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白雪様と二人暮らし  作者:
第二章 のんびりとした日常

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21/24

21話 白雪様と大晦日

 12月30日、年末の空気が街を優しく包み始めた。

 外は少し雪がちらつき始めて、名古屋の空が淡い灰色に染まっている。

 街路樹の枝に白い粒がぽつぽつと積もり、歩くたびにかさかさと小さな音がする。


 大須商店街のアーケードは年越し準備で賑わっていて、初詣用の提灯がずらりと並び始め、赤と白の灯りが雪の粒子を優しく照らしている。

 屋台から漂うおでんの出汁の香りや、焼き鳥の炭火の煙が冷たい空気に混じって、なんだか胸の奥まで温かくなる。


 ニュースで「大須観音の除夜の鐘、一般参加可能」って見たけど、今年は家で静かに過ごそうと決めた。

 白雪様と二人で、掃除したり、年越しそばの材料を買ったり、お正月の準備をして、特別な夜を迎えたい。

 そんな穏やかな年末が、今は一番の贅沢に感じる。


 朝から白雪様がリビングで待っていた。

 小さな箒を両手で握って、ぴょんぴょん跳ねながら埃を払っている姿が、もうたまらない。

 狐耳にうっすら埃がついて、銀髪の先がぴょこぴょこ揺れるたび、白い粉が舞う。

 尻尾は楽しみでぱたぱた左右に振れて、エプロンを着けて袖をまくった小さな体が、まるで本物の家事妖精みたい。

 ピンクのフリルエプロンが白雪様の華奢なシルエットにぴったりで、胸がきゅんって締めつけられる。


「綾~、お部屋ピカピカにしよう! お正月、きれいな家で迎えたいよ~」


 白雪様が私を見て、目をキラキラさせて言った。金色の瞳が朝の光を反射して、まるで小さな星みたいに輝いている。

 私は思わず笑って、白雪様の頭をそっと撫でた。銀髪がさらりと指の間を滑って、雪みたいな甘い匂いがふわりと広がる。柔らかくて、冷たくなくて、でもどこか清涼感があって、白雪様そのものの匂い。


「うん。一緒に白雪様と綺麗にしよう、二人でやったら、終わった時いつもより最高になるね」


 二人で部屋を回って、棚の埃を拭いたり、床を整えたり。

 白雪様は小さな体で一生懸命、棚の上に背伸びして届かなくて、つま先立ちで「うーん……」って頑張っている。

 狐耳がぴくぴく集中して、尻尾の先がイライラと小刻みに動く姿が愛おしすぎて、私は後ろからそっと抱き上げた。


 軽い。ふわっとした温もりが腕の中に収まって、白雪様の背中が私の胸にぴったりくっつく。

 甘い匂いが一気に強くなって、心臓がどくどく鳴り始める。


「綾、ありがとう!」


 白雪様が棚を拭き終えて、私の首に腕を回してきた。

 小さな体がぎゅっと密着して、狐耳が私の頬にふわっと触れる。

 ぴくぴく動く感触がくすぐったくて、でも幸せすぎて離したくない。


 尻尾が私の腰にふわっと巻きついて、離さないように絡まってくる。

 柔らかい毛の感触が服越しに伝わって、胸の奥が甘く疼く。


「綾の匂い、好きだよ~。掃除中もずっと近くにいてほしい」


 その甘えた声に、思わず頬が熱くなる。私は白雪様の頬に軽く唇を押し当てて、そっとキスした。

 柔らかい肌の感触と、ほのかな体温がじんわり染みてくる。


「私も。白雪様の匂い大好きだよ」


 白雪様の耳がぺたんと倒れて、頬がぽっと桜色に染まる。

 尻尾が私の腰をぎゅっと締めつけて、甘えるように体を寄せてくる。

 掃除の合間に、スーパーへ買い物に行くことにした。

 

 外は雪がちらちらと舞い続いていて、歩道に薄く白い膜ができ始めている。

 コートを着込んだ白雪様の手をしっかり握って、温もりを分け合いながら店内に入る。

 スーパーの暖房がふわっと迎えてくれて、外の冷たさが一瞬で溶けるみたい。


 カゴに年越しそばの材料を入れていく。生そばの袋、シャキシャキのねぎ、天かす、かまぼこ、だし汁の瓶、それ から卵も忘れずに。お正月用の簡単おせちも少しだけ。

 黒豆の煮豆缶、数の子、紅白なますの材料になる大根と人参、酢と砂糖も追加で。カゴがだんだん重くなっていくけど、白雪様が小さな両手で一生懸命持ってくれる。


 白雪様は私の後ろをちょこちょこついてきて、狐耳が棚の商品に反応してぴくぴく動く。

 尻尾がコートの裾からちらっと見えて、嬉しそうにゆらゆら揺れている。

 時々、私の腰にそっと触れてくるのが、甘えん坊のサインで胸がきゅんとする。

 そばの棚の前で、白雪様が袋をじっと見つめて、首を傾げる。


「綾、これおそば? 長~い! 長生きの意味なんだよね?」


 金色の瞳が好奇心でキラキラ輝いて、袋を両手で持ち上げて眺めている。

 小さな指がそばの束をそっと撫でる仕草が、可愛すぎて思わず笑みがこぼれる。


「うん。年越しそばは、長く一緒にいられますように、って願いを込めて食べるんだよ。細くて長いから、縁が続くようにって」


 白雪様の瞳が一瞬で大きく見開かれて、狐耳がぴくんっと跳ね上がる。


「私、綾と長く一緒にいたいよ~。ずっと、ずっと!」


 その言葉に、胸の奥が熱くなって、私は白雪様の手をそっと握った。小さな掌が私の指にすっぽり収まって、温かさがじんわり伝わってくる。


「私も。白雪様と一緒にいる時間が、一番大事だよ。来年も、再来年も、ずっと一緒に」


 白雪様の頬がぽっと赤くなって、尻尾が私の足元でくるんと巻きつく。

 スーパーのBGMが遠くに聞こえる中、この瞬間だけが二人だけの世界みたい。


 お正月コーナーに移動すると、白雪様がミニチュアの門松を見つけて、目を輝かせた。

 小さな竹と松の飾りが、赤い紐で結ばれてて、縁起物らしい可愛さ。


「綾、これ門松? お正月飾りだよね! 買おうよ~」


 上目遣いでこっちを見て、狐耳が期待でぴょこぴょこ動く。

 尻尾の先が興奮でパタパタ振れてるのが、もうたまらない。

 私は白雪様の頭を優しく撫でて、ミニ門松をカゴに入れた。


「うん。買おう。これを飾ったら、家がお正月らしくなるね」


 レジを済ませて、家に帰る道中、白雪様が門松の袋を大事そうに抱えて、私の腕に絡みついてくる。

 雪が少し強くなって、頬に冷たい粒が当たるけど、白雪様の温もりがすぐそばにあるから、全然寒くない。


 家に着いて、リビングの玄関にミニ門松を飾る。

 テーブルの上に置くと、ぴったりサイズで可愛い。

 白雪様がその横に立って、両手を広げてポーズを取ってみせる。


「どう? お正月っぽい?」


 ピンクのエプロン姿のまま、銀髪がさらりと揺れて、金色の瞳がキラキラ光ってる。

 狐耳がぴょこんと立って、尻尾が嬉しそうに左右に振れる。

 門松の緑と白雪様の銀色が映えて、まるで小さな妖精が正月を迎えてるみたい。


 私はスマホを取り出して、思わずシャッターを切った。


「完璧……可愛すぎるよ、白雪様がお正月の一番の飾りだね」


 白雪様が照れくさそうに耳をぺたんと倒して、私の胸に飛び込んでくる。


「えへへ……綾と一緒のお正月、楽しみ」


 小さな体がぎゅっと抱きついてきて、甘い雪の匂いが部屋いっぱいに広がる。

 白雪様が袋から材料を一つずつ出して、テーブルの上に丁寧に並べ始めた。

 小さな手で生そばの袋をそっと持ち上げて、私に見せてきた。


「これ、明日のおそばだね~」って、嬉しそうに冷蔵庫へ運ぶ。


 ねぎはシャキシャキの緑を、天かすはサクサクの袋を、ピンクのかまぼこは等を確認しながら、まるで宝物みたいに扱ってる姿が可愛くて、つい見惚れてしまう。


 おせちの材料はカウンターに並べて、黒豆の缶、数の子のパック、大根と人参を綺麗に揃える。

 白雪様がカウンターに背伸びして並べ直しながら、私に聞いてきた。


「明日、31日に作ろうね! 楽しみだよ~」


 目を細めて笑う。狐耳がぴくぴく動いて、尻尾が私の足元でふわっと触れてくる。


 私は白雪様を後ろからそっと抱き寄せて、額にちゅっとキスした。

 柔らかい肌の感触と、甘い雪の匂いが一気に広がって、心臓がどくどく鳴る。


「うん。明日も一緒に作ろう。白雪様と準備してるだけで、もう年末が特別だよ」


 白雪様が私の胸に顔を埋めてきて、小さな手で服をぎゅっとつかむ。


「綾と一緒なら、毎日が特別だよ~」


 その囁きが胸に染み込んで、温かさがじんわり広がる。

 部屋がきれいになって、材料が綺麗に並んで、明日への準備が整った。

 窓から差し込む冬の柔らかい光が、白雪様の銀髪を優しく照らして、まるで雪の結晶みたいにキラキラ輝いている。


 外は雪がまだちらついているけど、この部屋の中は二人だけの温もりで満ちていて、冷たい風なんて全然感じない。

 

12月31日、大晦日。


 大晦日の夕方、外はすっかり暗くなり、窓の外に雪が静かに舞い続けていた。

 ガラスに当たる白い粒が、ぽつぽつと溶けて細い水筋を残す様子が、年越しの夜の訪れを優しく告げている。


 大須の街は年末の穏やかなムードに包まれていて、アーケードの提灯が赤と白の柔らかい光を灯し始め、準備中の屋台からかすかにおでんの出汁や焼き鳥の炭火の香りが漂ってくる。


 今日は、家で静かに過ごそうと決めた。

 白雪様と二人で、年越しそばを作って、除夜の鐘をテレビで聞いて、新年を迎える。

 それだけで十分特別だから。


 派手なカウントダウンも、花火もいらない。

 ただ、白雪様の温もりと、二人だけの時間があればそれで十分だから。


 夕方、白雪様がキッチンで待っていた。

 エプロンを着けて袖をまくり、狐耳をぴょこんと立てて、尻尾を楽しみでぱたぱた揺らしている。

 小さな体がキッチンの暖かい灯りに照らされて、銀髪がキラキラと輝き、甘い雪の匂いがキッチン全体にふわっと広がっている。


 金色の瞳が期待でいっぱいになって、まるで小さな星を閉じ込めたみたいに輝き、小さな手がそばの袋をぎゅっと握っている姿が、もう愛おしすぎて胸がきゅんとする。

 エプロンの紐が狐耳の根元に軽く触れて、ぴくぴく動く耳がくすぐったそうに震えている。


「綾~、今日年越しそば作るよね? 楽しみすぎて、もうお腹すいちゃったよ~」


 声が少し高めで、甘えん坊な響きが混じって、思わず笑みがこぼれる。

 私は白雪様の頭をそっと撫でて、一緒に材料を並べた。生そばの袋から漂う小麦の香り、ねぎのシャキシャキした緑、天かすのサクサクした袋、かまぼこの淡いピンク、だし汁の瓶から立ち上る優しい香り、卵のつるんとした殻……昨日買っておいたものを一つずつ並べると、キッチンがお正月の匂いでいっぱいになる。


「うん。今日は年越しそばをメインにしよう。白雪様と一緒に作ったら、絶対おいしくなるよ」


 白雪様が小さな手で鍋に水を入れて火にかけるのを、手伝いながら見守る。ガスコンロの青い炎がゆらゆら揺れて、すぐに湯気が立ち上り始め、キッチンがほんのり温かくなる。


 外の冷たさが窓の向こうに遠く感じて、二人だけの小さな世界が広がっていく。白雪様がだし汁を混ぜながら、鼻をくんくんさせて目を細める。


「綾、だし汁の香り、いいね~。もうすぐ年越しだよ……」


 その言葉に、胸がじんわりと温かくなる。まるで心臓の奥に優しい湯気が広がっていくような感覚で、思わず息を吐いた。


 私は笑って、白雪様の頬に付いた粉。小麦粉かな?を指で優しく拭いてあげた。

 指先が柔らかい肌に触れた瞬間、ほのかな体温がじわりと伝わってきて、甘い雪の匂いが一気に強くなる。

 指先に残る温もりと匂いが、頭の中をふわふわにして、心臓がどくどく、どくどくと鳴り始める。


 白雪様の狐耳がぴくっと反応して、耳の先が小さく震え、頬がぽっと桜色に染まる。

 尻尾が私の足元でふわっと触れてきて、柔らかい毛の感触が服越しに伝わって、離したくない衝動に駆られる。


「もう少し待ってね。茹で上がったらすぐ食べよう」


 そばが茹で上がって、ざるで水を切る。

 熱い湯気がふわっと立ち上り、そばの小麦の香りがキッチンいっぱいに広がって、部屋全体を優しい白い霧で包み込む。

 湯気の向こうで、白雪様の銀髪が湿って少し輝き、金色の瞳が湯気に映ってよりキラキラと光っている。


 温かい汁にそばを入れて、ねぎを小口切りに散らし、天かすをパラパラとかまぼこを薄く切ってのせる。

 白雪様が卵を落として、半熟に仕上げるのを一緒にやる。

 小さな手が卵をそっと割り、汁に落とす瞬間、狐耳が集中でぴくぴく動いて、尻尾が私の腰にそっと巻きついてくる。

 卵がぷるんと汁に沈む音が、ぽちゃん……と静かに響き、湯気の温かさが二人を優しく包み込んで、まるでこのキッチンが世界の全部みたいに感じる。


 完成した年越しそばをテーブルに運んで、二人で座った。

 湯気が立ち上る丼から、だし汁の優しい香りとそばの香りが混じって、部屋中を満たす。

 熱い湯気が頬を撫で、鼻先をくすぐり、胸の奥までじんわり染み込んでいく。テレビの音が小さく流れていて、除夜の鐘がもうすぐ始まる時間。


 白雪様が私の隣にぴったり寄り添って、箸を手に持ち、狐耳が私の髪に軽く触れる。

 銀髪が私の肩にかかり、甘い雪の匂いがすぐそばで強くなって、心臓がまたどくどくと鳴り出す。

 白雪様が丼を両手で持ち上げて、そっと顔を近づける。


「綾……いただきます」


 小さな声で呟いて、一口すする。金色の瞳がぱっと輝いて、頬をぷくっと膨らませる姿が可愛すぎて、思わず息を飲んだ。


「ん~……おいしい! 綾と一緒に作ったから、特別だよ……」


 私は白雪様の頭を撫でて、自分も一口食べる。温かい汁が喉を通り、体の中までじんわり染みていく。

 外の雪が窓を叩く音が、静かに聞こえてくる中、この丼の温もりが、二人だけの新年を優しく繋いでいるみたいだなぁって思った。


 そばを食べながら、テレビをつけて除夜の鐘を待つ。

 丼の湯気がまだ立ち上る中、白雪様が私の膝にぴょんっと飛び乗ってきた。

 小さな体が太ももに温かく沈み、銀髪が私の胸元にさらりと落ちる。

 狐耳が私の首筋に軽く触れて、くすぐったいのに心地よくて、思わず息を吐いた。


 白雪様は窓の外の雪を眺めながら、じっと待っている。

 雪の粒がガラスに当たって溶けていく様子を、金色の瞳がキラキラと映している。

 淡い白い粒子がゆっくり落ちて、街灯の光に照らされて小さな星みたいに輝く。


 白雪様の銀髪が私の肩にかかり、甘い雪の匂いがすぐそばで強くなって、心臓が静かに、でも強く鳴り続ける。

 尻尾が私の腰にそっと巻きついて、離さないように絡まってくる。柔らかい毛の感触が服越しに伝わって、温かくて、安心して、胸の奥がきゅんとする。


 狐耳が私の首筋にふわっと触れて、ぴくぴく動くたびに、くすぐったいのに心地よくて、思わず息を吐く。

 この瞬間、部屋の中は二人だけの静かな時間で、外の雪の音と、白雪様の小さな吐息だけが聞こえる。


 時計の針が23時を回り、テレビから除夜の鐘の音がゆっくりと響き始めた。ゴーン……ゴーン……と、重く、低く、でもどこか優しい音が部屋に満ちていく。

 白雪様が目を閉じて、小さな手を胸の前で合わせた。狐耳がぴくっと静かに垂れ、尻尾の動きが止まる。


「本体様、今年もありがとう。来年も綾と幸せでいられますように」


 小さな声が、鐘の音に混じって震えるように聞こえた。その祈りの言葉に、胸の奥が熱くなって、私はそっと手を合わせて、心の中で呟いた。


 白雪様、今年は本当にありがとう。来年も、ずっと一緒にいてね。どんな日も、どんな季節も、白雪様と二人でいたい


 鐘が108回鳴り終わり、テレビのアナウンサーが「新年あけましておめでとうございます」と穏やかに告げる。

 部屋が一瞬静かになって、外の雪が窓を優しく叩く音だけが残る。新年が、静かに訪れた。

 白雪様が私の胸に顔を寄せてきて、温かい吐息が服越しに伝わってくる。


「綾、明日はお正月だね。初詣、一緒に行こ?」


 金色の瞳が上目遣いに私を見て、狐耳が期待でぴょこんと跳ねる。

 頬が少し赤くて、尻尾が私の腰をぎゅっと締めつける。


「うん。一緒に行こう。萬松寺でお参りして、新年を祝おう」


 白雪様が私の首に腕を回してきて、小さな体がぎゅっと密着する。

 銀髪が私の頬を撫で、甘い雪の匂いが一気に満ちて、胸がきゅんきゅん疼く。


「綾……大好きだよ~。これからも、ずっとそばにいるね」


 その言葉が、心の奥深くに染み込んで、涙がにじみそうになる。私は白雪様を抱きしめて、耳元でそっと囁いた。


「私も大好き。ずっと一緒に」


 部屋のライトが静かに光り続け、柔らかいオレンジの間接照明が二人を優しく照らす。

 外の雪が窓を優しく叩く音が、ぽつぽつと響き、まるで新年の子守唄のように静かに繰り返される。


 この大晦日が、白雪様と二人で迎えられて、本当に幸せだった。

 明日は白雪様と出会って一年になる。去年までとは全然違ってすごく幸せだった。


 新年の始まりが、こんなに温かくて、こんなに甘いものになるなんて、去年の今頃はあきらめて家族の元に行こうとしてたのに。

 白雪様と一緒に暮らして私は幸せだよ。


 そう思ったら、胸の奥がじんわりと熱くなって、涙がにじみそうになるのを、必死に堪える。

 私は白雪様の額に唇を寄せて、そっとキスをした。


 柔らかい肌の感触が、ほのかな体温とともに伝わってきて、まるで永遠に続く約束のように感じる。

 銀髪が私の頬をくすぐり、甘い雪の匂いが一気に強くなって、息が少し震える。


 狐耳が私の首筋にふわっと触れて、ぴくぴくと小さく動く。


「明日の朝も、一緒に起きてね」小さな声で囁くと、白雪様が私の胸に顔を埋めて、ゆっくりと頷く。


 尻尾が私の腰にぎゅっと巻きついて、離さないように締めつけてくる。

 温もりが服越しに染み込んで、胸の奥がきゅんきゅんと疼く。


 小さな手が私の服をぎゅっとつかみ、吐息が首元に当たって、ほのかに甘い。


「うん……ずっと、一緒」


 その返事が、鐘の余韻に混じって優しく響く。

 外の雪が降り続く中、部屋の中は二人だけの温もりで満ちていた。


 間接照明の柔らかい光が静かに二人を包み、雪の音が窓を叩くリズムが、世界中が私たちを祝福しているみたいに感じる。


 新年が、静かに、優しく始まった。

 この瞬間、白雪様の体温と匂いと、鼓動がすべてを包み込んで、来るべき一年がどんなものでも、二人でなら大丈夫だって、心の底から信じられた。


 私は白雪様を抱きしめ直して、耳元でそっと囁いた。


「大好きだよ、白雪様」


 白雪様が顔を上げて、金色の瞳を細めて微笑む。

 頬が少し赤くて、狐耳が嬉しそうにぴくんっと跳ねる。


「私も……大好き」


 その言葉に、胸がまた熱くなって、思わずぎゅっと抱きしめ返した。

 部屋の光が二人を優しく照らし続け、外の雪が静かに降り積もる中、新年の夜は、甘く、温かく、ゆっくりと続いていく。

 この幸せが、ずっと続くようにって、心の中で何度も願った。

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