第二章
ここで一旦休載します。
ビロードを纏った小さな生き物がいなくなった庭は、先ほどとは違って、ただただ普通なもののように思えた。
私は縁側に着けていた足をキルト地の上に戻し、静かに障子を閉めた。今度は30cmほどの隙間を残すことにした。そうしておいて、またうつ伏せで寝転ぶと、自分の腕を枕に、再び庭に落ちてくる雨を眺めることにしたのだ。
説明のつかない感情に突き動かされてとった行動の結末は、なんとなく釈然としないものであった。
とはいえ、たいていの動物は、思いがけず近寄ってしまった人間にあのように唐突な行動を取られたとあっては、脱兎の如く逃げて当然であろう。それでいうと、彼女の行動は全くもって想像に難くないものであった。であれば私は一体全体何がしたかったのであろうか。
誤解のないように言っておくと、私に彼女を害する気持ちなど毛頭なかった。ただ、私の顔を見ても逃げようともせず、焦った様子すら見せない彼女に、若干の苛立ちのようなものは覚えたかもしれない。
なぜ苛立ちを持つに至ったのか?
もしかすると、知らず知らずのうちに「人間様である私を舐めているな」とでも思ったのだろうか。しかし、これは近いような、それでいて的外れなような気もする。自分の行動と、その行動原理に全く以て整合性がなく、そんな自分に困惑気味なまま、その日はそのままウトウトとした眠りについた。
この拙い小説を捧げることができなくなったので、しばらくお休みします。気持ちが落ち着いて天に向かって書き進められるようになったら再開したいと思います。