剣の塔.4 魔法少女リリア(少女って年齢でもない)
焼き肉に合うものは米とビールに二分する(私はご飯一択)
リリアの前には4匹の精霊が現れた。
「こいつはお前も知っていた火の精霊“キャトン”、そしたら右から水の精霊“サバン”、風の精霊“ソーゼ”、最後に光の精霊“ビーデン”だ、こいつに魔力を当ててみろ」
そう言われハッとしたリリアは、魔力を手のひらに集めて精霊達に手を伸ばす。
4匹の精霊は突然近づく見知らぬ魔力に怯えたものの、すぐに彼女の行動を理解し4匹は順番にリリアの手を触れる。
「!」
「こちらから行こうとするなよ?精霊は猫やハムスターみたいに気まぐれでわがままだ、こちらのアクション次第で全員離れるぞ」
「頑張ってお姉ちゃん」
リリアは全ての精霊に手を触れて貰い、精霊達もそれに答える様に動き出す。
「どうやら決まったみたいだ」
「この子に私は選ばれたのね…」
リリアの目の前には、風の精霊“ソーゼ”が立ち止まる。
「ソーゼはリリアの魔力が好みだそうだ、さ、ボサっとしてないで契約を済ませてくれ、呪文は詠唱出来るよな?」
「ば、馬鹿にしないでよね!…精霊王“レーダン・マオ”に産み出されし命よ、今をもって我が眷属になり力を体現せよ!召喚契約!」
リリアが魔法を唱え終わると同時にソーゼは、リリアの右人差し指にはまっている指輪の中に入っていった。
「成功したの?」
「なら試してみるか?」
俺がそう言うと、先程リリア達が苦戦していたブラウンスコーピオンが姿を現す。当然、ボスでも何でもない1モンスターだから同然だな。
しかしリリアやルーちゃんを見ているとまるでレッド級のモンスターでも見ているかの様に震えている。
「大丈夫、精霊を信じて」
リリアはそれを聞いて震えが止まる。
そして両手を高くあげ、魔力を放出する。
「風の精霊“ソーゼ”よ、我が手に宿る魔力を糧に魔法を体現させたまえ!風切弾!」
リリアが唱え終わると、魔力の塊は風を纏い勢いよくブラウンスコーピオンに当たり、鎧のような甲殻に穴を開けた。
「リリア、あそこに剣を差し込め!」
「!はあああああ!!!」
リリアは先程渡した毒の曲刀をブラウンスコーピオンのむき出しの肉体へと刺し込む。
すると刺し込んだ所から紫色に変色しだし、ブラウンスコーピオンはもがきながら倒れた。
そして倒れた所から宝箱が出現した。
「かっ勝ったの?」
「おめでとさん」
「お姉ちゃん凄い!」
「やったーー!」
リリア達姉妹は強敵を倒したと喜び抱き合った。
「あー、喜ぶのも良いんだけど宝箱の中身確認しないと」
「!そうだったわね!」
リリアは宝箱に手をかけて中を確認した。
中には宝箱の大きさを遥かに越えた大剣が出てきた。
「これは?」
「多分鉄の大剣だなレアもまぁまぁだし当たりと言えば当たりだな」
「…ありがとう、本来なら使い物にならない私に精霊を眷属させてくれたり、ブラウンスコーピオンに震えていたのも止めてくれたり、レッドスレイヤー、あなたには感謝してもしきれないわ」
「…そう言うのは頂上についてからにしない?」
「うん、そうね!さ、ルー、レッドスレイヤーさん行きましょ!」
まさか酒場で聞いてふらっと立ち寄った剣の塔だったが、魔法使いの姉妹に出会い共にダンジョンを登るとは思わなかった。
「そう言えば、言い忘れてたけど、俺の名前は」
「ほら置いてくわよ、ルー、レッドスレイヤーさん」
「あ、待ってお姉ちゃん」
「お、おい聞けー!」
レッドスレイヤー「次回こそ名前を!」
ルー「次回は私も活躍したいです」
レッドスレイヤー「えー…」