2 欲望世界
俺は人を殺すことが当たり前の世界に生まれ、親を殺した。
…俺は昔から、人の頭の上に数字が見える。
妹で長女の絢人は、ゼロだったのが少しずつ増えて、最終的には13になった。
次女の美人はゼロから2。
俺は…親を殺す前まではゼロで、殺してからは2…だった。
だから、これは人を殺した数。そう断言できる。
街行く人は皆数字は10以上。それどころか…もはや99でカンストしている人も珍しくはない。
…俺は数ヶ月前…
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母「お前達は邪魔なんだよ...!とっとと死ね!」
父「そうだ!死ね!」
直人「そんな…」
絢人「お兄ちゃん…美人…!」
母「死ねぇー!!」
[グサッ!ズサッ!]
直人「…死ぬのは…あんたらだ」
母「直人…なん…で」
父「悪…かった…」
[バタバタン!]
直人「…っ!?母さん!?父さん!?俺は…どうして…!なんで…!」
絢人「お兄ちゃん…どうしたの?当たり前のことでしょ?」
直人「は…?絢人…?」
美人「しょーだよ!あーりまえ!」
直人「美人まで…?当たり前なわけない!人を殺すことは、その人がいくら重い罪を犯そうと、あってはならないことだ!」
絢人「何言ってるの?別に人を殺すことは悪いことじゃないじゃない」
直人「…絢人。今までに、13人殺した…のか」
絢人「?そうだけど、なんでわかったの?」
直人「美人は…3人…か?」
美人「しぇーかい!」
直人「いや…嘘だ、俺の…家族は…そんな…!」
絢人「お兄ちゃん?」
美人「にーたん?」
直人「…お前らをもう、妹とは思えない」
絢人「お兄ちゃん?何言って…」
直人「もう…お前らとは…いたくない!」
絢人「お兄ちゃん!?」
美人「にーたん!」
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俺は親を、殺した。
直人「…恐ろしい。死というものが。何よりも」