表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の隣の幽霊サポーター  作者: 白い黒猫
2026年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/12

今シーズン、観客席で起こった衝撃的な出来事

結局、私の隣の席のチケットホルダーは、百年構想リーグの間も姿を見せなかった。


私の席はSゾーン。

そして、そのメイン側の隣にはSSゾーンの席がある。

今年になって、その最前列にとても気になる家族が来るようになった。

可愛らしい二人の娘を連れた外国人女性。


以前から、メインスタンド上部に向かってハートマークを送る姿で知られていた愛妻家のブラジル人選手が、今年は明らかにその家族へ向けてハートを送るようになった。

その様子を見て、すぐに選手の家族なのだと分かった。

パパに向かって元気に手を振る娘たち。

夫を愛情いっぱいに応援する妻。パパのチャントでダンスする娘たち。

そんな微笑ましい光景を、私も楽しませてもらっていた。

周囲のサポーターたちも事情には気付いているようだったが、声をかけたりすることはない。

集中して応援できるように、ただ温かく見守っている。


そんなある試合で、その選手がゴールを決めた。

すると、その選手がこちらへ向かって走ってくる。

これは家族へ向けたアピールかな――。

そう思いながら見ていた次の瞬間だった。

なんと、その選手は柵を乗り越え、そのままスタンドへ突入したのである。

さらに階段を駆け上がり、家族のもとへ。

妻と抱き合い、娘を抱き上げ、一緒に喜びを分かち合う。

まさか目の前で、そんなドラマのような光景を見ることになるとは思わなかった。

スタンドは、かつてないほどの盛り上がりを見せていた。

もちろん、その選手にはイエローカードが提示された。

それを差し引いても忘れられない体験だった。

しかも、なぜかもう一人の選手まで後を追ってスタンドへ入り、仲良くイエローカードを受けるというおまけ付きである。


そのゴールセレブレーション以降、クラブから何らかの注意があったのか、次の二試合は家族の姿が見えなかった。

少し寂しく思っていたが、プレーオフ最終戦では再び観戦に訪れていた。

どうやら来シーズンも、あの微笑ましい家族の様子を楽しめそうである。


……もっとも、選手が再びスタンドへ飛び込んでくることは、さすがにないと思う。


基本的に選手の家族はメインガラスで覆われた上部にある専用スペースで観戦することが多い。

それでも、このエリアには選手の親族や関係者が訪れることも少なくない。某選手の叔父であることで有名なカメラマンさんもそこで熱く応援をしていて、試合後挨拶で一蹴していた甥っ子に話しかけていた。

スタジアムには単なるサポーターとはまた違う立場で、試合を見守る人たちがいる。

そんな人たちの物語もまた、スタジアムを彩る風景の一つなのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ