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白雪様と二人暮らし  作者:
第二章 のんびりとした日常

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20/24

20話 白雪様とクリスマス

 12月に入って、街が急にキラキラし始めた。

 大須商店街のアーケードはイルミネーションの海みたいになってた。

 オレンジと白の小さな電球が連なって、頭上を優しく照らしてる。

 栄のツリーもニュースで見たけど、きっと今頃、青と金の光が空に突き刺さるように立ってるんだろうな。


 外の寒さが窓ガラスを曇らせてるのに、家の中はまだ静かで、ほんのり温かい空気が漂ってる。

 白雪様がリビングのソファにちょこんと座って、私の顔をじっと見上げてきた。

 金色の瞳が、好奇心でキラキラ光ってる。


 狐耳がぴくぴく動いて、尻尾の先がソファのクッションを軽く叩くように揺れてる。


「綾~、クリスマスって何~?」


 その声があまりにも無邪気で、胸の奥がきゅんって締めつけられた。

 去年の今頃は、そんな言葉すら聞こえなかった。


 家族の声がなくなって、家はただの静かな箱だったのに……今、白雪様がこんなに目を輝かせて聞いてくれる。

 私はソファの隣に腰を下ろして、白雪様の小さな手をそっと握った。


「クリスマスはね、みんなでプレゼント交換したり、ツリーを飾ったり、ケーキを食べたりするお祝いだよ。キリスト様の誕生日を祝う日だけど、今はもう、みんなが大切な人と一緒に過ごす特別な日になってる」


 白雪様の耳がぴょこんって立って、尻尾が興奮でぱたぱた動いた。


「大切な人……って、綾のこと?」


「うん。私と白雪様のことだよ」


 白雪様の頰がぽっと赤くなって、金色の瞳が少し潤んだ。

 私は思わず白雪様の銀髪を撫でて、耳の付け根をくすぐるように触れた。


 白雪様が「ひゃっ!」って小さく体を震わせて、私の胸に顔を埋めてくる。


「じゃあ、今年は白雪様と一緒に、家でクリスマスパーティーしよう!ツリー飾って、ケーキ作って、プレゼント交換して……二人だけの特別な夜にしよう」


 白雪様が顔を上げて、ぱっと笑顔になった。

 その笑顔があまりにも眩しくて、胸が熱くなった。


 「やったー! 綾と一緒にパーティー! 楽しみすぎて、心臓がどきどきしてるよ~!」


 私は白雪様を抱き寄せて、額に軽くキスした。

 銀髪から雪みたいな甘い匂いがふわりと広がって、部屋全体が優しい空気に包まれた気がした。


「準備、始めようか。白雪様と一緒なら、どんなパーティーも最高になるよ」


 白雪様が私の首に腕を回して、ぎゅっと抱きついてきた。


「うん! 綾と一緒なら、毎日がお祝いみたいだよ~」


 外ではイルミネーションが街を染めているけど、家の中はもう、二人の小さな光で満ちていた。

 ネットで小さめのテーブルツリーをポチッと注文した。


 イブの日に頼んだものが全部来たので、間に合ってよかったと胸を下ろした。

 届いた箱をリビングのテーブルに置いて、セロテープを剥がすと、白雪様が私の背後からひょっこり顔を出して、箱の中を覗き込んできた。

 銀髪が私の肩に触れて、雪みたいな甘い匂いがふわりと広がる。


「わぁ、これがツリー? ちっちゃいけど可愛い!」


 白雪様の金色の瞳が、まるで星を映したみたいにキラキラ輝いてる。

 狐耳がぴょこんって立って、尻尾の先が興奮でぱたぱた揺れてる。

 私は箱からツリー本体を取り出して、テーブルに立てた。

 高さは50cmくらいのミニサイズだけど、枝がふさふさで、てっぺんに星の台座がついてるのが可愛くて、白雪様の体型にちょうどいい感じだった。


「これ、飾るの楽しいよ。白雪様、一緒にやろう」


 私は飾り玉やリボン、キラキラのオーナメント、金色の星を並べて、白雪様に手渡した。

 白雪様は小さな手で一つずつ丁寧に持ち上げて、目を細めて眺めてる。


「ここに赤い玉! ここにキラキラの星! えへへ、綾見て見て~!」


 白雪様が夢中で枝に付けていく。

 赤い玉を枝の奥に押し込んでみたり、星を何度も位置を変えてみたり、時々バランスが崩れてツリーがぐらっと傾く。

 狐耳が興奮でぴょこぴょこ跳ねて、尻尾がツリーの枝に絡まりそうになるのを、私はそっと手で払ってあげる。


「白雪様、尻尾が引っかかりそう……ふふ、可愛い」


 白雪様が「わっ、ごめんね~!」って慌てて尻尾を引っ込めて、私の腕に頰をすり寄せてきた。

 銀髪が私の肩に触れて、温かくて柔らかい感触が胸に染みる。

 最後にてっぺんの星を付けようとして、白雪様が背伸びする。

 体が小さいから届かなくて、つま先立ちになって「うーん……」って頑張ってる姿が愛おしくて、私は後ろからそっと抱き上げた。


「綾、ありがとう!」


 白雪様が星をぴょんと置いて、私の首に腕を回してきた。

 ツリーが少し歪んでるけど、白雪様の笑顔が一番の飾りみたいで、胸が熱くなった。


「綾、これどう? きれいかな?」


 私は白雪様を下ろして、ツリーをじっくり見つめた。

 赤い玉が少し偏ってるし、星が右に傾いてるけど……それが逆に温かくて。


「最高に可愛いよ。白雪様が飾ってくれたから、世界で素敵なツリーになったよ」


 白雪様がぽっと頰を赤くして、私の腰にぎゅっと抱きついてきた。


「えへへ……綾と一緒に飾れて、幸せだよ~」


 私は白雪様の頭を撫でて、耳の付け根をくすぐるように触れた。

 白雪様が「ひゃっ!」って小さく体を震わせて、私の胸に顔を埋めてくる。

 ツリーのライトを点けると、部屋が優しい金色と緑の光に包まれた。


 白雪様の銀髪がキラキラ反射して、まるで雪の妖精がそこにいるみたい。

 この瞬間、白雪様の小さな手が私の指に絡まって、


「綾……これ、私たちのツリーだね」って呟いた声が、胸の奥に優しく響いた。


 次はケーキ作り。


 キッチンのカウンターに材料をずらりと広げて、スポンジ生地を焼くところから始めた。

 卵、砂糖、小麦粉、バター、牛乳……白雪様は小さなエプロンを着けて、袖をまくって泡立て器を握ってる。

 エプロンの紐が少し長くて、背中で蝶結びになってるのが可愛くて、つい見とれてしまった。


「綾、私も混ぜる!」


 白雪様が泡立て器を高く掲げて、目をキラキラさせて言った。

 私はボウルに卵と砂糖を入れて、白雪様に渡す。

 白雪様は一生懸命にぐるぐる回し始めて、手がだんだん粉まみれになる。

 頬にも粉がぽつんとついて、まるで雪が積もったみたい。


 私は笑いながら、指でそっと頰の粉を拭いてあげた。

 白雪様の肌が柔らかくて、触れるだけで胸がきゅんとする。


「白雪様、可愛い。雪の妖精みたい」


 白雪様がぽっと頰を赤くして、泡立て器を止めた。

 金色の瞳が少し潤んで、私を見上げてくる。


「綾のほうが雪みたいだよ~。銀髪で綺麗……私、綾の雪に溶けたい」


 その言葉に、胸の奥が熱くなった。

 私は白雪様の銀髪を優しく撫でて、耳の付け根をくすぐるように触れた。

 白雪様が「ひゃっ!」って小さく体を震わせて、私の腕に頰をすり寄せてきた。


 生地を混ぜ終えて、オーブンに入れる。

 タイマーをセットして待ってる間、白雪様が私の膝にちょこんと座ってきた。

 小さな体がぴったり収まって、尻尾が私の腰にふわっと巻きつく。


「綾、クリスマスってプレゼント交換するんだよね?私、綾に何あげようかな……」


 白雪様が私の首に腕を回して、耳元で囁くように言った。

 温かい息が首筋にかかって、どきんって鳴った。

 私は白雪様の銀髪を撫でながら、そっと答えた。


「白雪様が一緒にいてくれるだけで、一番のプレゼントだよ。毎日、私のそばにいてくれるだけで……それだけで幸せ」


 白雪様の頬がぽっと赤くなって、金色の瞳が潤んだ。

 すぐに私の首に腕を強く回してきて、ぎゅっと抱きついてくる。


「綾……私も、綾が一番のプレゼントだよ~。綾がいないと、私、寂しくて溶けちゃうかも……」


 オーブンから甘い匂いが漂ってきて、タイマーがピピッと鳴った。

 スポンジがふっくら焼き上がって、キッチン全体が優しい香りに包まれる。

 クリームを塗って、イチゴを飾って、チョコペンで「綾&白雪様」って書く。

 白雪様がチョコペンを持って、小さなハートを描き加えた。


「これ、私の気持ちだよ!」


 完成したケーキを見て、白雪様が手を叩いた。

 イチゴの赤とクリームの白がキラキラ光って、まるで小さな宝石箱みたい。


「わぁ、すごい! 綾と一緒に作ったケーキ、最高だよ~!」


 私は白雪様を抱き上げて、額にちゅっとキスした。

 白雪様が「えへへ……」って笑って、私の頰に頰をすり寄せてくる。


「クリスマス当日は、このケーキ食べながら、ゆっくり過ごそうね」


 白雪様が私の胸に顔を埋めてくる。


「うん! 楽しみ」


 私は軽くぎゅっと抱きしめてみた。

 白雪様の温もりが伝わってきて、胸が熱くなる。

 ツリーのライトを点けて、部屋がキラキラ光る。

 白雪様の金色の瞳も、イルミみたいに輝いてる。

 この準備の時間だけで、もうクリスマスが来てるみたいだった。


 外の寒い風が窓を叩いても、家の中は二人だけの甘い温もりでいっぱい。

 白雪様の小さな手が私の指に絡まって、

「綾……大好きだよ」って囁く声が、胸の奥に優しく響いた。


 そしてとうとう、待ちに待ったクリスマス当日。


 外は冷たい風が窓を叩いて、時折ガラスが小さく震える音がする。

 でも、家の中は全然違う。リビングの隅に立てた小さなツリーが、色とりどりのライトでキラキラと輝いていて、オーナメントの銀色と金色が反射して部屋全体を優しい光の粒で満たしている。

 暖房の温かさと、昨日一緒に焼いたケーキの甘いバニラとチョコの残り香が混じって、胸の奥までじんわり溶けていくみたい。


 私は冷蔵庫からケーキをそっと取り出して、テーブルに置いた。

 スポンジはふんわり膨らんで、表面のクリームはツヤツヤで、真っ赤なイチゴがぽつぽつと乗ってる。

 白雪様がソファからぴょんっと飛び降りて、足音も小さくぴょんぴょん跳ねながら近づいてくる。

 小さな体が興奮で弾んで、狐耳がぴくぴくぴくって忙しなく動いて、ふさふさの尻尾が左右に大きく揺れてる。


「綾! 今日がクリスマスだよね? パーティー、始まるの?」


 金色の瞳が期待でいっぱいになって、まるで星を閉じ込めたみたいにキラキラ輝いている。

 頬がぽっと桜色に染まって、息が少し上がってるのが伝わってくる。


 私はケーキの上にロウソクを一本ずつ丁寧に立てて、マッチで火をつけた。

 小さな炎がゆらゆら揺れて、クリームの表面に暖かいオレンジの光を落としていく。


「うん。二人だけのクリスマスパーティー、始めよう」


 白雪様が私の膝にぴょんっと飛び乗ってきて、軽い体重が太ももに温かく沈む。

 両手で私の肩を掴んで、ケーキを間近で見つめて目を丸くする。


「わぁ……ロウソクがいっぱい! きれいだよ~……」


 小さな声が震えて、狐耳が私の髪にふわっと触れる。

 甘い雪の匂いがすぐ近くで強くなって、胸がきゅんきゅん疼く。


 私は白雪様の小さな体をそっと抱きしめて、頬を寄せた。

 柔らかい銀髪が私の顔にかかって、くすぐったいのに離したくない。


「じゃあ、願い事して、ふーって消そうね」


 白雪様が目をぎゅっと閉じて、小さな手を胸の前で合わせて祈る仕草をする。

 狐耳がぴくっと集中して、尻尾の先が私の腰にそっと巻きつく。


「願い事……綾とずっと一緒にいられますように。毎日幸せでいられますように。それから……もっと綾に甘えられますように!」


 その言葉を聞いて、胸の奥が熱くなって、思わず笑みがこぼれる。

 私は白雪様の額に、優しく唇を押し当てた。柔らかい肌の感触と、ほのかな体温がじんわり伝わってきて、心臓がどくどく鳴る。


「私も同じ願いだよ。ふーっ」


 一緒に息を吹きかける。ぷはっと小さな風がロウソクの炎を揺らして、一瞬で全部消える。

 部屋が少し暗くなって、ツリーのライトだけがキラキラ残る。


「やったー!」


 白雪様が手をぱちぱち叩いて、嬉しそうに私の首に腕を回してきた。

 小さな体がぎゅっと密着して、狐耳が私の耳元でぴくぴく動く。

 温かくて、柔らかくて、甘くて。

 この瞬間が永遠に続けばいいのにって、心の底から思う。


 ケーキをナイフで切り分けて、フォークに一口ずつ刺す。

 白雪様に最初の一口を「あーん」って食べさせてあげると、イチゴの甘酸っぱさとクリームのふわふわが口いっぱいに広がって、幸せが舌の上で溶けていく。

 白雪様が目を細めて、頬をぷくっと膨らませる。


「ん~! おいしいよ~!」


 小さな口で咀嚼(そしゃく)しながら、幸せそうに尻尾をパタパタ振ってる。


「綾の作ったケーキ、世界一だよ。綾の味がする……」


 その言葉に、胸がきゅんって鳴って、私はフォークで自分の分を一口食べてから、白雪様の頰にクリームを少しつけてあげた。


「白雪様と一緒に作ったからだよ。白雪様のハートがいっぱい入ってるんだ」


 白雪様が照れくさそうに、ぷいっと顔を背ける。

 でもすぐに私の胸に顔を埋めてきて、小さな手で私の服をぎゅっとつかむ。


「もう……綾のばか……」


 甘えた声が服越しにくぐもって聞こえて、温もりが胸に染み込んでくる。

 ツリーのライトが私たちの影を優しく揺らして、部屋中が甘い匂いと幸せでいっぱい。


「えへへ…綾、プレゼント交換しよ?」


 白雪様が私の膝から少し体を起こして、テーブルの上に置いてあった小さな包みを指差した。

 その仕草があまりにも可愛くて、胸がきゅんとしてしまう。

 私はポケットから自分のプレゼントを取り出し、小さな箱を白雪様に差し出した。


 中は銀色の狐のチャームがついた細いブレスレット。

 シンプルなデザインだけど、チャームの狐が白雪様の耳と尻尾を連想させて、ぴったりだと思った。


「白雪様に。いつもそばにいてくれるお守りみたいに」

 

 白雪様が箱を開けると、金色の瞳がぱっと輝いた。

 チャームをじっと見つめて、すぐに瞳が潤み、笑顔が溢れる。


「わぁ…狐さん! 私みたい! ありがとう、綾…大切にするよ~」


 白雪様が私の手を取って、自分のプレゼントをそっと渡してきた。

 小さな手作りの折り紙でできた雪の結晶。

 細かい折り目が丁寧で、真ん中に小さなハートが描いてある。

 結晶が光を反射して、キラキラと輝いている。


「私、綾にこれ。雪みたいに綺麗で、溶けないでずっと残るように……綾の心がいつも温かいままでいてほしいから」


 私は折り紙を胸に当てて、涙がこみ上げてきた。

 白雪様の小さな手が私の頰に触れ、優しく拭ってくれる。

 その温もりが、胸の奥を優しく溶かしていく。


「白雪様…ありがとう。絶対、大切にする」


 白雪様が私の膝に頭を乗せて、ツリーのライトを見上げた。

 金色の瞳がツリーの光を映して、まるで小さな星のよう。

 部屋が優しい光に包まれて、白雪様の銀髪がキラキラと輝いている。


「綾、今日も一緒に寝よ? クリスマスだから、もっとくっついててもいいよね?」


 私は白雪様を抱き上げ、ベッドへ向かった。

 ツリーの光が廊下まで漏れて、部屋全体を柔らかく照らしている。

 ベッドに入ると、白雪様が私の胸にぴったりくっついてきた。

 狐耳が私の頬に触れて、ぴくぴくと動く。

 尻尾が私の腰に巻きつき、温かい毛が離さないように絡まる。


「綾…大好きだよ~。クリスマス、綾と一緒でよかった」


「私も…白雪様、大好き。これからも、ずっと一緒にクリスマス迎えようね」


 白雪様の寝息が静かになり、私も目を閉じた。

 ツリーの光がまぶたの裏に残り、温かくて優しい夢を見た。

 外は雪がちらつき始めていたけど、家の中は、二人だけのクリスマスの温もりでいっぱいだった。

 この夜が、永遠に続けばいいなって、心から願った。

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