表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

魔法少女とは何なのだろうか

 私はある日突然、魔法少女になってしまった。そして、これから地球を支配する予定の白菜と戦うことになったのだ。

 何を言っているのか分からないと思うが私もわからない。しかし、その事実は現実味を伴って今私の目の前に迫って来ていた。まあ詳しくは、今私の横をうろうろしている使い魔的なやつに聞いてほしい。ちなみに名前は知らない。でも正直見た目はキモイ。芋虫みたいな感じだ。

 「プリティ白菜レボリューション!」

私はその声と共にピンク色の光を放ち、白菜に変身した。白菜と戦うのにどうして白菜に変身しなければならないのか。全く分からない。とにかく私は白菜から腕と足がでているという気持ち悪い見た目で、たった今目の前に現れた白菜っぽいデザインのマントを纏ったいかにも悪そうな顔の巨漢に突撃した。はた目からみれば完全に不審者同士の激突である。悪そうな顔の巨漢(以下男)は、手に持っていた黒光りする白菜を振り回した。どうして白菜なのに黒く光るんだろう。それはもう黒菜ではないのか。そんなことを考えながら、私は両手をぱちんと合わせて叫んだ。

「プリティ白菜ニルヴァーナ!」

どうして涅槃なんだろう。別に仏教要素はいらない気がするのだが。そんなことを考えていたら男が爆発しそうになった。しかし男は倒れかけた体を立て直し、叫ぶ。

「ふん、われはそんなことでは死なんぞ!」

そして背中から新しい武器的なものを出した。今度は白菜の漬物みたいな、しわっしわの薄黄緑の布だった。それを男は闘牛士みたいな感じで持つ。その布を見て私が興奮するとでも思っているのだろうか。とにかく私は叫ぶ。

「プリティ白菜アーメン!」

キリスト教要素はいるのだろうか。いや絶対に要らないだろう。こういう宗教系のネタは視聴者からクレームが入ったりしないのだろうか。とか考えていたけれどこの戦いが日曜の朝にテレビ放送されているわけではないので別にいいのだ。

 私の体からピンク色のビームがでる。せっかく白菜みたいな、というより白菜そのものの見た目なんだから白とか黄緑にすればいいのに。その辺の仕様は変更できないのだろうか。

 男はビームをまともに食らって地面に倒れこんだ。

「くっ……こうなったら……」

男はまた背中から武器的なものを出した、と思ったのだがどうやら武器ではないようだ。先ほどのしっわしわの布に、その武器的なものを滑らせている。なにやってるんだろう、呑気だなと思って見に行ってみればどうやら遺書のようだ。かわいらしい丸文字で、「遺産は白菜帝王様に全額お返しする」などと書き連ねている。

「さあ、もういい。俺を殺せ……」

男は私に向かって両手を広げ、天を仰いだ。その様子がなんだか漫画にあこがれてる中学生みたいな感じがしてイラっとしたので、私は殺さずに男に背を向けた。

「プリティー白菜変身解除」

白菜の後は全部カタカナで統一されていたのに、どうして変身解除だけ漢字なのだろうか。このあたりもまだ荒さが目立つな。

「ちょっまっ……これではかっこつかないというかなんというか……」

戸惑う男を後にして、私は家に帰る。キモい芋虫も後からついてくる。

「待ってくれーー!白菜一年分やるからーー!」

白菜一年分か。それほど好きではないので結構だ。とにかく家に帰って寝たい。さよなら男。

 それから一週間ほどして男が倒れていた場所に行ってみたら、男の腐乱死体が腐った白菜の臭いを漂わせながらそこに放置されていた。カラスと蠅がたかってひどい有様だったのだが、もしかして倒した後の死体処理は私の管轄なのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ