表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話「反乱」

朝9時、役員会議室。

古参幹部たちが低い声で話し合っていた。


黒嶺くろみねのやり方は目立ちすぎる。上層部への反発も多い」

「現場を抱き込みすぎだ。早いうちに手を打たねば」

「理由は“和を乱す行動”でいい。地方支社に飛ばせ」


結論は一つ。

黒嶺隼人くろみねはやとの排除。



昼休み。

人事部から呼び出しを受けた黒嶺くろみねは、面談室で封筒を受け取った。


「来月から地方支社に異動してもらう」


「……予想通りですね」


「な、何がだ?」


「僕を切る動きです。でも、あなた方は計算が甘い」


黒嶺くろみねは封筒を机に置き、静かに立ち上がった。



翌日。

社内チャットに一本のリンクが投稿される。


『業務改革に関する全社員アンケート結果』

•会議時間短縮の満足度:92%

•残業削減の実感:87%

•「黒嶺の改革を今後も続けるべき」と回答:91%


コメント欄には現場社員の声が並んでいた。


黒嶺くろみねさんがいなかったら辞めていた」

「改革で家族と夕飯が食べられるようになった」

「異動されたら現場は回らなくなる」


だが幹部は鼻で笑った。


「感情論だ。現場の声なんて経営判断の根拠にはならん」



その瞬間、黒嶺くろみねがもう一つのファイルを開く。


『改革導入3か月の経営数値』

•残業代コスト:前年比 ▲28%(月換算で約1,200万円削減)

•成約率:+21%(売上月間+3,800万円)

•納期遵守率:+35%(違約金ゼロ)

•改革継続で年間営業利益**+8%**見込み(株主配当も増加)


会議室の空気が一変する。


「……これを誰がやった?」


「私です。

データ収集から分析、システム化、現場教育まで、すべて私一人で行いました。

他に同じことができる人間が、この会社にいますか?」


幹部たちは沈黙した。

それは否定ではなく、“できない”という事実の証明だった。



数日後、株主総会。

黒嶺くろみねは壇上で淡々と語る。


「私を異動させれば、この改革は止まります。

止まれば利益も人材も失われます。

つまり、それは会社の寿命を縮める選択です」


会場がざわめく。

やがて一人の大株主が口を開いた。


「この人物の異動案は撤回すべきだ。彼は企業価値そのものだ」



結果、黒嶺くろみねの異動は白紙。

むしろ部長職への昇進が発表された。


廊下で、かつて異動命令を渡した人事担当者が呟く。


「……あなたは経営陣より経営を理解している」


「理解しているだけでは足りません。

実行できる者が、上に立つべきです」



夜、チームに向かって黒嶺は言った。


「次は……この会社の“頂点”だ。黒幕を倒す」



次回、「社長との直接対決」

全ての黒幕、会社をブラックに染め上げた元凶との最終戦が始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ