知恵熱
評価 モヤる度★★★★★ ブラバ率☆☆☆☆☆
このエッセイを書くにあたって何を最初に持ってこようかと悩みましたが、やはりこれかなと思い、恐れ多くも知恵熱様が1番でバッターボックスに入ります。
まあでもそこ、ボールを打つ場所じゃなくて、突っ込みという名のボールをぶつけられる場所なんですけどね。
覚悟はできたでしょうか。できてなくても知りません。
参ります。
知恵熱。Web小説ではちょこちょこと見ますよね。
転生者が前世を思い出した際に、あまりの知識量に熱を出して倒れる――というのがよく見るパターンです。
これ、頭を使い過ぎて熱が出た、という事なんでしょう。言わんとしている事は分かります。
雰囲気でも納得させられそうにもなります。
流れと勢いで納得させる……まるでゆで理論です。
でもちょっと待って下さい。
その前に私はお聞きしたい。
貴方、頭を使って熱が出た事がありますか? と。
私は無いです。一度たりともありません。
お前、頭なんぞ使ってないだろ、という意見は聞きません。
ええ、それが事実であろうとも。
頭を使い過ぎて熱が出た事がある! という人もいそうなので念のため調べてみました。
医学的な話になりますが、発熱にはウイルスやストレスなど特定の原因があるとされていて、頭を使い過ぎて発熱するという事はないと考えられているようです。
なので頭を使い過ぎて熱が出た場合、医者は「ストレスによる体調不良である」と診断するわけですね。
頭を使い過ぎた事による発熱は、医学的にはありえないわけです。
まあそれでも「頭を使って熱が出たんだから知恵熱なんじゃないの?」と言う方もいそうなので、この件は水掛け論になりそうなので止めます。
そもそも私が言いたいのはそこではありません。
私が言いたいのは、知恵熱とはなんぞや? という点です。
知恵熱とは一般的に、「知恵のつき始めた乳児が不意に出す熱」の事を言います。
生後七か月くらいの子供が急に熱を出した際に、知恵熱というわけです。
なので頭を使った事で発熱する事を知恵熱とは言わないんですね。
Web小説では小学生くらいの子が知恵熱で倒れたとか、そんな風に使われる事も多いです。なのでそれを見る度に「この主人公赤ちゃんなの?」と思ってしまい、非常にモヤってしまうわけです。
ただWeb小説ではあまりにも正しく使われる事がありません。そのせいで、逆にスルースキルが身についてしまいました。
なので私が異世界に転生したら「俺のスキルは知恵熱の誤用をモヤる程度でスルーできる能力だ!」と言えますね。
クソスキル万歳。
ただどうも最近は知恵熱の事を、頭を使った事で出る熱、と思っている方が日本人の四割ほどいらっしゃる模様。
誤用が正しい意味として採用された言葉は多くありますが、もしかしたらこの知恵熱も、誤用が正式に採用される日が来るかもしれませんね。
そうなったら私のスキルは本当のクソになるわけです。
誰か助けて下さい。




