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オリュンポリティア・ペンギンズの主力選手一覧

【オリュンポリティア・ペンギンズの主力投手】


 ※はボトムリーグ及び外国リーグでの成績


 スヴェトラーナ・ボルトキエヴィチ


 11946年度の成績

 32(登板) 8勝6敗(勝敗) 2.53(防御率) 352(奪三振) 0.85(WHIP)


 愛称は軍団長。身長160センチ。

 右投右打。25歳。背番号18。投手。


 ルシア連邦共和国出身。手入れが行き届いている黒髪の姫カット、小柄で細身な体型や独特の喋り方が特徴である。150キロオーバーのストレート、三種の神器と呼ばれている140キロオーバーのスライダー、シュート、フォークで三振を取りにいくストライクボールピッチャー。彼女のシュートはサウスポーのスライダーのように鋭く曲がり、左打者の外角に逃げるため、空振りを取りやすい。奪三振率が高くスタミナにも優れるが、すぐに調子に乗る癖がある。


 奪三振に拘るあまり、ストライクゾーンに素直な球を投げるため、甘く入ったストレートを撃ち込まれてしまうことも少なくない。元々はキャッツにいたが、DH制なしを理由にバッティング練習を打診されたことに対して真っ向から反発し、結果的にDH制ありのペンギンズにFAで移籍したことからも、打撃には一切興味がないことがうかがえる。移籍後は投球に専念するが、救援投手に課題を抱えているために勝利投手の権利をあっさり消されてしまうのが悩み。


 お調子者であるためか、生真面目な性格のルドルフとは仲が悪く、丸雄とは仲が良い。ルシア軍にいた経歴から、ファンからは軍団長という愛称で呼ばれているが、チームメイトにはラーナと呼ばせている。軍にいた時の癖からか、上司である監督には従順である一方、チームメイトには高圧的であり、ブレッドが監督に就任した当初は、彼がメルリーグでの選手経験がないことから一方的に見下すような態度だったが、チームに溶け込んでいくブレッドの姿を見て改心していく。


 バウムクーヘン・シュピッツェン


 11946年度の成績

 72(登板) 5勝18敗(勝敗) 3.95(防御率) 158(奪三振) 1.36(WHIP)


 愛称はバウム。身長194センチ。

 右投右打。30歳。背番号19。投手。


 白と黄色に染まった縞模様の派手な髪型、明るく快活な性格が特徴のメルへニカ人。長身で豪快なオーバースローから投げ下ろされる彼女のストレートはトマホークと称され、右打者に対して滅法強い。リリーフでありながらスタミナが高く、ストレートとカーブを巧みに使い分け、ゴロに打ち取ることを得意とするグラウンドボールピッチャーである。スタミナに優れており、ロングリリーフを任されることが多かった異色の投手である。


 貧しい家の生まれであり、家族に楽をさせるためにメルリーガーを目指した。だがメルリーグに上がってからは調子が上がらず、すぐにリリーフへの転向を余儀なくされた。ある理由により、パネットと共にトレードでペンギンズにやってくると、不調の原因が自らの癖であることをあっさり見抜かれてからは改善へと向かった。ボールゾーンによく投げる割にフォアボールは少なく、コントロールはかなり優れている。どこのポジションでもこなすユーティリティーピッチャーでもある。


 スペードリーグのエミューズにいたため、投手としては打撃がうまい方であり、バスターを得意としている。エミューズにいた頃はチーム状況により、9番よりも上位の打順を打ったり、代打を任される機会が多かったことからも、投手としては打力が高いことがうかがえる。そのため打力不足のペンギンズに対しては同情の念を寄せている。先発枠からルドルフが抜けた穴を埋めようとブレッドが考えを練った末、再び先発に復帰した。


 ルドルフ・ヒューラー


 11946年度の成績

 29(登板) 3勝15敗(勝敗) 5.68(防御率) 148(奪三振) 1.54(WHIP)


 愛称は髭総統。身長175センチ。

 右投右打。32歳。背番号28。投手。


 ゲルマ帝国出身。丸い黒髪のショートヘアーとチョビ髭、歳の割に老けている顔が特徴である。人気小説となった世界大戦シリーズに出てくる悪役によく似ていることから、髭総統の愛称で親しまれている。だが当の本人はその悪人面に反して善良な選手であり、シーズンオフには必ずチャリティー活動を行うほどである。160キロオーバーのストレート、150キロ台の鋭いカットボールが魅力的だが、スタミナが致命的に低いという弱点を抱えている。


 立ち上がりには滅法強く、初回だけはほぼ確実に無失点に抑える技量を持つ。しかし2回以降はスタミナ不足から球に勢いがなくなり、甘く入った球をスタンドに運ばれることもしばしば。そのため3回も持たずに降板することが多く、ペンギンズを毎年最下位に導いてしまっている戦犯の1人とされている。大量失点から降板することが多いため、ゲームクラッシャーとも呼ばれているが、本人は全く気にしていない様子であり、相手が強いから仕方がないとすら思っている始末。


 トレードでペンギンズに入団した選手であり、毎年のようにスタミナ不足を指摘されるが、シーズンオフにスタミナトレーニングを試みるも、毎回三日坊主になってしまう。本人はスタミナ不足を解消すればいいと考えていたが、監督に就任したばかりのブレッドから起用法を変えられた上に、今年結果を残せなければ戦力外通告にすることを告げ、渋々救援投手へと転向する。このブレッドの策がピタリとハマり、リリーフとしての才能を開花させた。


 クロエ・クロフォード


 11946年度の成績※

 18(登板) 13勝4敗(勝敗) 2.95(防御率) 224(奪三振) 1.16(WHIP)


 愛称はカービングクイーン。身長175センチ。

 右投右打。22歳。背番号3。投手。


 腰まで届くブロンドの髪、スレンダーで豊満な胸が特徴のガリアン人。ペンギンズのエウロパリーグ担当スカウトに誘われ、ペンギンズに入団する。サイ・クロンに憧れてベースボールを始めたこともあり、投球フォームから癖に至るまでそっくりである。150キロオーバーのストレートに加え、多様なカーブを使いこなす。正確なコントロールを持ち、甘いコースにはほとんど投げない。スタミナに優れていることから、ブレッドによって先発に抜擢された。


 140キロ以下のドロップカーブ、ナックルカーブ、シュートカーブをインコースからアウトコースまで自在に投げ分けることができ、ラーナからは新三種の神器と称された。他にもカーブ、スローカーブ、パワーカーブを投げることができる。相手の目の動きから打者の心理を読む術に長けており、どれを投げてもおかしくないとバッターに認識させたところで、苦手なコースにストレートを投げて三振に打ち取るパターンを得意としており、奪三振率がとても高い。


 ベースボールのレベルで格段に劣るエウロパリーグからの入団であったため、当初は全く期待されていなかったが、昔メルリーガーに馬鹿にされた過去から、常にメルリーグを目指して孤軍奮闘を続けてきた苦労人。エウロパリーグで結果を残したことで海外FA権を勝ち取ったが、獲得に動くメルリーグ球団がいなかったことを知り、絶望していたところをペンギンズに拾われた。オルガとは旧知の中であり、ペンギンズでは数少ない昔からの知り合いである。


 椎名煌(しいなほむら)


 11946年度の成績※

 .279(打率) 18(本塁打) 53(打点) 11(盗塁) .854(OPS)

 20(登板) 6勝4敗(勝敗) 3.22(防御率) 212(奪三振) 1.42(WHIP)


 愛称はフレア。身長178センチ。

 両投左打。18歳。背番号17。投手。


 肩に届かないくらいの桃色のミディアムヘアーと礼儀正しい性格が特徴のジャポニア系メルへニカ人。同じくペンギンズに所属する椎名葵の妹である。リトルリーグ時代は1000年前に活躍したブービ・ルース以来の本格派二刀流選手であると評判になっていた。その類まれな身体能力から、各球団による争奪戦が繰り広げられた。どの球団からも投打のどちらかに絞るように言われたが、ペンギンズだけは二刀流を寛容に受け入れたため、ドラフト指名を拒否し、ペンギンズへの入団を決めた。


 ある理由から多くのメルリーガーたちがペンギンズを去ると、繰り上がりで他のボトムリーガーたちとメルリーグ昇格を果たした。両投げ用のグラブを使い、右投げでは170キロオーバーのストレート、160キロ台のツーシーム、スプリット、スライダー、カットボールといった剛速球で奪三振を狙う速球派投手に、左投げでは150キロオーバーのストレート、140キロ以下のカーブ、シンカー、チェンジアップ、パームといった鋭く曲がる変化球で打たせて取る技巧派投手となる。


 右投げではオーバースロー、左投げではスリークォーターとなり、投げる腕によって球速も打ち取り方も異なるため、打者にとってはまるで2人の投手と同時に対戦しているかのような感覚に陥るが、打ち取る時は右投げのスプリットか左投げのチェンジアップで奪三振を狙うことが多い。打撃のセンスも抜群であり、長打力は球界トップクラスである。入団当初は思うような結果を出せず、ボトムリーガーとしての生活を余儀なくされたが、選手としてのポテンシャルは兄以上と言われている。


【オリュンポリティア・ペンギンズの主力野手】


 ※はボトムリーグ及び外国リーグでの成績


 プレクムルスカ・ギバニツァ・コシッチ


 11946年度の成績

 .221(打率) (本塁打) 23(打点) 28(盗塁) .565(OPS)


 愛称はプレク。身長148センチ。

 右投右打。22歳。背番号52。捕手。


 ロベニー王国出身。黄土色と茶色の縞模様の短髪が特徴である。少年のような見た目でかなりのお調子者である。足の速さが自慢のプレイヤー。背が低いことを気にしており、子供扱いを極端に嫌うところがある。リンツや丸雄とは仲が良く、いつも3人でつるんでいる。存在感を消すことを得意としており、それを利用していつの間にか盗塁していることも少なくない。元々は内野手だったが、アリアとのポジション争いに敗れてしまい、外野に押し出されてしまった。


 長打力はないが、かなりの小柄であることもあり、ストライクゾーンが小さい。それ故コントロールに難のあるピッチャーからフォアボールで出塁することが多く、下位打線の選手の中では出塁率が比較的高い。ボトムリーガーに毛が生えたくらいの実績しかないが、スモールボールに向いた選手であることから、チームの方針に噛み合い生き延びた。1年でも長くメルリーグに残るために修造からバントを教わるなど、人知れず努力を重ねている苦労人である。


 アイリーンの入団にあからさまな嫌悪感を示し、リンツたちと共に嘆願書を書いた。キャッチャー出身であるため肩が強いが、足の速さを買われて望まないコンバートを受け入れた過去がある。ブレッドが監督に就任してからは控え外野手兼代走として起用されるが、シーズン開幕を前に夢にまで見た正捕手となった。キャッチャーでありながらリードオフマンが務まるほどの盗塁のセンスと俊足を誇る変わり種の選手。レギュラーで活躍することに意欲を燃やしている。


 ワッフル・オベリオス


 11946年度の成績

 .216(打率) (本塁打) 35(打点) (盗塁) .534(OPS)


 愛称はゴーフル。身長189センチ。

 右投右打。29歳。背番号32。捕手。


 橙色の短髪が特徴のメルへニカ人。抜群の守備力に加え、リードやフレーミングのうまさ、強肩による盗塁抑止に関しては非の打ち所がない。しかし打力が致命的に低く、場合によっては自身に対して指名打者を起用されることもある。ペンギンズにコネで入団した選手であり、彼女の父親はエステルの経営難を救った資産家である。彼女をレギュラーにすることが資金援助の条件であった。そのためDH制を採用しているにもかかわらず、打線に穴が開いていた。


 資金援助を拒否されれば、ペンギンズの存続自体が危ぶまれる中、レオンが監督の時はこの条件にやむを得ず従い、投手陣の崩壊に加え、相手球団やファンからは防御率の向上に貢献してくれる打線の穴という意味でホールゾーンと称された。彼女もペンギンズを12年連続最下位に至らしめた大戦犯の1人であったが、本人は全く気づいていない。お嬢様体質なのか、何でも父親に頼ってしまうところがあり、エステルに対しても強気だった。


 リンツたちと共にアイリーンの入団に反発し、そのことが原因でブレッドの怒りを買い、レギュラー落ちを宣告された。再び父親に頼ってブレッドをクビにしようとするが、ブレッドに直談判を希望され、父親を巻き込んだ話し合いの末、これ以上邪魔をすれば容赦なくボトム落ちを宣告すること、他の球団にトレードすることを言われた途端に怖気づいた。その後は控えの捕手となり、機動力に優れたチームと対戦する際に先発起用されるようになった。


 リンツァートルテ・クレス・フォーゲル


 11946年度の成績

 .231(打率) (本塁打) 38(打点) (盗塁) .623(OPS)


 愛称はシャイボーイ。身長186センチ。

 左投左打。22歳。背番号12。内野手。


 黄緑色の短髪、尊大な性格、中性的な顔と高い声が特徴のメルへニカ人。厳しい英才教育を受けた影響からか、褒められると顔が赤くなり反応に困ってしまう。ドボシュの兄であるキュルテーシュカラーチの親戚にあたり、父はウィトゲンシュタイン家の側近にあたる人物である。メルリーガーになることを両親から反対された末、疎遠となってしまったが、心底では自らの決断に対して後悔の念を隠し持っている。ドボシュのコネによってペンギンズに入団した。


 ある理由により、外野手からファーストにコンバートされ、レギュラーに定着する。並外れたパワーと強肩を誇るが変化球に弱く、守備力もボトムリーガーに毛が生えた程度の実力である。下位打線の常連であり、ベンチを温めることも少なくないが、年俸が安く済む上に貴重な左利きの選手であったために生き延びた。アイリーンの入団に対して当初は反対の意を示し、チームメイトにアイリーンのメルリーグ昇格に反対する嘆願書を書かせた。


 しかし彼の思惑通りにはいかず、嘆願書に激怒したドボシュからトレードを告げられてしまったが、アイリーンの活躍や苦難を近くで見続けている内に考えを改めていく。以降はチームに馴染んでいったことからも、根は優しいことがうかがえる。プレクや丸雄とは悪友であり、かなりの仲良しである。チームメイトからはリンツと呼ばれており、ブレッドに打撃の弱点を指摘されたことをきっかけに克服し、次第に打撃の才能に目覚めていく。


 アリア・レチタティーヴォ


 11946年度の成績

 .309(打率) 12(本塁打) 69(打点) 15(盗塁) .786(OPS)


 愛称はソーラ。身長159センチ。

 右投右打。23歳。背番号2。内野手。


 ウェーブのかかったくせ毛の明るい金髪、額の上に逆立っているアホ毛が特徴の陽気なロマーノ系メルへニカ人。優れたコンタクト能力とずば抜けた守備力が持ち味である。プロ5年目だが、デビューから5年連続でゴールドグラブ賞を受賞し、プラチナ・ゴールドグラブ賞に毎年ノミネートされるほどの守備の名手。エラーが極端に少なく守備範囲が広い。足の速さは平均以上だが、走塁自体はあまりうまくない。力負けしやすいため、打球は右方向に飛びやすい。


 まだボトムリーガーだった頃、当時つき合っていた人が結婚詐欺師であったことを知り、その後はベースボールに身が入らず、調子を崩してしまった。だが事情を知った葵から励ましのメッセージが書かれたサインボールを送られたことで、ベースボールへの情熱を取り戻した。それからはシーズンオフになってもなお練習に没頭した。元々は守備が最も苦手だったが、気が遠くなるような守備練習の末克服し、今では最も得意なプレイとなっている。


 ボトムリーグ時代はショートだったが、メルリーグ昇格時には不動のショートである葵がいたことや、肩が弱いために俊足のバッターランナーを刺せるだけの強い送球ができないこともあり、セカンドにコンバートされた。サウスポーには滅法強く小技も得意である。最初こそ不慣れなセカンドや守備固めの起用で適応に苦しんだが、数々の逆境を乗り越えてからは打撃と守備の才能が開花し、確実に安打を積み重ねる巧打者へと成長した。


 マカロン・クラックレ・ダミアン


 11946年度の成績

 .281(打率) 26(本塁打) 74(打点) 22(盗塁) .948(OPS)


 愛称はスール。身長168センチ。

 右投右打。24歳。背番号51。内野手。


 赤紫と青紫に染まった縞模様の姫カット、小さめで細身の体が特徴のガリアン系メルへニカ人。パワーとスピードが自慢の選手。思い切りのいいスイングができ、打力も高いため、ウィザーズ時代はリードオフマンを務めていた。選球眼に優れており、出塁率が高い。まるでストライクゾーンが見えているかのようにボール球を見逃すため、ストライク判定をされると真っ向から抗議する。送球技術に優れており、ボールをキャッチしてから投げるまでに無駄がない。


 ウィザーズ時代はショートだったが、ペンギンズに移籍してからは葵やアリアとのポジション争いに敗れてサードに定着した。トリックプレイを得意とし、打撃では送りバントと見せかけてバスターを打ち、外野手の時は長打の当たりに対してフライを取るような素振りを見せてランナーの進塁を防いだ。ウィザーズ時代は隠し球でランナーをアウトにしたり、盗塁発生時にはキャッチャーから二塁への送球が暴投になった際、咄嗟の判断でランナーにグラブタッチを行う素振りを見せ、三塁への進塁を防いだ。


 ウィザーズとの契約が満了してFAとなり、ペンギンズと大型契約を結んだ。400年ほど前に活躍したウィッチ・ロウに尊敬の念を抱いており、メルリーグデビューを果たした時にウィッチ・ロウと同じ背番号の51を選んだ。ブルクベルク属州の生まれであり、ウィトゲンシュタイン家とは遠戚にあたる。守備は肩が強いものの、守備範囲自体は狭いため、総合的な守備力は平均程度である。クリミナルリーグの出身であり、ダミアン家の恥として扱われている。


 椎名葵(しいなあおい)


 11946年度の成績

 .363(打率) 42(本塁打) 85(打点) 46(盗塁) 1.178(OPS)


 愛称はブルー。身長190センチ。

 右投両打。26歳。背番号8。内野手。


 水色の姫カット、女性のように端正な顔とスタイル、肝が据わっている冷静な性格が特徴のジャポニア系メルへニカ人。見た目は女性だが男性である。言わずと知れたペンギンズ最強打者。並外れたパワー、ミート、スピードを兼ね備え、甘く入ったボールはスタンドまで運び、塁に出れば類まれな走塁技術で盗塁を狙い、相手バッテリーを掻き乱す。意外にも1番の取り柄は無駄のない守備であり、エラーが極端に少ない上に肩が非常に強く、矢のような送球で俊足打者をアウトにできる。


 打席によって打者としてのタイプが変わる異色のスイッチヒッター。相手投手の利き腕によってではなく、試合状況で打席を変えるのが特徴である。左打席の時はバットを寝かせるように構え、打率4割超えのアベレージヒッターとなるが、右打席の時はバットを立てるように構えると同時に目つきが鋭くなり、打球速度200キロオーバーの超人的な長打力を誇るスラッガーとなる。まだ若いがプロ11年目のベテランであり、15歳でメルリーグデビューを果たした神童。


 デビューから11年連続でトリプルスリーを達成しており、今や金銀銅三冠の常連となっている大型のショート。交差利きであり、力仕事は右手で、繊細な仕事は左手で行っている。学生時代にスイッチヒッターのセオリーを無視して打席に入ったことで監督や打撃コーチから顰蹙を買い、チームを解雇されたことがある。ペンギンズを買い取ったばかりのエステルに拾われ、マンツーマンでの猛特訓の末、ペンギンズを代表するフランチャイズプレイヤーへと成長した。


 クラップフェン・オリークック


 11946年度の成績

 .290(打率) (本塁打) 35(打点) (盗塁) .841(OPS)


 愛称はクラップ。身長174センチ。

 右投右打。28歳。背番号15。外野手。


 額にまで届くくらいの明るく黄色いもじゃもじゃな短髪、お調子者な性格が特徴のメルへニカ人。普段はノリだけで喋るが、チーム内では最もまともな部類の性格。多くの球団を渡り歩いてきたジャーニープレイヤー。FAとなった後、招待選手としてペンギンズのスプリングトレーニングにやってくると、他の球団にはない個性豊かな選手たちに魅力を感じ入団する。マカロンとは古いつき合いであり、ウィザーズ時代には二遊間コンビを組んだ仲。


 空気を読むのが非常にうまく、状況に応じた堅実なプレイを得意とする。元々は内野手だったが、ペンギンズに入団してからは内野全てが彼以上の守備力を持つ選手で埋まってしまったため、レギュラーを獲得するべく、外野手にコンバートすることを余儀なくされた。ポジション争いの末、結果的に守備範囲の広さとある事情により、センターのポジションを獲得したが、チーム状況によっては内野手として起用することをブレッドに進言している。


 どの選手に対しても分け隔てなく話せる偏見知らずの選手であり、結果的にはライトに定着したアイリーンにとっては大きな助けとなった。得手不得手がなく、どのチームにいた時も冴えない存在であったために過小評価され、最終的にレギュラーの座を奪われてはトレードを繰り返してきたことがジャーニープレイヤーたる所以だったが、ペンギンズにとっては貴重なバランスタイプの選手として活躍し、初めてレギュラーを手にした時は真っ先に喜びを露わにした。


 江戸川丸雄(えどがわまるお)


 11946年度の成績

 .272(打率) 19(本塁打) 82(打点) (盗塁) .893(OPS)


 愛称はパックン。身長177センチ。

 右投右打。38歳。背番号11。指名打者。


 額が隠れるくらいの黒髪ショートヘアーが特徴のジャポニア人。性格は至ってテキトーだが、勝負事には手を抜かない側面を持つ。軽はずみな言動から喧嘩の絶えないトラブルメーカーであり、判定を巡って審判や相手選手と乱闘を起こすこともしばしば。プロ14年目のベテランであり、6年連続100打点の記録を持っているクラッチヒッター。チャンスの場面には滅法強く、得点圏打率が5割を超えている一方でランナーがいない時の打率が極端に低い。


 大の守備嫌いであり、メルリーグ昇格後は指名打者以外のポジションを務めたことがない。打撃練習以外はしないために守備力が致命的に低く、ブレッドに催促されてファーストに就くも、葵の矢のような送球にビビッてしゃがみ込んでしまったほど。肩も弱く足も遅いため、外野手も務まらなかった。これはハートリーグ傘下のボトムリーグもDH制を採用しているために起こった悲劇であると言われている。今は年齢もあり、衰えの兆候が見えている。


 元々はブレーブスのボトムリーガーだったが、守備嫌いから指名打者以外が務まらないことを理由になかなかメルリーグに昇格できなかった。ボトムリーグに取り残されたまま腐ると思われたが、絶望的にスラッガーが少ない状況を打開しようと、藁にも縋る思いでいたドボシュの苦肉の策により、ペンギンズにトレードされた。FAで流出したスラッガーの代役でメルリーグに昇格すると才能が開花。ペンギンズを代表するクラッチヒッターへと成長した。


 オルガ・オルソン


 11946年度の成績※

 .265(打率) 32(本塁打) 81(打点) (盗塁) .814(OPS)


 愛称はオルティック。身長182センチ。

 右投右打。26歳。背番号40。万能野手。


 銀色の短髪に落ち着いた雰囲気に、やや老けた顔が特徴のブリティア人。エウロパリーグ時代から色んな球団を渡り歩き、アイリーンがボトム契約を結んだことをきっかけにペンギンズが深刻なスラッガー不足に陥ると、目をつけていたスカウトに声をかけられてメルリーグ契約を結び、ペンギンズに入団する。確実性には乏しいが長打力に長けている。投手希望だったが、ポジション争いに巻き込まれていく中で適性ポジションが分からなくなっていった。


 エウロパリーグでは二刀流選手。同一シーズンでDHを含む全てのポジションを経験した変わり種。足は平均的だが守備範囲が極端に狭く、葵に負けず劣らずの強肩を持っている。スプリングトレーニングではファーストながら投手を宥めて復調させたことから、ブレッドにキャッチャーを勧められた。煌が二刀流でメルリーグに出場する際、真っ先に通用しないと吐き捨てたが、煌の活躍後は前言撤回し、その後は控えのユーティリティーとなった。


 世間体を物凄く気にする性格であるため、最初こそ非難されることを恐れ、アイリーンと一緒にプレイすることに抵抗があったが、常に誠実かつ全力プレイを心掛け、チームの勝利に黙々と貢献するアイリーンを見ている内に改心していく。打撃ではレフト方向にばかり引っ張るプルヒッターであるため、彼専用のシフトを組まれることがあるが、本人は本塁打を打ってシフトを超えれば問題ないと考えており、広角に打つことは考えていない。


 アイリーン・ルーズベルト


 11946年度の成績※

 .350(打率) (本塁打) 29(打点) 78(盗塁) .769(OPS)


 愛称はリトルドール。身長155センチ。

 右投左打。20歳。背番号42。万能野手。


 白く長いゆるふわなロングヘアー、人形のように白く小さな顔、棒のように細い体が特徴のブリティア系メルへニカ人。生まれつきアルビノであり、度重なる迫害や隔離政策の影響を受けてきた。アルビノは魔法科学が撲滅できなかった唯一の遺伝子疾患であったため、人々から長い間憎悪の的にされ続けてきた歴史があり、全世界で社会的恩恵を受けられなかったが、エステルが彼女とボトム契約を結んだことで、アルビノへの迫害の歴史を大きく変えるきっかけとなった。


 隔離政策により、ザークセル属州にある強制収容所の寮で少女時代を過ごした。そこでの非人道的な扱いに楯突いたことで問題児として扱われ、強制収容所を追い出された。その後はアルビノの選手のみで構成されたアルビノリーグのチーム、アルビノ・ホワイターズに入団し、全国各地を回りながら社会人チームと試合を積み重ね、ベースボールを究めていった。ホワイターズのメンバーリストを見たエステルに才能を見抜かれ、ペンギンズに入団する。


 アルビノ初のメルリーガーであり、投手と捕手以外であればどこでも平均以上の守備力と広大な守備範囲を誇るユーティリティープレイヤーである。最も得意なプレイは走塁であり、ボトムリーグでは観客からの罵詈雑言の中を走り抜き、イースタンリーグ盗塁王に輝いている。打撃ではパワーが致命的に低いため長打は望めない。選球眼に難があるものの、巧みなバットコントロールと俊足で安打と盗塁を量産するスモールボールタイプの選手である。

 強豪球団は全員が紛れもなくメルリーガーだ。弱小球団は全体の半数程度がボトムリーガーだが、チーム事情による層の薄さからボトムリーガーを起用せざるを得ない。FA権を取得するまでにメルリーグを去っていった者たちの大半は、本来であれば一生ボトムリーグにいた者たちだ。


 歴代ベースボール評論家たちの著書『ベースペディア』より

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