一緒だから、特別だよ」


 ふたりで交互に「あーん」し合って、パフェを半分こ。白雪様は時々、頰にクリームがついていた。


 白雪様は「綾、取って?」って甘えてくるので、私はティッシュで優しく拭いてあげて、


「もう……子供みたい」


「綾が優しいから、甘えちゃうんだもん」


 そんなこと言われたら何も言えなくなって頬の筋肉が緩んだように口元が緩んできちゃう。 


 カフェのBGMが優しく流れて、窓から差し込む光が白雪様の銀髪を輝かせる。


 時間はゆっくり過ぎていった。


 パフェを食べ終わって、コーヒーを飲む頃には、白雪様は私の肩に頭を預けて、目を細めていた。


「綾……今日も、すごく幸せ」


「私も」


 私は白雪様の手を握り返して、静かに微笑んだ。


 白雪様は私の腕に絡みついて、


「次は公園!」


「うん、手つないで歩こう」



 手を繋いで、カフェを出た瞬間。春の柔らかい風が頰を撫でた。


 空は青く、雲は白くふわふわと流れている。街路樹の芽が少し膨らみ始めていて、どこか優しい匂いが漂っていた。


「綾、次は公園! 公園って、どんなところ?」


「緑がいっぱいで、ベンチがあって、のんびりできるところだよ。まだまだ春前だから花はまだ咲いてるのが少ないけど、散歩にぴったりだよ」


「わぁ……楽しみ!」


 白雪様は私の手を握り直して、スキップするように歩き始めた。公園まではカフェから徒歩で15分くらい。


 道中、白雪様は周りのすべてに興味津々。


「綾、あの木の葉、緑色なのにキラキラしてる!」


「新芽が出始めてるんだよ。春が近づいてる証拠だね」


「春……綾と一緒に桜を見れる日が来るんだね」


 白雪様の金色の瞳が、期待で輝いている。私は白雪様の手をぎゅっと握り返した。


「うん、一緒にお花見をしようね」


 公園に着くと、入口の桜並木はまだつぼみだけだったけど、芝生が広がり、ベンチが点在して、静かで穏やかな空気が流れていた。


 今日は週末のの午後だったけど、人が思った以上に少なかった。


 時々、犬を散歩させるおじさんや、ジョギングする人がいるくらい。


「わぁ……広い! 空気がきれい!」


 白雪様は深呼吸して、目を閉じた。


「綾、ここで座ろう!」


 白雪様はベンチを見つけて、私の手を引いた。


 ふたりで並んで座る。


 ベンチは少し冷たいけど、白雪様が隣にいるから、すぐに温かくなった。


 白雪様は私の肩に頭を預けて、


「綾と外でくっついてるの、なんかドキドキする……」


「私も……人に見られるかもって思うと、ちょっと恥ずかしい」


「えへへ、でも嬉しい」


 白雪様は私の手を自分の膝の上に置いて、指を絡めてきた。ふたりで、ただ座って、周りを見ている。


 風が葉を揺らし、遠くで子供の笑い声が聞こえる。


 白雪様が突然、


「綾……ここで、キスしてもいい?」


「え!? 外だよ……?」


「誰も見てないよ……」


 白雪様は周りをきょろきょろ確認して、私の頬にそっと唇を寄せた。柔らかくて、甘い匂いがする。


 私は顔を真っ赤になってるのが実感している。まだ桜は咲いてないけど、私の頬の色はたぶん桜色になっているのがわかる。


「白雪様……」


 白雪様は満足そうに笑って、


「綾の頰、温かい……」


 私は恥ずかしくて、白雪様の頭を抱き寄せた。そのまま、ベンチで30分くらい、ただ寄り添っていた。時々、白雪様が私の耳元で囁く。


「綾のこと、もっと知りたい」


「私も……白雪様の全部を知りたい」


「じゃあ、これからも毎日、少しずつ教えてあげるね」


 約束みたいに、指切りげんまんをした。


 公園を出るときには、日が少し傾き始めていた。帰り道、ふたりで手をつないで歩く。


 白雪様の手は小さくて、温かくて、指をしっかり絡めて離さない。


「綾の手、好き……離したくない」


「私も……ずっとこうしていたい」


 街灯が灯り始めて、道がオレンジ色に染まる。時々、白雪様が私の腕に体を寄せてくる。


「綾、今日もありがとう……カフェも公園も、全部が宝物になった」


「私の方こそ……白雪様と一緒にいると、毎日が特別だよ」


 家が見えてきた頃、白雪様は立ち止まって、


 私を正面から抱きしめた。


「綾……大好き」


「私も……白雪様、大好き」


 玄関の前で、軽く唇を重ねる。誰も見ていない、ふたりだけのキス。


 家に入って、ドアを閉めた瞬間、


 白雪様はまたぎゅっと抱きついてきた。


「ただいま」


「おかえり」


 今日のデートは、終わったけど、白雪様が来てから私はすごく幸せな気分を感じている。


 いつもありがとう。

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