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プロローグ 2
「二大神などというけれど、偉大な神は一人でいいと思わんかね?」
男は嗤う。足元に倒れ伏す男を見下ろして。
ぽたり、ぽたり。
手にした剣から真っ赤なものが滴り落ちる。
それは地面に落ち、同じ赤と混ざり合って見えなくなった。
倒れた男からとめどなく流れ出る赤と混ざって。
「ああ、そういえばお前、子はどうした?」
手にした剣で男の肩のあたりを刺すけれど、男はうめき声すらあげない。
男はすでに息絶えていた。
「まぁ良い。生まれたばかりの赤子などすぐに見つけて始末できる」
男は嗤う。頭上に輝く月を見上げて。
「さぁ、私の世界だ。私だけが偉大な神だ」
男は嗤う。銀色に輝く宝珠を手にして。
己と対とされていた男にはもはや目もくれず、
狂気の色に染まった瞳で、
男は、嗤う。