22話 白雪様とお正月
元旦の朝。
外は雪が一晩中降り続いたみたいで、窓の外が真っ白に覆われていた。
名古屋の街はまだ静かで、遠くから初詣に向かう人の足音が少しずつ聞こえ始めてるけど、朝早い時間だから穏やかで優しい。
雪の層が厚く積もって、街灯の光が柔らかく反射し、まるで白い絨毯を敷いた世界。
空気はひんやりと澄んでいて、息を吐くと白く凍るのが見えて、冬の冷たさが頬や鼻先を優しく刺す。
部屋の中は暖房が効いてふんわり温かく、白雪様の甘い雪の匂いが優しく漂っている。
その香りが、昨夜の除夜の鐘の余韻と混ざって、心を柔らかく包み込み、昨日の疲れを優しく溶かしてくれる。
私はベッドからゆっくり起き上がって、隣を見た。
白雪様がまだ眠そうに目をこすってる。
小さな体が布団に埋もれて、銀髪が枕に広がり、狐耳がぴくぴくとゆっくり動いている。
頬が少し赤くて、昨夜の鐘の音を聞きながら眠りについた余韻が残っているみたい。
尻尾が布団の下でゆらゆら揺れて、寝ぼけながらも嬉しさが隠しきれてない。
まぶたが重そうに開いて、金色の瞳がぼんやりと私を捉える瞬間、胸がきゅんとする。
「綾……おはよう。新年だね」
白雪様が上目遣いでこっちを見て、金色の瞳が朝の柔らかい光を映してキラキラ輝く。
声が少し眠そうで、甘くて、かすかに鼻にかかって、胸の奥がきゅんとする。
布団から少し体を起こして、銀髪が肩に落ちて、雪のようにさらさら揺れる。
「おはよう、白雪様。あけましておめでとう」
私は白雪様を抱き寄せて、額にちゅっとキスした。
柔らかい肌と温もりがじんわり伝わって、昨夜の抱きしめ合った記憶がよみがえる。
白雪様の銀髪が私の頬に触れて、雪の匂いが一気に広がる。
胸が熱くなって、涙が出そうになるくらい幸せだった。
白雪様の体が私の腕の中で少しもぞもぞ動いて、狐耳が私の髪に触れてくすぐったい。
この瞬間、新年が本当に始まった気がした。
白雪様と出会って、今日で一年たったんだなって実感しちゃう。
白雪様の温もりが、私の新しい一年を優しく照らしてくれるみたいで、心が満ちていく。
白雪様がこくんって頷いて、狐耳をぴょこんと立てる。
尻尾が布団の下でぱたぱた動いて、興奮が抑えきれてないのが丸わかり。
小さな尻尾の先が布団を軽く叩く音が、静かな朝の部屋に可愛く響く。
「うん! お賽銭も用意したよ。綾と一緒にお参りして、今年も幸せでお願いする」
白雪様の声が弾んで、金色の瞳が朝の光を浴びてキラキラ輝く。
小さな手が布団の端をぎゅっと握って、期待で体が少し震えてる。
私は笑って、白雪様を布団から抱き上げた。
軽い体が腕の中にすっぽり収まって、甘い雪の匂いが一気に広がる。
白雪様の銀髪が私の頬に触れて、柔らかい感触が胸をくすぐる。
体温が直に伝わってきて、心臓がどくどく鳴り始める。
「じゃあ、準備しよう。まずは着替えだね」
クローゼットから、白雪様の小さな着物を取り出す。
淡いピンクの桜柄のちりめん生地で、帯は金色。
私が子供の頃に着てたものを、妹が成長して着て喜んでた着物。
妹が亡くなってから、ずっと仕舞ってあったけど、今の白雪様のサイズにぴったり合って、銀髪と狐耳に映える。
妹の笑顔を思い出すと、胸がぎゅっと締めつけられるけど。
今は白雪様が着てくれることで、妹の分まで一緒にいる気がして、温かい気持ちになる。
生地が朝の光に透けて、桜の柄がほのかに浮かび上がる。
白雪様をベッドに座らせて、丁寧に着せてあげる。
袖を通すたび、小さな体がもぞもぞ動いて、狐耳がぴくぴく揺れる。
袖口から銀髪がこぼれて、桜柄と混ざって綺麗。
帯を結ぶときは後ろから抱きしめるみたいになって、白雪様の背中が私の胸にぴったり。
体温が直に伝わって、心臓がどくどく鳴る。
帯を締めながら、白雪様の腰に腕を回して、耳元でそっと囁く。
「帯、きつくない?」
「ううん……ちょうどいい。綾の手、温かいよ」
白雪様が振り返って、微笑む。
頬がぽっと赤くて、金色の瞳が潤んでいて、可愛すぎて胸が痛い。
着物の襟から狐耳がぴょこんと飛び出して、帯の金色が銀髪に映えて、神聖で可愛い。
尻尾が裾の隙間からふわっと覗いて、ぴくぴく動く。
私も自分の着物を着替えて、シンプルな紺色のものにオレンジのリボンを付ける。
白雪様の「狐の友達」みたいな感じで揃えたやつ。
鏡の前に並ぶと、二人の姿がぴったりで、まるで物語の中みたい。
白雪様が私の袖をそっと掴んできた。
「綾……一緒にいるの、嬉しいよ~」
私は白雪様の頭を撫でて。
「私も。白雪様と一緒の新年、最高だよ」
お賽銭用の小銭を巾着に詰めて、白雪様が大事そうに持つ。
小さな手で巾着の紐をぎゅっと握りしめて、指の先まで白くなるくらい力が入ってる。
金色の瞳が真剣で、狐耳がぴくぴく緊張しながらも嬉しそうに動く。
巾着の布が小さな掌にぴったり沿って、赤い紐が白い肌に映えて、朝の光にほのかに輝く。
尻尾がぱたぱた揺れて、床に軽く当たる音が部屋に響く。
「私のお賽銭、綾と一緒にお願いするよ」
白雪様の声が少し震えてて、でもその震えが可愛くて、胸がきゅんとする。
巾着を胸に当てて、まるで宝物みたいに抱きしめてる姿が愛おしくて、私はそっと手を重ねた。
白雪様の指が私の指に絡まって、温かい。
金色の瞳が潤んで、私をじっと見つめてくる。
「うん。一緒に願おうね。健康で、幸せで、ずっと一緒にいられますようにって」
私の言葉に、白雪様がこくんって頷いて、巾着をさらにぎゅっと抱きしめた。
尻尾が私の脚にふわっと触れて、温かい毛がくすぐったい。
その感触が優しくて、離れたくない。
この朝の準備が、二人だけの特別な時間。
外の雪が静かに降り続ける中、部屋の中は温もりと甘い匂いで満ちていた。
お正月の朝ごはんは、簡単だけど伝統的なものを用意した。
重箱に詰めたおせち料理。
黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、栗きんとん、昆布巻き、伊達巻き、紅白なますを少しずつ皿に盛り付ける。
そういえばお母さんが昔教えてくれたっけ……。
黒豆は「まめに働いて、健康でいられますように」って意味で、ふっくら煮た甘さがほのかに香る。
数の子は子孫繁栄の願い、田作りは五穀豊穣、紅白かまぼこは慶びと清浄、栗きんとんは金運、昆布巻きは喜び、
伊達巻きは知恵、紅白なますは平和……どれも縁起が良くて、食べるたびに新年の幸せを感じる。
おせちの色合いが皿に映えて、黒豆の艶やかな黒、数の子の黄金色、紅白の鮮やかさが、雪景色と対比して美しい。
去年の新年の朝は何も食べなかった記憶がある。
家族の元に行こうと思ってたし、何かを食べる気力もなかったよね。
白雪様が小さな箸で黒豆を一つ摘んで、口に運ぶ。
「ん~……甘くておいしい! 黒豆、今年もまめに頑張るよ~」
金色の瞳が細まって、狐耳が嬉しそうにぴくんっと跳ねる。
尻尾が私の足元でふわっと触れてくる感触が、温かくて優しい。
白雪様の頬が少し膨らんで、幸せそうに咀嚼する姿が可愛すぎて、胸がきゅんとする。
「白雪様がいるだけで、もう十分幸せだよ」
私は数の子を一口食べて、白雪様に「あーん」って栗きんとんを食べさせてあげる。
黄金色の栗きんとんが口の中で甘く溶けて、白雪様の頬がぷくっと膨らむ姿が可愛すぎて、胸がきゅんきゅんする。
白雪様がもぐもぐ食べて、満足げに頬を緩めて、私の膝に寄りかかってくる。
小さな体が私の体に寄り添って、温もりが伝わってくる。
おせちを少しつまんで、温かいお茶を飲む。
お茶の湯気が立ち上り、白雪様の銀髪を優しく揺らす。
湯気の向こうで、白雪様の金色の瞳が柔らかく細まって、穏やかな笑顔になる。
「綾……今年も、楽しみだね」
白雪様が私の手をぎゅっと握り返す。
小さな指が私の指に絡まって、温かい。
その力が優しくて、胸がじんわり熱くなる。
「うん。白雪様と一緒なら、毎日が楽しいよ」
おせちの優しい味と、白雪様の温もりが混じって、今年一年がどんなものでも、きっと幸せだって、心から思えた。
それから私たちは、萬松寺へ。
外はまだ雪が積もったままだけど、朝の陽射しが少しずつ強くなって、雪面がキラキラと輝いている。
雪の表面が細かい結晶のように光を反射して、まるで無数の小さなダイヤモンドを敷き詰めた道のよう。
冷たい空気が頬を刺すけど、白雪様の手を握ってるから全然寒くない。
小さな掌が私の手にすっぽり収まって、温かさがじんわり伝わってくる。
時々ぎゅっと握り返してくる指の力が、優しくて愛おしくて、胸がきゅんとする。
白雪様はピンクの着物にマフラーとコートを着込んで、狐耳がマフラーからぴょこんと飛び出してる。
着物の裾が雪を払うたび、桜柄が朝の光に淡く浮かび上がって、銀髪と一緒に幻想的に揺れる。
小さな手が私の掌にぴったり収まって、指先が温かくて、雪の冷たさを忘れさせてくれる。
「綾、雪の上歩くの楽しいね~」
白雪様が上目遣いに私を見て、声が弾む。
金色の瞳が雪の反射でキラキラして、頬が冷たさで少し赤くなってる。
尻尾がコートの裾からちらっと見えて、雪の粒をぱたぱた払ってる姿が可愛すぎて、胸がきゅんとする。
足跡が二人分並んで雪に刻まれていくのが、なんだか特別で、歩くたびに心が軽くなる。
万松寺の参道へ入ると、ビルに囲まれた通路には朝早くから参拝客の影が落ち始めていた。
モニターの光が雪に反射して、点灯した提灯の赤と混ざり合い、雪の中にサイバーパンクな朱の炎が浮かんでいるみたい。
白龍館の前、お賽銭箱に手を合わせる人たちの息が白く凍って、巨大な白龍が吐き出す霧に溶け込んでいく。
白龍の足元にある石造りの階段を登るたび、白雪様が私の手を引いて、軽やかに跳ねる。
着物の裾が舗装された床の雪を払い、桜柄がビルの隙間から差し込む朝陽に淡く輝いた。
タイルの上の雪が靴の底でぱりぱり音を立てて、白雪様の小さな足跡が私の足跡の中に収まっていく。
「綾、早くお参りしよう!」
白雪様の声が弾んで、金色の瞳が期待でいっぱい。
朱塗りの柱が並ぶ白雪堂の前に並んで、二人で手を合わせる。
白雪様が、隣で小さな声で祈る。
「今年も綾と幸せでいられますように。健康で、毎日笑顔でいられますように」
その声がアーケードから吹き込む冷たい風と雪の中に溶け込んで、胸の奥がじんわり熱くなる。
私も目を閉じて、心の中で同じ願いを繰り返す。
去年一年ありがとうございました。
白雪様とずっと一緒にいられますように。どんな日も、幸せでありますように。
私は心の中で感謝を白雪様にお礼をした。
お賽銭を投げ入れると、金属の箱に当たってチャリンと硬い音を立てた。
その音が不思議と体の中に響いて、胸がじんわり温かくなる。
続いて太い鈴紐を引くと、カランカランと澄んだ音が雪の朝の静寂に溶けていった。
白雪様が私の袖をぎゅっと掴んで、振り返る。
頬が雪の冷たさで少し赤く、でも笑顔が輝いている。
お参りが終わって、白龍の広場に設けられたおみくじ所へ向かう。
白雪様が小さな手で、ずっしりとした木製の筒を一生懸命に振る。
筒の中の棒がカタカタと乾いた音を立て、白雪様の指が緊張で少し震えてるのが見えて、胸がきゅんとする。
白雪様は、ひょこっと顔を出した棒を大切に指で押さえ、そのまま筒ごと巫女さんへ差し出した。
「お願いします」
小さな声で告げて、巫女さんからおみくじの紙を受け取ると、ぱっと私の方を振り返る。
金色の瞳が期待でいっぱいに輝いて、狐耳がぴょこんと立っている。
白雪様の声が弾んで、二人で広げてみたら、大吉とあった。
白雪様が目を丸くして、狐耳がぴょんぴょん跳ねる。
尻尾がコートの裾からふわふわ揺れて、興奮が抑えきれてない。
「わぁ! 大吉だよ~! 綾も引いて!」
私は筒を振って、おみくじを引いた。
広げると、私も「大吉」。
白雪様が目を丸くして、狐耳がぴょんぴょん跳ねる。
小さな手が私の袖をぎゅっと掴んで、頬がぽっと赤くなる。
「二人とも大吉! 今年は絶対幸せだね!」
白雪様が私の袖をぎゅっと掴んで、笑顔が輝く。
おみくじを大事に巾着にしまって、境内を少し散策する。
雪の積もった松の木の下で、白雪様が小さな雪だるまを作り始める。
小さな手で雪を丸めて、狐耳みたいな枝を刺して、完成。
白雪様の銀髪に雪の粒がついて、朝の光にキラキラ輝いてる。
「綾、見て! ミニ雪だるま!」
白雪様が雪だるまを両手で持ち上げて、私に見せてくる。
雪だるまの小さな狐耳が、白雪様の耳とそっくりで、可愛すぎて胸がきゅんとする。
「可愛い……白雪様に似てるよ」
私は白雪様を抱き上げて、雪だるまの横で写真を撮る。
二人で笑い合って、雪の冷たさと温もりが混じって、胸がきゅんきゅんする。
白雪様の頬が雪で冷えて赤くて、でも笑顔が輝いていて、抱きしめたくなる。
初詣の帰り道、白雪様が私の腕に絡みついてくる。
着物の袖が私の腕に触れて、温かい。
「綾、お正月って楽しいね。次は何する?」
「家に帰って、おせち食べながら、カルタ取りとかしようか」
白雪様の瞳がぱっと輝く。
「うん! 百人一首! 綾に勝つよ~」
家に帰って、こたつに潜り込む。
おせちの残りをテーブルに並べて、百人一首の札を広げる。
白雪様が小さな手で札を取ろうとして、狐耳がぴくぴく集中する。
読み手をCDに流して。
「ちはやぶる……」
白雪様がぱっと札を取るけど、間違えて私の札を取っちゃう。
「えへへ……綾の取っちゃった」
「いいよ、白雪様の勝ちで」
私は白雪様の頭を撫でて、札を渡す。
尻尾がこたつの中でぱたぱた揺れて、甘い匂いがこたつの中に広がる。
カルタ取りの合間に、おせちを一口ずつ食べさせてあげる。
黒豆を「あーん」すると、白雪様が頬をぷくっと膨らませて、幸せそうに食べる。
「綾と一緒にお正月、最高だよ~」
外の雪がゆっくり降り続く中、こたつの中で二人きり。
百人一首の札が散らばって、おせちの香りが部屋に満ちて、新年の穏やかな一日がゆっくり流れていく。
白雪様が私の膝に頭を乗せてきて、
「綾……大好き」
小さな声で囁く。
「私も大好き。ずっと一緒に」
この元旦が、こんなに温かくて、こんなに甘いものになるなんて、白雪様と一緒だからだ。
雪の音と、白雪様の小さな吐息が、静かに響く部屋で、元旦はまだ始まったばかりだった。
「白雪様と二人暮らし」をお楽しみいただけましたか?
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