オリュンポリティア・ペンギンズの登場人物一覧
新感覚のベースボールファンタジーです。
リアルとは若干ルールが異なる場合があります。
ハートリーグは投手を含む全てのポジションに対して1枠のみ指名打者を起用することができます。
ストーリー重視かつマイペースで更新していきます。
登場人物の年齢は昨シーズンが行われた年度の年末終了時点の年齢です。
メルへニカ王国及びメルへニカリーグベースボールの設定集を読んでから読むことをお勧めします。
【オリュンポリティア・ペンギンズ】
メルへニカの北東に位置するオリュンポリティア属州キールストルを拠点とするメルリーグのベースボール球団であり、ハートリーグ北東地区に所属している。シンボルカラーは紺色。ユニフォームはペンギンにちなんだものであり、ホーム用は手足の部分が紺色で胴体部分が白である。ビジター用は紺色と白の部分がホーム用の真逆となっている。ホーム球場はアンタークティック・スタジアム。
キャップとヘルメットも紺色であり、正面にはペンギンズの頭文字であるPの文字が黄色で描かれている。建国歴11932年に創設された最も新しいチームである。元々はオリュンポリティア・パイロッツというメルリーグ屈指の弱小チームだったが、万年地区最下位とシーズン100敗を当たり前のように記録し続けたことでボトムリーグもろとも解散の危機となった。
球団はたらい回しにされた挙句、ウィトゲンシュタイン家の分家であるバロン家当主にして経営者のエステルハージートルタ・バロン・ウィトゲンシュタインによって買い取られ、オーナーに就任した。万が一解散となった場合は多くの選手が失業し、足りなくなった分を補うためにペンギンズの主力選手や各球団のボトムリーグから選手を寄せ集めた。
飛べないが寒い環境にも耐え、海を泳ぐことで差別化を図ってきたことからペンギンズと名付けられ、GMにはオーナーの息子であるドボシュトルタ・バロン・ウィトゲンシュタインが就任し、名実共にウィトゲンシュタイン家が経営する8番目の球団となった。創設当初より戦力不足から最下位争いに巻き込まれ、11935年からは最下位に定着した。
エステルは次々と有望な選手を補強しようと試みたが失敗し、課題であった投打の弱さを克服することができずにいた。依然として弱小チームであることに変わりはなく、当初はレオン・トラキアンが監督を務めていたが、11946年シーズンオフ、彼はある理由を盾に突然メルリーグ機構から解雇を命じられてしまい、監督とコーチが不在になる珍事に見舞われた。
戦術としてスモールボールを得意としているが、それは球団自体が貧しいために打力のある選手を確保することが困難なためである。特に生え抜きの選手育成に力を入れており、椎名葵、アリア・レチタティーヴォなどはその成功例と言える。ジャポニア帝国の選手を中心に外国人を比較的多く入団させているのも特徴の1つである。12年連続地区最下位記録を持っている。
【監督】
ブレッド・ベイカー
愛称はブレイカー。身長160センチ。右投右打。28歳。背番号72。
グリューンフェルデ属州の小さな町、ハープスベルクで赤字との戦いに明け暮れている貧しいベーカリーの店長。黒髪の姫カット、女子と間違われるほど端正で可愛らしい顔、高めの声に弱々しい細身の体型だが男性である。正義感が強く、納得いかないことがあればたとえ相手が貴族であっても物怖じせずに楯突く気骨の持ち主。パン職人としての腕は一人前である。
落ちこぼれの劣等生であり、最終学歴は小学校中退。以降は家に引きこもる生活だったが、ある日を境にベースボールに夢中になり、実家がベーカリーであったことから大手ベーカリーレストラン会社で勤務する傍ら、会社付属の社会人ベースボールチームの選手でもあった。しかし長くは続かず、曲がったことが嫌いな性格が災いして監督や同僚と争いになり、責任を取る形で退職した。
故郷ハープスベルクへと戻ってからすぐに実家の両親が病気を理由に隠居してしまった。1人暮らしとなったブレッドは両親の手術費用を稼ぐためにベーカリーを継いだが、小さな街であったためにパンがあまり売れず、倒産の危機に瀕していた。そんな時に元上司でペンギンズのGMとなっていたドボシュからペンギンズの監督就任を依頼されることに。
最初こそ社会人ベースボールチームでのトラウマ、レベルが桁違いのメルリーグで選手経験すらないまま監督の仕事に従事する無茶を理由に断ろうとした。しかし彼の両親の病気が保険適用外であったために多額の手術費用がかかることを知っていたエステルから両親の手術費用の負担を持ちかけられると、渋々ペンギンズの監督を引き受けることに。
幼馴染でよく懐いてくるキルシュと共にオリュンポリティアに移住すると、そこではある選手を引き取った上で一緒に住むこととなり、ジャムたちと共に監督寮に住むこととなる。彼の性格を知るエステルやドボシュからの信頼は厚く、再びペンギンズが最下位になれば借金生活を背負うことを余儀なくされた彼は早々に開き直り、球団の改革に着手する。
監督就任早々、彼はペンギンズが抱える様々な問題に直面した。選手たちは自分の成績のことしか考えておらず、チームワークの欠片もなかった。しかもある選手が入団したことでチームは完全にバラバラになっていたが、持ち前の指導力と分析力を活かし、万年最下位のペンギンズを浮上させようと奮起する姿が、やがてチームメイトの心境に少しずつ影響を与えていく。
【ヘッドコーチ】
ジャム・プレザーブ・コンフィチュール
愛称はジャム。身長159センチ。右投げ右打ち。27歳。背番号71。
短い茶髪が特徴の小柄な青年。ブレッドが所属していた社会人ベースボールチームの後輩。いじめられっ子で意気地がなく、普段はブレッドの腰巾着だった。ブレッドがジャムを庇ってチームを退団したことを不憫に思い、自らも責任を感じて退団した。その後はベーカリーレストランも退職してしまい、しばらくしてブレッドに誘われる形でペンギンズのヘッドコーチを引き受けることに。
ブレッドと同様にメルリーグでの選手経験こそないものの、メルリーグの試合観戦が趣味であることもあって観察眼があり、選手の特徴を掴むのがうまい。相手チームの弱点を見つけるのも得意である。選手同士の諍いを宥める役回りも多い苦労人である。ブレッドが誘ってくるまでは人に迷惑をかけることを恐れるあまり、無職のまま家に引きこもるほど臆病な性格。
社会人ベースボールチームにいた頃はブレッドとバッテリーを組んでいた捕手であり、投手や打者への観察眼はこの時代に鍛えられたものである。かつて投手だったブレッドが密かにメルリーグから声がかかることを願っていたが、ある出来事からこれを知る唯一の人物となり、ブレッドがメルリーグへの夢を断念した時には同情の視線を向けていた。
【オーナー】
エステルハージートルタ・バロン・ウィトゲンシュタイン
愛称はエステル。身長177センチ。69歳。
名門であるウィトゲンシュタイン家の中でも最下層の分家に位置するバロン家当主にして経営者である。黒く細長いベルトが巻かれた茶色いウエスタンハットをかぶり、黄土色のチョッキを着用している。普段はクールだが、胸の内に熱い想いを抱いており、外国人選手を広く採用している。子供がいなかったため、本家から養子としてドボシュを迎え入れている。
メルリーグの試合観戦が趣味であり、ベースボールを愛してやまない熱血漢。解散直前の弱小球団を買い取り、オリュンポリティア・ペンギンズと名を改めるが、彼の家はウィトゲンシュタイン家の中では経済的な余裕がなく、それもあってか有望な選手に手を伸ばせずにいるのが悩みである。経営手腕もあり、新しいビジネスに挑戦し続ける意欲と行動力を持ち合わせている。
ある選手をペンギンズに入団させたためにメルリーグ機構から見せしめに監督を解任され、新たな監督を探そうとするが、選手や監督としての経験を持った者が誰1人として監督を引き受けようとはしなかった。そのため藁にも縋る思いで養子のドボシュに相談し、彼を通して社会人チームでの選手経験を持つブレッドにペンギンズの監督就任を依頼する。
【GM】
ドボシュトルタ・バロン・ウィトゲンシュタイン
愛称はドボシュ。身長169センチ。42歳。
オールバックの銀髪が特徴の小柄な男性。大手ベーカリーレストラン会社人事部にいた頃の経験を買われ、ペンギンズのGMに就任するが、不良債権とも言える球団を持ったことで、養父エステルでも予算を確保する余裕がなかったため、チームは相変わらず下降線を辿ることとなる。元々は本家の人間であったが、ウィトゲンシュタイン家の分家であるバロン家が存続の危機であったため、養子入りする。
ウィトゲンシュタイン本家の末っ子であり、執政官の息子であることからそれなりの影響力を持っている。ペンギンズには生え抜きの選手ばかりが揃っている異色のチームとなっていたが、その多くは他球団であれば所属すら困難な訳ありの選手ばかりだった。しかもエステルがある選手の入団を強行したために次々とトラブルに巻き込まれていく。
ブレッドとは大手ベーカリーレストラン会社の上司と部下の関係であった。ブレッドが監督向けの選手であることをいち早く見抜いており、ペンギンズの内部で起こったトラブルをきっかけにエステルにブレッドを紹介し、ペンギンズの監督就任に尽力することとなった。エステルや周囲の人たちからの無茶振りに引っ掻き回される苦労人である。
【ブレッドの関係者】
キルシュトルテ・ヴァルト
愛称はキルシュ。身長149センチ。18歳。
ブレッドの店に毎日のように遊びに来る女性。ブレッドに昔から想いを寄せている。彼とは年が一回りも離れているパティシエである。チョコレート色のロングヘアー、真っ赤に輝くサクランボの髪飾り、細身で大きな胸が印象的で、多くの男性を惹きつけてきた。ブレッドの家の隣に住んでいる3人姉妹の末っ子であり、姉の影響でパティシエを始めた。
彼女の姉たちが営むベーアハルデは、そこそこ売れているスイーツショップである。かつてはその縁でキルシュがブレッドに愛の告白をするもあっさりと振られ、告白拒否がもとでブレッドが近所中から干され、売り上げが下がっていった因縁の相手でもある。だがキルシュは今でもブレッドとの距離を詰めようと懸命であるが、まるで相手にされていない。
かなりのぶりっ子であり、誰に対しても分け隔てなく接するほど陽気な性格だが、その反面嫉妬深いところがあり、ブレッドと距離の近い女性を片っ端から捻り潰してきた策士でもある。ブレッドがメルリーガーを目指していたことを知る数少ない人物の1人。ブレッドがいた社会人チームのマネージャーを務めていたこともあるが、ベースボールには無頓着である。
ヘレントルテ・バロン・ウィトゲンシュタイン
愛称はヘレン。身長154センチ。25歳。
黒を基調としたプリーツドレス姿、ふわふわしたツインテールの毛先まで見事に手入れが行き届いているウィトゲンシュタイン家の女性。ドボシュの娘であり、お嬢様らしい話し方が特徴である。状況が変わっても顔色1つ変えない冷静さと優雅な気品の持ち主。男好みの顔に生まれたことからこの名がついた。相手の状況に関係なく話をし始めるマイペースな性格である。
ベースボール・メルへニカ・マガジンという、歴代の選手1人1人を客観的に評価するだけでなく、膨大なデータを各チームに提供する仕事まで請け負っている企業の編集長を務めている。これらのデータをもとにチームの勝率を上げることを目的としたベースメトリクスの管理者でもある。大人しそうな見た目とお姉さんらしい色気のある声に反してかなり頭脳明晰である。
メルへニカ大学数学科を首席で卒業した確率の天才。状況と選手たちの様子を見ただけでおおよその結果を高確率で当てることができる。ベースメトリクスが過去のデータに依存していることから多くの監督から採用を見送られてきたが、ベースメトリクスを基本としたベースボールをブレッドに依頼し、これがペンギンズの行く末に大きな影響を与えることとなる。
ドラフト指名以外で強豪球団に対処する方法は新人育成に他ならない。海外リーグから選手を拾ってくるにしても大金がかかる。有望株を獲得するよりも、獲得した選手を有望株に育て上げるチームが長く上位を維持することは数多くのシーズンが証明している歴史的事実だ。
歴代ベースボール評論家たちの著書『ベースペディア』より