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「「「「「 」」」」」」

評価 モヤる度★★★☆☆ ブラバ率★☆☆☆☆

 このエッセイを見に来て下さる方の中で、この表現見た事ないよ! って方は絶対いないと思います。

 そう断言できる程、この表現は様々なWeb小説で使われていますよね。


 正式名称かは分かりませんが、「多重鍵かっこ」と呼ばれているようです。

 これ、否定派の方もいらっしゃいますが、私は「どちらかと言えば肯定寄り派」です。


 質問をすると「どちらでもない」が滅茶苦茶多い、日本人的な回答ですみません。

 あれ何なんでしょうね。二択しかないよって思うような質問でも、必ず宙ぶらりんの人がいますよね。

 どっちかにせい! ってモヤモヤするんですが、まあ今は脇に置きましょう。


 今は私の意見、「どちらかと言えば肯定寄り派」についてです。


 お前もじゃん! って言われそうですが、ただ私の場合、そこにはちゃんとした理由があるんです。

 この表現、勢いがある事を表す場合には適した表現だと思うんですよ私は。

 だからそこについては特にモヤらないんです。全肯定します。


 ただですね、書き方によっては結構モヤる事があるんです。

 だから私はどちらかと言えば肯定寄り派なんです。


 どういう事かは実際に見て頂いた方が分かりやすいかと思いますので、例文を用意しました。

 ではご覧下さい。


 例文1です。


「この機会を逃すなッ! 今こそ憎き帝国を、我らの手で滅ぼすのだーッ!!」

「「「「おおおおおおおおおおーっ!!」」」」


 敵陣から上がった怒号のような咆哮が戦場を覆い尽くす。

 その奔流は瀑布のように荒れ狂い、私に襲い掛かって来た。



 ちなみに私さんは帝国の第八皇女です。

 母親が位の低い男爵家の側妃であるため、腹違いの兄弟に幼い頃から疎まれていて、ついには奸計によって戦場に送られてしまいました。

 はてさて私さんこと第八皇女様はこれからどうなるのでしょうか。


 例文2です。


 瞬く間にどよめきが自軍を覆い尽くす。兵らの士気が下がるのが、初陣の私にもはっきりと伝わって来る。


 ――いけない。


 私は震えそうになる心に鞭を打ち、皆に声を張り上げた。


「皆の者怯むな! 大義は我らに在り! 王国の兵が何するものぞ、我ら気高き帝国人の誇りを、王国の蛮族共に知らしめてやるのだ!」

 「「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」」


 周囲を固める騎士達は即座に私へ声を返す。しかし依然として兵達は及び腰のままで、どよめきを消しきる事が叶わない。


(お飾りの権威ではこの程度の鼓舞も出来ぬというのか――ッ!)


 そこに感じたのは絶望でも焦燥でもない。

 私は自身のあまりの無力さに、思わず下唇を強く噛んでいた。

 


 はてさて私さんの運命は――?

 というところですが、本題はそっちじゃありません。

 多重鍵かっこについてです。


 例文1

「「「「おおおおおおおおおおーっ!!」」」」


 これは特にモヤりません。


 例文2

 「「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」」


 これ、凄くモヤります。


 なぜかって? かっこが多すぎて台詞を食ってしまってるからです。


「「「はっ!!」」」


 このくらいだったら良いと思います。ようは台詞の長さとかっこの量が見合ってなくてバランスが悪いんですね。


 この多重鍵かっこ、どれだけ重ねるかは作者様次第です。

 だから十人一緒に声を上げていたとしても、十個もかっこを重ねたらクドいなと思えば減らしたって良いんです。


 でもいっぱい付けちゃう欲張りさんがたまーにいます。

 これが非常にモヤるわけです。


 ちなみに、二人以上の人が一緒に喋る事の表現方法としては、他に二つほどあるようです。


 ①二重鍵かっこを使う


『二重鍵かっこを使うんだよ!』


 ②地の文で説明する


「地の文で説明すれば良いのじゃよ」


 と祖父母は同時に笑った。



 こんな感じです。これでも二人以上が喋っていると表現できるんです。

 ただこれだと勢いが欠けますよね。

 だからそういう時こそ、多重鍵かっこの出番であろうと私は思います。


 個人的にはこの多重鍵かっこ、精々五重くらいが限界じゃないかなと思います。

 かっこをつけすぎて台詞を食うのはバランスが悪いし、つけ過ぎて二行に分かれるのも格好悪い。


 塔だって五重じゃないですか。そのくらいが丁度良いんですよ。きっとね。

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― 新着の感想 ―
 多重カギかっこ。 コレを使って文字数稼ごうとした時代もありました。  その名も『イナバ勇者作戦』、 # ――百の声、勇者の時代―― 曙の鐘が鳴る。 王都の広場は、人で埋め尽くされていた。 王が城…
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