剣の塔.5 名乗りのフラグが立ちました(絶対名乗ってやる)
焼き肉店で焼き肉食べたい
「体現せよ!風切弾!」
リリアはコツを掴み始め、詠唱スピードが徐々に速くなっていた。
強くなるのは構わないが、しかしこれだと持たないかもしれない。
「リリア、魔法を使える様になって嬉しいのはわかるがまだ4階だ、あまり勢いに任せて使い続けるといざと言うときに使えなくなるぞ」
そう聞いてリリアは動きを止めてフルフルと震えだす。仕方ないことだこんなところで魔力が切れたらと思うと怖くなるのも無理はない。
そう考えていると、
「魔力切れ、この私が魔力切れ!」
リリアは目をキラキラさせて喜んでいた。
彼女にとっては魔力があっても、魔法が使えなかったの時代が長かったせいもあり、魔法に関する単語が新鮮なのだろう。
「はぁ、ルーも何か言ってやれ」
「お姉ちゃん、レッドさんの言うとおりだよ、あまり使い過ぎるとしばらく立てなくなっちゃうよ」
「ルーの言う通りだ、…ねぇルーちゃん、レッドさんってもしかして…俺のことかな?」
「?そうだよ」
まさかの名前知らないから、レッドスレイヤーを短く言うって!これだとますます名前言いづらくなる!
「あのね、レッドスレイヤーは通り名であって俺にはちゃんと名前が」
「レッド!ルー!モンスターが来たわ!」
「…火の精霊“キャトン”に命ずる、我に宿る魔法の力を体現しろ、火球」
サクッと言ってサクッと倒した。
俺は心に決めた。モンスターが出るダンジョンで言おうとするから言えないんだ、だったら絶対にここから出たら名乗ってやる。
「レッドいつにもまして凄い気迫ね」
「レッドさんの本気が伺えます」
「さあ行こう、階段も見えてきたぞ」
俺達はその後も順調に歩を進め、階段にたどり着いた。はっきり言えばここまで出てきたモンスターは俺の敵では無かった。
レッド級やシルバー級以上でもない限り、初級魔法でも簡単に倒せるものばかりで武器のレア度もとても低い。
正直な話、ダンジョンクリアしても良い武器に出会える可能性が低く、出来ることなら回れ右して帰りたかった。
が、この姉妹に出会ってから無駄の少ない詠唱や休息時の魔力回復等、学ぶべき部分があると感じた。
「どうしたんですか?レッドさん?」
「いや、それよりも次は5階だ、俺の予想ではダンジョンの大きさからしてこの辺からボスを意識して戦うんだ、わかったか?」
わかったわとリリアが言うと突然立ち止まった。どうやら5階層の入り口に到達したらしい。
「良し、じゃあ確認して」
俺が階段から一歩外に出ると、カチッという音が聞こえ直後目の前の景色が変わった。
「ワープ式のトラップか!二人は!」
振り向くと彼女達はいない。
「こうなったら仕方ない」
俺は口元に魔力を溜め詠唱を始める。
「音の魔獣“バドレイド”、我の魔力を食し我に汝の力を分け与えたまえ、広域反響!」
リリア「次回から私視点になるわ!」
ルー「頑張ってね、お姉ちゃん」
レッド「いよいよ俺の出番が、てかここでも短くなってるし!」