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羽虫の遺言

作者: 西家デリック

自由ってやつはアッという間に何処かに行っちまうもんだな


飛べるからといって楽しいわけじゃない


半分は風に吹き飛ばされているんだ


残り半分はお前らと同じ


生存競争に余念がない


小せえかでけえかだけの違いだな


自然の摂理とやらに従って


息を吸うように生まれ


息を吐くように死ぬんだ


自分で殻を破って這い出て


人目を憚ることなく倒れる


誰の助言も要らないし


天国へはひとりで行ける


自分のことは自分でやるさ


なあに、そのうちまた


会いたければ会えるだろう


だから悲しむことはないんだよ


俺はただ


朝露がきらめく蜘蛛の巣の


寝返りが打てないベッドで二度寝する


ただそれだけのことなんだ




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